(4)セルフ・コンパションの高め方
1) コンパッションのチェック リスト
【1】他者があなたの苦しみに気づいているか
(1) 私が困っていることに気がついてくれる
(2) 私が悩んでいることをわかってくれる
(3) 周りは、私の悩みを理解してくれている
(4) 私が落ち込んでいる時に、周りは気づいてくれている
(5) 私が悲しんでいるときに周りはわかってくれている
(6) 私が不安そうにしていると声をかけてくれる
(7) 私が苦しそうにしていることに気づいてくれる
【2】他者があなたの苦しみに対して動いてくれているか
(1) 私の失敗やミスに対して積極的に協力してくれている
(2) 周りはまるで自分のことのように親身になってくれている
(3) 私が落ち込んでいると周りは手を差し伸べてくれる
(4) 私が悩んでいると周りは寄り添ってくれる
(5) 私が苦しそうにしているとそばにいてくれる
(6) 私が困っていると実際に手伝ってくれる
(7) 私が悩んでいることに対して慰めてくれる
【3】あなたが他者の苦しみに気づけているか
(1) 周りが困っていることによく気がつく
(2) 周りが悲しんでいるとすぐに目がいく
(3) 周りが悩んでいることがよくわかる
(4) 周りの苦しみにはよく気がつく
(5) 誰かが落ち込んでいることによく気がつく
(6) 相手の表情や言動から困っていることがわかる
(7) 周りの失敗やミスによく気がつく
【5】自分の苦しみに気づけているか
(1) 自分が何に困っているか気づいている
(2) 自分が何を悩んでいるのかわかっている
(3) 自分の悩みについてよく理解している
(4) 自分が落ち込んでいることに目を向けられる
(5) 自分が悲しんでいることに目を向けられる
(6) 自分が不安に感じていることに目を向けられる
(7) 自分は何が苦しいのか気づいている
【6】自分の苦しみを和らげようとしているか
(1) 自分が困っていることを改善しようとしている
(2) 自分の悩みを和らげようとしている
(3) 自分の悩みを解決しようとしている
(4) 自分が落ち込んでいる時に、自分を慰めようとしている
(5) 自分が悲しんでいる時は、気持ちを落ち着かせようとしている
(6) 自分の不安を取り除こうとしている
(7) 自分の苦しみを軽減しようとしている
点数
1点 全く当てはまらない
2点 当てはまらない
3点 どちらかと言えば当てはまらない
4点 どちらかと言えば当てはまる
5点 当てはまる
6点 よく当てはまる
結果
【1】+【2】合計点
「他者があなたの苦しみに気づいているか・動けているか」
【3】+【4】合計点
「あなたが他者の苦しみに気づいているか・動けているか」
【5】+【6】合計点
「あなたが自分自身の苦しみに気づけているか・動けているか」
【1】+【3】+【5】 気づき
【2】+【4】+【6】 動き
奇数が点数高い→ 気づいているが、動けてない
逆は、行動パターンで動いている
ストレスに動じない“最強の心”が手に入る セルフ・コンパッション 石村 郁夫(著)より
2) セルフコンパッションを育てる
3つのチェックリスト
「自分は自分自身に対して寛容さと理解を示しているか」
「自分は欠点や失敗を、人間なら誰にでもあるものとして受け入れているか」
「自分はマイナスの感情を適切な視点でとらえているか」
これがうまくいかない場合は、
机の前に座り、第三者の視点で自分自身に(自分を友人か恋人だと思って)手紙を書いてみる。
私たちはたいてい、自分自身に対してよりも、他者に対してのほうがよい友だちになれる。
したがって、この方法は防御反応や自責の念のスパイラルを防ぐことに効果を発揮する。
ここ数年、ビジネス界は全体として、失敗を恥ととらえる意識を組織的に払拭するという点で大いに進歩した。失敗は実験的な取り組みの、ひいてはイノベーションの当然の副産物なのだ。しかし私たちの多くは、人を成長させる失敗のパワーを仕事に活かすことができていない。ますます多くの業界が破壊的な変化に翻弄され、人々の仕事が激変する中で、このスキルの重要性はますます高まっていくだろう。
