
全国の百貨店で売上トップ(2011年度売上:約2,350億円)の伊勢丹新宿店が、昨年から行なっていた総工費約100億円の改装工事を終えて3月6日にリモデルオープンした。
「世界最高のファッションミュージアム」をテーマにした今回のリニューアルは、2~4階の婦人服フロアの中心部分にある期間限定の特設売場、イベント、カフェ、アート展示など、買い物以外でも楽しめる「パーク」というプロモーションスペースが特徴で、オープンの一週間は自分が女性誌「SPUR」の表紙になる体験や、原宿で2時間の行列ができるポップコーンの限定販売などが人気となっていた。
パークでは洋服だけでなく雑貨やカルチャーも展開していて、東京・中目黒の「マチルダ」とコラボした生花コーナー、東京・青山の「スカイハイ」の100%生のスムージーなどがあるし、独自売場の「DECADE」には、1960年代にミニスカートブームを作った全盛期のツイギーのマネキンを設置し、仏クレージュと提携したレトロファッションや、代官山・蔦屋書店とコラボした写真集なども扱っている。
伊勢丹は営業しながら部分的に閉鎖して順次リニューアルをして来たので、毎週少しずつ新しい売場が登場していたが、全てが完成した姿は予想以上に素晴らしく、世界にも通用しそうで、さすがに森田恭通氏と丹下憲孝氏の手によるものと感心した。
また、通路の幅が広く、LED照明なども使われた明るい売場は買い回りがしやすく、ストックとの距離を短縮するために1階から2階に移設した日本一の靴売場は、扱い数を150ブランドに90席だったイスを200席に拡大、靴売場だった1階は60ブランドを展開するバッグ売場としたが、売上も順調のようだ。
日本経営合理化協会の新春セミナーで大西社長は、「お客様のニーズが多様化しているので、それに追いついて素早く対応することが大切」だと話していたが、今回のリニューアルでは婦人服を「ヤング」「キャリア」「ミドル」という年齢別分類で従来のように区分せず、3階は海外ブランドを中心にして約100ブランドをラインアップした自主編集売場「リ・スタイル」、4階はブランドのイメージ別にファッション性の高い「モード」、高級感のある「ラグジュアリー」などにブランドを分類する感性区分にして、顧客の関心度に近いブランドが近くに並ぶようにしている。
今回伊勢丹では、1933年の開店当時と同じように正面玄関の天井シャンデリアを復元したが、これは昨年秋の東京駅丸の内駅舎と同様な流れだし、百貨店では阪急うめだ本店もリニューアルで成功しており、良き伝統は残しつつも、時代の最先端を切り開くようなリニューアルを行なう時期が来ていると改めて感じた。
======== DATA =========
●伊勢丹新宿店・グランドオープン
https://www.isetan.co.jp/icm2/jsp/store/shinjuku_remodel/
所在地:東京都新宿区新宿3-14-1
tel:03-3352-1111(大代表)
営業時間:10:00~20:00
4月から朝10:30~