ブラジルは1888年に奴隷が解放されたため、コーヒー農場への移民が始まったが、当初はイタリア、ポルトガル移民だった。
しかし、移民に対しても奴隷同様の扱いだったため、イタリアが移民を禁止、1908年から日本人の移民が開始された。
そのため、当時日本から移民で来た人たちは5年くらい働いてお金を儲けて帰るつもりだったのだが、奴隷時代のような過酷な労働を強いられたようだ。
今回紹介するお二人の日系の経営者も、小さい時に親に連れられて移民してきた2世の方だ。
■池崎商会
池崎商店は化粧品卸でブラジル一だが、ブラジルは世界一の化粧品市場だ。
池崎社長は日系移民2世で、4~5歳の頃ブラジルに来てコーヒー園で働き、その後、洗濯屋を経て化粧品卸を始めた。
1984年以降のハイパーインフレの時に一番儲け、ビルや工場を建てたが、インフレの時はスピードが大事で、早く売ることが重要だという。
当時は仕入れる商品が毎月のように値上げされる(月40%のインフレ)という状況で、メーカーからは、どの商品がいつから上がるという日程表が出されていた。
それを逆手にとって上がる前の日に仕入れ予約をし、翌日値上げされた時に一番安く売った。
いくら安く売っていても客が知らなければ売れないので、生きるか死ぬかテレビCMを行い、それが成功して全国から客が来て全部売れてしまったし、一度買いに来た遠い客には、次回からは電話などの注文で送るという通販販売もやった。
「商売はインフレや他人のせいではなく自分のせいで、同じ場所、同じ従業員、同じ商品でもやり方で大きく儲けられる」とおっしゃっていた。
現在、従業員は美容部員(30%)を含め5,000人、営業拠点やセールスマンは全国に配備、世界33カ国に輸出もしているという。
■Paradise Lake & Resort
自己資金のみで用地買収、造成、建設したコンベンション併設のリゾート施設「Paradise Lake & Resort」を造った堀井社長は、1933年(昭和8年)生まれで、1937年に3歳で移民して来た方だ。
農業を行っていた土地から、カオリンという白磁などを作る時に使うケイ酸塩が出たことで財をなし、それを開業資金として、15年前にここをオープンした。
180万平米の土地に4万平米の建物が建っているこの施設には、堀井社長自らが設計したゴルフ場を始めサッカーコート、テニスコート、和風のエステ、ホテル、会議場、ヘリポートなどがある。
ホテルは415室、コンベンションは最大1,000人で平均200~300人の会議などが行われており、従業員は430人いるが、ホテルは運営委託している。
ホテル運営は当初5年間をブラジル最大のホテルチェーン・ブルートゥリー(青木建設の社長夫人である日系2世の青木チエコ氏の会社)に委託していたようだ。
2014年に開催されるサッカー・ワールドカップのキャンプ地にも決まっており、日本、ベルギー、ドイツが下見に来ているというが、どの国が来るかはまだわからないのだそうだ。
堀井社長は「ブラジル不動産はこの10年で3倍になっているので、今は買う時期ではないが、銀行からお金を借りて事業をして返せなくなった所を安く買うのはいい」とおっしゃっていた。
地下資源が豊富なブラジルでは、このような成功事例は今後も出てきそうだ。
======== DATA =========
●ブラジル移住100周年
http://www.jiji.com/jc/v?p=brazilimin-hphotogallery50
●池崎商会
http://www.ikesaki.com.br/
●Paradise Lake & Resort
http://www.paradiseresort.com.br/br/home/