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製造業

第241号 改善はカンタン

柿内幸夫─社長のための現場改善

 仕事先の近くでよく散歩をするのですが、よく道に迷います。先日、栃木県足利市で道に迷っていたら、立体交差の下の壁に大きな地図が書いてあり、助かりました。 写真を撮っておいたので掲載します。

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 さて、先回まで「ナゼ改善が必要か?」というテーマで8回にわたってお話しして参りました。そして今回からは「どうやって改善を実行するか」というテーマで、お話を続けます。

 改善という言葉は日本語ですし、そしてその改善が “KAIZEN” とローマ字で書かれて、海外で使われている様子もしばしば見かけます。こういうことですから、海外の人たちの中には、日本ではすべての製造業の現場で、全員が KAIZEN が実行していると思っている人が多いのです。

 ところが、現実は少々違うように思えます。「昔はうちの工場でもかなり改善活動をしていたけれど、この頃はそんな時間もないし、だいいち改善くらいじゃこの厳しい時代にはどうにもならないからね」とか、「最近の若い人はこういうことには無関心だから...」、あるいは「うちは外国からの人も多いので改善活動は諦めた」といった声を大変に多くの現場で耳にします。

 しかし、ここで改善の実行を諦めてしまったら、これから先の厳しい時代の変化に押し流されてしまうかもしれません。改善は人を育て経営を支えますから、是非とも諦めないで頂きたいのです。

 諦めてほしくない理由は二つあります。一つは製造業がこれからも日本を支え続けると信じているからです。製造業は国の付加価値の源泉であり、大きな雇用の場であります。製造業の力をみんなで回復させて、これからの日本の将来を明るく元気にしていきたいと思っています。

 それともう一つ。実はこれが今回の連載のポイントなのですが、改善は決して難しくないのです。日本語ができない外国からの人たちでも、改善で力を発揮できます。若い人たちが喜んで参加して下さる方法もたくさんあります。

 ということで、まずは「改善とはどういうことか?」について私の考えをお話しします。

 人は、何か困ると必ず対応します。ここでいう「困る」とは、非常に当たり前の日常的なことで、例えば「もうすぐ雨が降り始めそう」といったことです。

 もう少ししたら雨が降りそうと分かれば、行った先で濡れてしまえば困りますから、外出する人は必ず傘を持って行くでしょう。あまりに当たり前のことですが、私が考える改善とは、このレベルのことを言っています。誰でもが当たり前に行う対応ですが、実はこれも改善と考えています。

 こんな当たり前のことを“改善”と言ってしまったら何でもかんでも“改善”になってしまうじゃないか!というわけですが、何でもかんでも改善と認めるところから、私の改善は始まります。

 例えば、ご自宅の台所の食材や食器、ナベやフライパンなどの配置を見てみましょう。当たり前と思っていたそれらの配置には何らかの工夫の跡がみられると思います。

 狭い台所で素早く、そして安全に調理という仕事をしなければいけません。それも毎日です。だから気が付かないうちにいろいろな工夫がされているのです。

 狭い場所なので茶碗を取り易く重ねて置いたり、100円ショップで買った入れ物を使って、フリカケなどを整頓したりといったことがたくさんされているでしょう。

 その考え方を持って、今度は工場の現場に行って、それぞれの工程の作業の様子をじっと観察して下さい。

 そこで、もし同じ作業をしている人が二人いたとして、お二人が全く同じやり方ということはないでしょう。モノの置き方や作業の進め方などに違いがあると思います。

 その違いをジッと見比べてみると、それぞれの人の工夫が見つかるはずです。そのような見方をすると、実はあらゆる人が自分ではそれを工夫とは思っていないかもしれませんが、工夫を実行しているのです。

 そんなのは当たり前だ、分かっているとおっしゃらずに、ぜひご自分の目でこの事実を確認して頂きたいと思います。この第一ステップから最後には経営を支える改善にまで話は続きます。

 暑かった夏もそろそろ終わりそうです(もう九月も半ば過ぎですから、当たり前と言えば当たり前ですが...)。涼しくなるのは嬉しいですが季節の変わり目です。どうぞお身体お大切になさって下さい。

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copyright yukichi

※柿内先生に質問のある方は、なんでも結構ですので下記にお寄せください。etsuko@jmca.net

 

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