10月のシリコンバレー視察で、自動運転で商品などを運搬するシステムを開発している「GATIK AI」という会社を訪問した。
ここは、商品を店や消費者に届けるロッカーが装備された小型の自動運転車を試作、実験運用しており、各種センサーやカメラを搭載し、GPSや3D地図などを利用して最適ルートを選択して配送するのだが、ディープラーニング(深層学習)機能により賢くなってゆくという。
従来型のセンサーを利用した自動運転のアルゴリズムと、ディープラーニング(深層学習)によるハイブリッド型のアプローチが特徴で、地図のアップデートや配送順序などにディープラーニング(AI=人工知能)を使用しているという。
低スピード(25マイル/h=40km/h)で走行すればセンサーの数やクオリティが低くてすむとしており、Googleの自動運転車が1個10万ドル(1,000万円)のセンサーを使用しているため1台1,500〜2,000万円するのに対して、GATIKは30〜40万円でできるのだという。
また、人間を乗せるのではなく物を運ぶので安全問題も低く、リモート管理も一人で10〜12台見られるという。
ここのビジネスモデルは月額5,000ドル(50万円)で小売店などに貸すものと、FedexやUPSなどの配送業者にライセンスを提供するという2つで、シンガポールと日本をターゲットにしている。
日本の場合はヤマトの問題などがあり、労働者不足の解決になるのではないかとしていた。
■MVP
「GATIK AI」は、実用最小限の製品で立ち上げる「MVP(Minimum Viable Product)」戦略をとっていることも特徴だ。
MVP戦略は完全な最終製品を作るのには時間がかかり、それでは市場投入が遅くなってしまうために、最小限の機能でいち早く市場に投入し、その後にこれを改良してゆくもので、スピードが要求されるシリコンバレー企業ならではの発想だ。
しかし最近では、シリコンバレーで1ヶ月かかる開発を、中国の深センでは1週間でやると言われるようになっており、世界はどんどん加速している。
日本の開発も完成度ではなく「スピード」が要求される時代になりそうだ。