3) セルフ・コンパッションの構成要素
日常生活や仕事
・成果が出せずに自己批判をする
・自分だけが不幸な目に遭っていると孤独感にさいなまれる
・激しい嫉妬や強い怒りなどの過剰な感情に支配され混乱した行動を取る
ことがある
こうした
自己批判、孤独感、(感情への)過剰同一化
↓
逆の行動を取ることが、セルフ・コンパッションにつながる
・自己批判ではなく自分への優しさ
・孤独感ではなく共通の人間性の認識
・過剰同一化ではなくマインドフルネス
(いまこの瞬間への判断することのない気づき)
この3要素から、セルフ・コンパッションは構成される。
これがうまくできると
↓
幸福感・つながり感・レジリエンスになり
↑
↓
うまくできないと
ストレス・ウツ・不安になる
上の中で、
マインドフルネス←→(感情への)過剰同一化
わかりにくいので説明すると
マインドフルネスは、ネガティブな感情を経験した時、
頭が混乱して感情にコントロールされてしまう過剰同一化に陥ることなく、
感情をありのままに受け入れバランスを取っている状態を指す。
前述したように、マインドフルネスは、セルフ・コンパッションとは
相補的関係にある。
そのため、ネフ博士は困難に直面した時に、
自己の傷つきを癒し前向きな気持ちになるのに必要な要素として、
自分への優しさとともにマインドフルネスを加えている。
たとえば、非常に批判的な上司とプロジェクトを続けなければならないとする。
憂鬱な気持ちになり、ストレスが溜まっていくが、
発散しようとしても、愚痴りすぎたり、食べすぎたりするなど、
自分や他人への八つ当たりのような行動に及んでしまう。
こうした強い否定的感情に支配されて混乱した状態を、過剰同一化という。
こうした欲求不満への怒りの支配から逃れるには、
まず自分の欲求に気づき、生じてくる感情に自動操縦されることなく、
マインドフルな状態でいることである。
上司のお小言は「音」。自己批判的思考は、「考え」。
仕事を阻止された怒りは、「理不尽さへの怒り」。
このように、現実をありのまま受け入れれば、
落ち込みが長続きしたり、強い怒りが生じたりすることはないのだ。
4) セルフ・コンパッションの高め方
慈悲の瞑想のステップ
慈悲とは、人々をあわれみ、楽しみを与え、苦しみを取り除くこと。
つまり、自分に楽しみを与え苦しみを取り除くこと。
ステップ1
静かで落ち着いた場所で、自分のよいところを2,3思い出し、
ゆっくり優しくていねいに以下のフレーズを繰り返す。
・私が安全でありますように。
・私が幸せでありますように。
・私が健康でありますように。
・私の悩み苦しみがなくなりますように。
↓
ステップ2
湧き起こってくる感覚、感情、思考に気づき、
優しく受け入れていく。それらを心に留めて、
ステップ1のフレーズの繰り返しに戻る。
↓
ステップ3
「私」の次は、「恩人」「好きな人」「中性の人」
「嫌いな人」「生きとし生けるもの」と
対象を広げる。
実践に当たって注意したいのが、自己批判が強い人の中には、
慈悲の瞑想の最初の「私が幸せでありますように」というフレーズで、
「私は幸せになる価値などない」などと考えてしまい、
瞑想が先に進まないことがある。
日本人には自己批判傾向が強い人が多いため、
このような障壁を経験するかもしれない。
そうした場合は、自分の良いところや自分がして他者に喜ばれたことなどを
思い出し、ポジティブ感情を感じてから始めるとよい。
5) セルフ・コンパション 5つのステップ
ステップ0-1 コンパッショネイト・リフレクション
ステップ0-2 マインドフルネス
ステップ1 スージング・リズム・ブリージング
ステップ2 コンパッショネイト・カラー
ステップ3 コンパッショネイト・コーチ
ステップ4 コンパッショネイト・レター・ライティング
ステップ5 コンパッショネイト・アクション
ステップ0-1 コンパッショネイト・リフレクション
1. 足を肩幅程度に広げて立つ。
この時、背筋を伸ばすこと。頭から背骨まで1本の柱が貫いていて、頭が上のほうへと引っ張られているイメージ。
