最近話題になっている「リアル脱出ゲーム」に参加してきた。
これは京都で「SCRAP」というフリーペーパーを発行している会社が9年前に始めたもので、部屋の中に隠されている数々の物、暗号、パズルなどの謎を参加者が力を合わせて1時間以内に解き、最後の鍵を手に入れて脱出するというゲームだ。
開始以来人気が高まって全国にイベントとして広がり、今では東京の東新宿、渋谷、原宿や京都に常設施設までできている。
通常の部屋の中でやるゲーム以外にも、1万人以上を動員した神宮球場(2010年12月「あるスタジアムからの脱出」)、東京ドーム(2011年春「あるドームからの脱出」)や大阪のひらかたパーク、名古屋のナガシマスパーランド、神奈川県のよみうりランドなどの遊園地(「夜の遊園地からの脱出 」)などで大規模なものも行われている。
最近では東京神保町の書店「書泉グランデ」でゲームブック(1,000円)を購入して参加する「本屋迷宮からの脱出」も行われたし、韓国など海外でも開催されている。
また、コラボレーション企画も多く、名探偵コナン、バイオハザード、新世紀エヴァンゲリオンなど様々な人気作品や、フジテレビ、TBSなどの番組とのコラボ企画も増えており、集客が見込めるイベントとしても全国から注目されている。
実際にやってみると、一つの謎が解けても次の段階で更に謎が現れるため難しいが、その場で出会った見ず知らずの人達と協力して夢中になって謎に挑戦するので、1時間があっという間に過ぎてしまうし、協調性も生まれる。
時間以内に脱出する成功率は20~30%ぐらいだが、面白いので、失敗してもまたチャレンジしたくなるためか、前売りされているチケットはすぐに売り切れてしまう。
「見知らぬ人とともに閉じ込められる」という限定された状況のためか、リアル脱出ゲームでは、参加した人がその場で自分の得意分野を申告し合い、分担して謎解きを行う状況ができ、自然にリーダーシップも生まれる。
主催者で発案者でもある加藤隆生氏は、「限定された空間と時間は、自由な発想と大規模な熱狂を生んだ」と語っているが、「自分で切り開くべき物語」が設定されているゲーム形式は、通常の生活では味わえない体験ができ、ゲームによって生まれる協調性やひらめきなどは、学校教育や企業研修などにも応用できる。
ゲームの手法を教育やビジネスに応用する「ゲーミフィケーション」として、リアル脱出ゲームを考えてみる必要がありそうだ。