展示会で成果を出す鉄則は、1ブース=1アイテム=1ターゲット!
展示会営業®コンサルタントの清永健一です。
今回のコラムでは、成果を出す展示会出展の土台になる、最も重要な考え方についてお伝えします。
「どの展示会に出るか」を決めたら次に何を考えるべきなのでしょうか?ついやってしまいがちなのは、いきなり「どんなブースにするか?」を考えてしまうことです。でも、それでは成果は絶対に出ません。その前に必ず検討すべきことがあります。
それは、「だれのどんな悩みを解決するために出展するのか」を考えることです。展示会営業®ノウハウでは、このことを「出展コンセプト」と名付けています。
「出展コンセプト?むずかしそうだなぁ」
あなたはそう思ったかもしれません。でも、安心してください。出展コンセプト検討シートに基づいて考えていけばよいのです。
「1.展示会で出会いた相手は?」
まず、始めに、左上の「1.展示会で出会いた相手は?」の欄を埋めていきます。文字通り、展示会で出会いたい相手を考えればよいのですが、ひとつ注意点があります。というのは、油断すると、多くの人が、この問いに対して、「建設業」「組立製造業」などのように業種を記入してしまうからです。
しかし、「建設業」「組立製造業」という人は展示会場を歩いてはいません。「建設業の設計部門の責任者」とか「組立製造業の社長」のように、きちんとパーソン単位まで落とし込んで考えましょう。
もうひとつの注意点は、「出会いたい相手」には、出展予定の展示会に一定数以上来場する属性の人を設定する、という点です。来場しない人を「出会いたい相手」に設定しても成果はでませんので注意してください。
どういう属性の人が来場するか不明な場合は、該当する展示会の主催者に、出展検討社として電話などで問合せをしましょう。昨年の実績などのデータを教えてくれることがあります。
2.その人が日ごろ心の中でつぶやいている悩みは?
次に、「1.展示会で出会いた相手は?」で設定した人が、「日ごろ心の中でどのような悩みをつぶやいているか?」を考えます。
この問いが、出展コンセプト検討シートの中の4つの質問の中でもっとも重要です。できるだけ多く挙げてみましょう。この時のポイントは、自社が解決できるかどうかは別として、その人になりきって悩みをできるだけ多く列挙する、ということです。
こういう場合に、私たちはつい、自社が提供する商材で解決できる悩みだけを考えてしまいがちです。でも、それでは、売り手側の発想になってしまいます。売り手発想になると、来場者には売り込みと映ります。売り込みは嫌われてしまいますから、成果が出なくなってしまうのです。
あなたの会社の思惑とは別に、その人は、生活したり、勤務する中でさまざまな悩みを抱えているはずです。その悩みを、その人になりきって挙げていくのです。たとえば、出会いたい相手が「中小製造業の社長」で、あなたが展示会で訴求する商材が「工場用の部品棚」だったとしましょう。
この時に、自社が解決する前提で悩みを上げていくと、
・最近部品点数が増えてきて整理整頓が大変だ
・工場のスペースが手狭になってきた
・部品の紛失によるロスが多くて困る
などになるでしょう。これは、確かにその人の悩みではあるのですが、自社視点、売り手視点で相手を見すぎています。
そうではなくて、「中小製造業の社長」になりきって、自社が解決できるかどうかは別として、考えてみましょう。そうすると、先ほど挙げた自社が解決できる悩み以外にも、
・人手が足りなくて困る
・値引き圧力が強くて儲からなくなってきている
・品質にバラツキが多くなっている
など、さまざまなものが出てくるはずです。
「自社が解決して差し上げられない悩みを挙げても意味がないんじゃないだろうか?」
あなたはそう思ったかもしれません。でも、解決できなくてもいいのです。相手がそういう悩みを持っていることを理解した上で、その悩みに寄り添い共感してあげるだけでもその姿勢は相手に伝わります。
自社商材で解決できる悩みだけをあげつらって売り込みをしてくるブースと相手の悩みに共感し寄り添いながら提案するブース、来場者にとって、どちらがよいかは明白ですね。
相手の悩みを挙げる際の表現についても重要です。きれいな言葉にせず、相手が心の中でつぶやいている言葉そのままを記載しましょう。「人材が不足していて不都合が生じている」ときれいに表現するのではなく、「人手が足りなくて困るなぁ」と生々しく表現するということです。
なぜなら、日ごろ心の中でつぶやいている悩みなら、展示会場でも、つぶやいているはずだからです。自分が日ごろ心の中でつぶやいている悩みを生々しく体現したブースが現れたとしたら、その人は必ず、そのブースに足を止めるはずです。だから、きれいにしすぎず、心の中のつぶやきをそのまま生々しく表現しましょう。
それと、前向きな言い方に変換せず、悩みを悩みのまま、後ろ向きな文章で表現することも重要です。
たとえば、「人を採用したい」と前向き表現を書くのではなく、「人手が足りなくて困るなぁ」と後ろ向きな言い方でできるだけ多く挙げていきましょう。
展示会で出会いたい人の悩みをできるだけ多く列挙したら、次に、列挙した悩みに優先順位をつけていきます。悩みにも優先順位の高いものから低いものまでさまざまなものがあるはずです。その人になりきって、優先順位付けをしていきましょう。
1
2