中央線の神田~御茶ノ水間に、1912(明治45)~1943(昭和18)年の30年間あった「万世橋駅」を再利用した飲食店、雑貨店など11店が入った商業施設「マーチエキュート(mAAch ecute)神田万世橋」が、9月14日にオープンした。
明治45年の万世橋駅の開業時は、この一体は銀座と並ぶ東京でも指折りの繁華街で、神田須田町は東京市電の乗り換えターミナルだったようだが、関東大震災で駅舎が焼失し、須田町交差点が移転したことで利用客が減少して、戦時中の1943年に駅が休止されたという。
また、1936年からは関東大震災で被害を受けた交通博物館も移転開業し、鉄道・船舶・自動車・航空機など交通全般を展示する博物館としても使用されていたが、こちらも埼玉県・大宮に鉄道博物館が開館するのをきっかけに2006年に閉館、その後は閉鎖されていた。
私は「マーチエキュート(mAAch ecute)神田万世橋」に初日のオープン30分ほど前に行ったが、その時には既に行列ができていた。
行列している人達を見ると鉄道ファンの方が多いように見受けられ、オープンすると、その列はお目当てとされる旧万世橋駅開業時からそのままに残っていて、駅閉鎖以来70年ぶりに公開された「1912階段」に向かい、そのままここを見学する入場制限の列となった。
「1912階段」を上ると、ホームを整備した展望デッキと「N3331」というカフェがあるが、ここは両側を中央線快速列車が通るため、鉄道ファンには楽しめる場所のようで、オープンすぐに満席となっていた。
マーチエキュート神田万世橋は、外側は開業当時のままのレンガ造りを残しているが、内部構造は昨秋リニューアルオープンした東京駅丸の内駅舎と同様に耐震補強などが施されており、内部の店舗部分はコンクリート打ちっ放しとなっている。
店舗には「NIPPONノ コトヅクリ」として、長野県上田に本店のあるカフェとインテリア雑貨などを扱う 「haluta(ハルタ)」、「NIPPONノ コウキシン」として、山形の3旅館の和食のノウハウと山形の食材を活かした『カフェ定食』を提供する「フクモリ」、「KANDAノ ツクリビト」として、神田のワイン居酒屋による「VINOSITY domi(ヴィノシティ ドミ)」など、地元神田周辺と日本全国の店舗がミックスされた構成となっている。
JR東日本はルミネやアトレといった駅ビルを始め、「エキュート(ecute)」という、駅ナカを中心にした商業施設にも近年は力を入れているが、今回の「マーチエキュート(mAAch ecute)」は、初のマチナカ(街中)・エキソト(駅外)となる新業態なので、ここが成功するとこのような展開が増えてきそうだ。
神田川に沿った細長いレンガ造りの商業施設は、秋葉原の雰囲気も変えてゆくかもしれない。
======== DATA =========
●マーチエキュート(mAAch ecute)神田万世橋
http://www.maach-ecute.jp/
所在地:千代田区神田須田町1-25-4
tel:03-3257-8910
営業時間:月~土/11:00~21:00 日祝/11:00~20:00
飲食:月~土:11:00~23:00 日祝:11:00~21:00
オープンデッキ、2013プラットフォーム:月~土/11:00~22:30 日祝/11:00~20:30