正しい姿勢がよくわからない場合は、壁を背にして立ち、壁に頭、肩、お尻、ふくらはぎ、かかとの5カ所が接するようにする。これが正しい姿勢。
2. 手のひらを上に向け、息を吸いながらゆっくりと肘を曲げて手のひらを胸のあたりまで持ち上げる。
この時、腋(わき)は締めておく。
3. 手のひらを返して下に向け、腋を開いて、息を吐きながら手のひらをお腹のあたりまで下げていく。
手のひらで下へ押すイメージ。
4. 息を吐ききったら再び手のひらを上に向け、息を吸いながら、腋を閉めて手のひらを胸の高さまで上げていく。
5. 以上のような「息を吸う→吐く」を1セットとして、10セット繰り返す。
息は大きく吸って、ゆっくり長く吐いていくこと。4秒で吸って、8秒で吐ききるのが目安。
これは、セルフ・コンパッションで基本となる呼吸を練習するためのもので、まずはこれがうまくできるようになれば、以降のエクササイズにスムーズに入っていけます。
ステップ4 コンパッショネイト・レター・ライティング
筆記具と紙を用意し、自分自身に対して“慈悲の手紙”を、次のポイントをふまえて書きます。
1.自分の経験と、その経験の中の「何が」「どのように」
自分に影響を与え たのかについて触れる。
2.それに対して、自分はどのような対処をせざるを得なかったのか、
その結果、意図せぬどんな不利益を被ったかについて触れる。
そして、繰り返される問題や対人関係がどんなパターンであるかを、
自分に対して慈悲と思いやりを持って書き出す。
3. 慈悲と思いやりを持った自分から、かつて苦しんでいた自分へ、
どんな言葉をかけられるかをしっかりと書く。
さらに詳細を知りたい人は、
ストレスに動じない“最強の心”が手に入る セルフ・コンパッション 石村 郁夫(著)
(5)まとめ
これから意識しないといけないこと
●人が不足
↓そのために
●今の人の健康
肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、健康
(physical, mental and social well-being)
経営者ならば、今いる人で、最高パフォーマンスを出さないと
昔のように、人不足のために簡単に採用ができなくなる。
そのために
●セルフコンパッション
気持ちを穏やか、人に優しく、自己成長
ストレスは、人によって違う
それにより、会社が不利になることも
だから、やっておく。
・自由(自由裁量)にする
・ラジオ体操のように、セルフコンパッション
・人の替えができない時代はすぐそこ
・人それぞれのお金ではないモチベーションを知る
参考文献
国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年推計)」
https://www.ipss.go.jp/pp-zenkoku/j/zenkoku2017/pp29_gaiyou.pdf
内閣府の「日本経済2021-2022 成長と分配の好循環実現に向けて」
https://www5.cao.go.jp/keizai3/2021/0207nk/pdf/n21_3.pdf
男女共同参画白書 令和3年版
https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r03/zentai/pdf/r03_genjo.pdf
ストレスに動じない“最強の心”が手に入る セルフ・コンパッション 石村 郁夫(著)
HBR2019年5月号 働く人のレジリエンスを強化する5つのポイント リッチ・フェルナンデス(著)
グローバル ヒューマン キャピタル トレンド2014
https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/human-capital/articles/hcm/global-hc-trend-2014.html
HBR2019年5月号 セルフ・コンパッションは自分とチームを成長させる セリーナ・チェン :カリフォルニア大学バークレー校 教授 (著)
HBR2019年5月号 セルフ・コンパッション:最良の自分であり続ける方法 有光 興記 :関西学院大学 教授(著)