今年の春節(2月7〜13日)の中国人観光客には今までとは違った動きが感じられた。
春節の免税売上を去年(2月18〜24日)と比較すると、三越伊勢丹は20%増となったが、客単価は15%減で、客数が1.5倍に増えたことで補ったものの「爆買い」の沈静化が伺われた。
高島屋は大阪店が導入した、中国で広く使われている「支付宝(アリペイ)」という決済サービスが1,000件以上となり、免税売上高が2.4倍に増加、全体でも前年比53.2%増と大きく伸びたが、全店で見ると、主要部分が化粧品とされる消耗品が2.5倍(一般品の売上高36%増)で、今年の春節売上の新傾向とされる化粧品の伸びが顕著だった。
化粧品は三越伊勢丹も2.2倍だったし、昨年に比べてインバウンド関連売上が2倍とするドン・キホーテも、化粧品、薬品、洗剤などがよく売れているとのことだった。
日本百貨店協会によると、1月の全国百貨店売上高は株価下落、天候不順などにより、宝飾品、高級ブランドなど高額品販売が落ちて、前年同月比1.9%減の約5,309億円と2カ月ぶりに減収となったが、免税売上高は36%増の173億円と伸び、中でも化粧品販売が好調な消耗品の免税販売が43億円と過去最高額となった。
■空港型免税店
今年は「空港型免税店」も注目されている。
空港型免税店とは、消費税8%を免税とする「TaxFree」に対して、消費税に加え関税、酒税、たばこ税なども免税とする「DutyFree」店で、日本人、外国人問わず出国航空券とパスポートを提示すれば購入でき、空港の出国手続き後に商品を受取るものだ。
空港以外では、沖縄県・那覇市に続く国内2店目の空港型市中免税店となる「Japan Duty Free GINZA」が、春節直前の1月27日に三越銀座店8階にオープンした。
3,300平方メートルの売り場に、高級ブランド店、化粧品、お酒やタバコ、日本の工芸品(3月9日に時計コーナーがオープン)などが並んでおり、ブランド店はグッチ、フェラガモ、サンローラン、ヴァレンティノ、ヴォッテガヴェネタ、宝飾のティファニー、ブシェロンなどが入っているが、宝飾店以外はほとんどバッグやお財布などしか置いておらず、ゆっくりサイズを確かめられる洋服や靴が少ないことにガッカリした。
三越銀座店によると、1日2,000人、売上3,000万円が目標としているが、これを大幅に上回る客単価を記録しているという。
しかし、私が春節期間中も含めてオープン後に何度か行った際は客も多くなく、静かな感じだった。
空港型免税店はロッテ免税店も3月31日に東急プラザ銀座の8〜9階にオープンする予定となっており、今後全国に出現しそうだ。
■訪日外国人の消費動向
観光庁の訪日外国人の消費動向によると、初めて日本に来た中国人観光客は2015年10〜12月は60%で、40%は2回目以上、10回以上来ている人も8.5%となっている。
これから考えると、今回の春節客は約半数が2回目以上と思われ、訪日目的が買い物だけから美容院体験などサービス消費にも広がってきたものと推察される。
今年の春節時期の銀座や新宿では、昨秋の国慶節までのように大きな旅行カバンを転がしている中国人観光客をほとんど見なくなったが、中国人観光客の行動にも変化の兆しを感じた春節だった。