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製造業

第322号 【急所80】監督者は作業の流れを、工場長はモノづくりの流れを、社長は儲けの流れを見よ

柿内幸夫─社長のための現場改善

 今回も私の著書「改善の急所101項」から1項を紹介し、実例を挙げて解説します。  

 【急所80】監督者は作業の流れを、工場長はモノづくりの流れを、社長は儲けの流れを見よ。(184頁)

 少し前のことですが、お盆の時期に上海に行きました。それまでにも仕事で上海には何度か行ったことはあるのですが、すべて指導をしている日本の会社の中国工場、すなわち日系の工場でした。
 
 しかし今回はいつもと違い、上海交通大学の依頼で現地の工場を見に行ったのです。そんなに大きな違いはないだろうと思っていたのですが、行ってみると私の予想は大きく違っていました。大げさですが、腰を抜かすほど驚きました。
 
 簡単に言うと、そこで見たのは工程間のつなぎの改善でした。拙書「最強のモノづくり」でいうと、6つあるレベルのうちの下から2番目の「工程間の流れ」ですから、レベルとしては驚くことではありません。
 
 ところが、その内容がすごいのです。例えて言うと、プレス工程、溶接工程、組み立て工程用の3つの別々の工場があったのを、それぞれの工場建屋の中にプレス、溶接、組み立ての全工程を突っ込んだ感じのレイアウトに変更がされていたのです。
 
 すなわち、3つの工場のすべてに、3つの工程を入れちゃったということです。
 
 なぜ驚いたかというと、本当にただ別の建屋にあった設備をそのまま移設しただけという感じだったからです。私の感覚からするとチョー乱暴、作業していた人たちはレイアウトが悪いので大変そうでした。
 
 日本だったらこれはやらないな…というのが私の第一印象でした。
 
 しかし、しばらく見ていて気付いたことがあります。もし一年後にまたこの工場に来てみたら、きっとこのレイアウトは使い易く改善されているだろうなと思ったのです。
 
 一方、日本で一年後に何が起きているか…と考えると、もし、「これでは乱暴すぎる」と考えて何も始めなければ、一年経っても何も起きていないだろうということです。
 
 日本人である私たちは、ある面考え過ぎであるかもしれません。チョー乱暴であってはいけないかもしれませんが、慎重すぎるのもいけないのです。ちょっとくらいなら乱暴しませんか?と思っています。
 
 そして先週は、サンフランシスコに行きました。エバーノート本社とグーグル本社に行き技術者と議論をしました。そこで感じたのは、明確なターゲットと集中力のある仕事の進め方でした。
 
 それぞれの会社のエンジニアは二人とも日本にいた経験があり、両者の仕事のやり方を知ったうえで話をしてくれました。
 
 その二人に共通した意見として、日本人は会社にいる時間が長すぎるということがありました。もし集中していたらとてもあんなに長い時間働くことはできないし、逆にあんなに長い時間会社にいたら、集中した仕事なんかできないといのことでした。
 
 彼らは日本人である私に気を使って、日本の良さをたくさん話してくれましたが、この時間の使い方については、全くその通りだと思いました。
 
 忙しいはずの彼らが十分すぎるほどの時間を取ってくれたので、リラックスした雰囲気の中でディスカッションし、オフィス内での仕事ぶりを見ることができました。
 
 大声でジョークを交えながら楽しそうに仕事をしているなあと思いましたが、彼ら一人ひとりのターゲット(テーマ、到達レベル、締め切り期日など)は明確で、彼らが持つ緊張感は大いに感じられました。
 
322.jpg
グーグル本社の敷地はとても広いので、そこら中にグーグルカラーの
自転車が置いてありました。みんなが自由に使っているそうです。
 
 
 さて、中国で感じたすごい実行力、そしてアメリカで感じたすごい集中力は、これからの日本のモノづくりを考えるにおいても重要なポイントです。
 
 社長は儲けの流れを見てください。儲かる商品、儲かる技術、儲かるマーケットを開発してください。
 
 工場長はモノづくりの流れを見てください。レベル5は達成してほしいです。
 
 そして監督者は作業の流れを見てください。一回つかんだら放さず製品を完成して手待ちの全くない付加価値付きっぱなしの流れをすぐに作り上げましょう。
 
 

 

 

 

※柿内先生に質問のある方は、なんでも結構ですので下記にお寄せください。etsuko@jmca.net 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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