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第8回 あなたの発言が法律で禁止されるかも?ヘイトスピーチについて

ステーツマンの力

■ヘイトスピーチ問題

 日本でも最近聞かれるようになったヘイトスピーチという言葉。皆さんは御存知でしょうか。 ヘイトスピーチとは、英語で「hate speech」、つまり憎悪的な発言や表現を指します。

 政界では、自民党の議員が中心となり、ヘイトスピーチの法規制を進めようとしています。

 

■ヘイトスピーチとヘイトクライム

 「ヘイトスピーチ」とは、持って生まれたものや変えられないもの(性別や国籍など先天的なもの)や、宗教や思想などの属性を有する集団に対して、「憎悪的・侮辱的・差別的」な表現をすることです。

 ヘイトスピーチの対象には、「性別」「職業」といったものから、「人種や皮膚の色」「宗教」「国籍」「民族」といったものまで様々あり、一般的に、対象がより先天的で、集団が小さいものになるほど「より悪い」ヘイトスピーチになると私は考えています。

 私が少し気にしている「体型」などもヘイトスピーチの対象になりえますが、自分の摂生でコントロールできるものなので「より悪い」ヘイトスピーチとは言えないと思います。

上記のヘイトスピーチが「表現」であるのに対して、より直接的に器物を損壊したり、危害を加えたりなど「犯罪行為」になったものが「ヘイトクライム」と呼ばれます。

 

■法が規制するヘイトスピーチ

 ヘイトクライムの場合は犯罪行為ですので、当然現行法で規制されます。(器物損壊罪・外国国章損壊罪など)

 ヘイトスピーチの場合でも、特定の個人や法人に対するものであれば、その利益を守るためにある程度の法律が確立しており、現行法での規制の対象となります。(侮辱罪・名誉棄損罪など)

 逆に、特定の個人や法人ではなく、特定の「属性」(国籍や宗教など)に対するヘイトスピーチというのは、「社会秩序」的な側面が強く、現行では規制する法律はありません。(在特会による街宣活動など)

 ※在特会(在日特権を許さない市民の会)とは、在日中国・韓国・朝鮮人が所有しているとされる「在日特権」を無くし、普通の外国人と同等の待遇に戻すことを綱領として設立された市民団体。

 

■ヘイトスピーチの論点

 ヘイトスピーチを考える上で重要な事がいくつかあります。

 例えば「社会法益(社会秩序の維持)」と「個人法益(自由社会の重視)」のどちらを重視するのか。

 受動的に受け取る情報なのか、能動的に受け取る情報なのか。(電車で目にするような広告から閉鎖的な掲示板など、どこからどこまでが対象になるのか)

 デモや街宣パレードなどの「行為」そのものを禁止するのか、そのデモで行うスピーチなどの「内容」を禁止するのか。などです。

 法律でヘイトスピーチを規制する場合、このような論点を明確にし、明文化する必要があります。

 

■海外のヘイトスピーチ問題

 ヘイトスピーチの問題は日本だけではなく、むしろ海外の方が盛んに議論されています。

 ドイツやフランスなどには「大陸法」と呼ばれる、ヘイトスピーチに対する厳しい法律が存在し、年間数百件単位でこの法律が適用される事例があります。これは、背景にユダヤ人差別などの問題があるためです。

 (例として、ドイツではホロコースト=ナチス・ドイツによるユダヤ人迫害の事実を否定することが、法律で禁止されています)

 

 一方で、同じヨーロッパでもイギリスは少し慎重な姿勢を取っており、該当する法律はありますが、年間の適用は数件となっています。

 逆にアメリカでは、表現の自由がアメリカ合衆国憲法修正条項で規定されているため、どのような表現を行っても法律での規制というものはありません。

 その代わりに、社会的な制裁をもって秩序を維持するという仕組みになっています。

 海外では元々存在している民族問題や宗教問題、9.11の同時多発テロに端を発するイスラムへの嫌悪感など、日本よりもヘイトスピーチの問題にナーバスになっているのが現状です。

 

 ここまでヘイトスピーチ問題の概要をお伝えしてきました。

 ドイツやフランスのように日本でヘイトスピーチの法規制が進んだ場合、どのような社会になるでしょうか。 逆にアメリカのように全く法規制しない場合はどうなるでしょうか。

 

■ヘイトスピーチについてのアンケート

私の考えをお伝えする前に、私の番組(「山田太郎のさんちゃんねる」ニコニコ生放送で毎週放送中http://taroyamada.jp/nico)で行った、ヘイトスピーチに関するアンケート結果をご紹介します。

 

 アンケートの内容は、ヘイトスピーチについて、以下の三択で集計しました。

  「1.法律で厳しく規制すべきだ」

  「2.法規制までしなくても無くすべきだ」

  「3.法規制以前に許容範囲だ」

 

 結果は、法規制を望む声は少数で、法規制せずに無くしたい考えの方と、全く問題ないと考える方と半々というところでしょうか。

 少なくとも、私の番組を視聴されている方は、法規制には反対が多数のようです。

 

■私の考えるヘイトスピーチ

 ヘイトスピーチに関する私の考えを申し上げますと、ヘイトスピーチを法規制することは「慎重に考えるべき」と考えています。

 決してヘイトスピーチ自体を容認するわけではありません。しかし、今行われているデモや発言を、全て「法律」で規制するということになると、どうなるでしょうか。

 もちろんヘイトスピーチによって傷ついたり、不快な思いをされる方は実際にいます。それを減らしていく必要はあるでしょう。

 

 しかし、そのような社会秩序的な側面を、全て法律でもって規制するというのは、慎重に考えていくべきです。

 表現や発言というのは、本来人間が持っている自然な行為であり、ある程度の自由さが保証されているからこそ、様々な文化が形成されてきました。

 ヘイトスピーチのように、判断や分別が非常に複雑な問題に関して、法律で規制する事になった場合、「表現の自由」についても同じように規制の影響を受けることになるでしょう。

 

 例えば父親が年頃の娘に対して「早く結婚しろ」と発言した場合、これが「女性」や「未婚」という「属性」に対して差別的な発言をしたと判断されれば、法規制の対象である「ヘイトスピーチ」ということになってしまうかもしれません。

 (これはかなり大げさな例で、上記発言を全面的に許容するわけではないですが、何もかもを法規制する場合、こういう可能性があるということになります)

 

 ヘイトスピーチの問題が深刻化し、ヘイトスピーチが全てヘイトクライムに直結してしまうような、社会的混乱が起きているような状況であれば、法律での規制が必要かもしれませんが、現在の日本はそのような状況でしょうか。

 何もかもを法で厳しく規制しなければ、日本人は秩序を守れないのでしょうか。

 

 私はそうは思いません。その前に社会秩序を維持できるような仕組みを考え、そういった事を抑止できる環境を作っていくことが重要だと考えます。(これは「表現の自由」を守る活動全てに言えることです)

 ヘイトスピーチ問題に関しては、様々な議論があります。とても難しい問題であることは間違いありません。

 法律や権力で押さえつけなくても、私達一人一人が、社会秩序をより良く、自然に維持していくことが出来る、そのような社会を作るために、私はこれからも尽力していきたいと思います。

 

 

【山田太郎氏の連絡先】(ご意見、ご質問、実現するべき政策等、ご連絡ください)

メール    :info@taroyamada.jp

ホームページ   : http://taroyamada.jp

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