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製造業

第323号 【急所1】工場でのあらゆる活動は、お客様からのご要望に応えるために行っている

柿内幸夫─社長のための現場改善

 今回も私の著書「改善の急所101項」から1項を紹介し、実例を挙げて解説します。  

 【急所1】工場でのあらゆる活動は、お客様からのご要望に応えるために行っている。(14頁)

 12月になりました。2015年もあとわずか、そろそろ今年の振り返りを行い、その上で来年実行することを決めるタイミングかな…と思います。
 
 今年もいろいろなことが起きました。インダストリー4.0(ドイツ)やインダストリアル インターネット(アメリカ)に代表される産業界におけるインターネットの進化や人口の減少に伴う人手不足・国内マーケットの縮小などなど。間違いなく来年も同様でしょう、あるいはそれ以上かもしれません。
 
 明らかに変化のスピードがはやくなっているので、今年と同じことを来年も頑張ってやります、というのでは少々心配です。置いていかれるかもしれません。取り残されるわけにはいきません!
 
 では、何をどう変えるか? 今回はその方法を考えます。
 
 先回、Google社やEvernote社に行ってアメリカの先端技術に触れてきた話をしましたが、そこで先方のエンジニアから聞かれた質問があります。
 
 「日本人と話していて、いつも変だなと感じることがありまーす。モノづくりや商品性能の話だと日本人技術者は素晴らしいのですがー、マーケットの話や会社を動かす話はあまり得意ではないように思いまーす。ホワイ?」
 
 その上で社内を見せてもらいました。会議室はすべて床から天井まで完全ガラス張りなので、いろいろな人たちが話し合っているところを眺めながら通り過ぎました。そのとき私は、あることに気が付きました。
 
 会議室内にホワイトボードが見当たらないのです。そこで何故ないのか、要らないの?と聞きました。
 
 それに対する彼の答えはちょっとびっくり。
 
 「よく見てくださーい、会議室内も廊下も壁という壁はすべて“ホワイトボード”デスヨ。」
 
 気付かなかったのですが、そうでした。廊下の壁にもいろいろな数式やフロー図が書かれていました。上手なサンタさんの絵もありましたが…。
 
 歩いていると、数名の男女が廊下の壁の前に立って、その白い壁に何やら書き込みながら議論しています。私はあの人たちは誰ですか?と聞くと、営業と技術の人たちで、真ん中の女性は副社長でした。
 
 彼らは、必要だと思うと即座に必要な人が集まって議論を開始します、とのことです。組織の間に壁がないのです。そして、そのテーマは常にお客様 〝Customer, market″を中心に据えたものとのことでした。
 
 私はこの考え方とやり方は「いただき!」だと思いました。来年に向けての新たな変化を実現するにあたって、改めて「お客様からのご要望に応える」というテーマをもとに、みんなで議論をしてみてはいかがでしょうか? 
 
 確かに、この部分は一般的に言って、日本の製造業には十分でないところだと思います。
 
 営業部門の方ならお客様のことを考えるのは当たり前かもしれませんが、そうではなくて、製造も設計も調達も管理も、みんなが一緒になって具体的なことを議論して、来年更にお客様から喜ばれることをするには、会社全体として何をどうみんなでやるかを議論するのです。
 
 コストとか生産能力とか、いろいろな制約条件を持ち出してできない理由を説明するのではなく、どうなればもっとお客様に喜んでいただけるかを議論して、すべてができなくてもみんなでやればどこまでできるかを議論するのです。
 
 もし自分たちだけでなければ、もっとここまでできる、例えば大学と協力すればとか、他社とのアライアンスを組むとかといったこともいいですね。あるいは、部品で納めるのではなくモジュールで納める…などもいいですね。
 
 これができれば、最初に書いたアメリカ人技術者の日本人技術者に対する疑問が解決されますね。「作れば売れる時代は終わった…」というのはもう30年以上前の話です。ところが「売れるものを作る」という議論が、未だになかなか始まらないのです。
 
 来年はここにも大きな一歩を踏み出しましょう!これが大きな革新につながることを確信しています。カクシンカクシン!
 
 
 

 

 

 

※柿内先生に質問のある方は、なんでも結構ですので下記にお寄せください。etsuko@jmca.net 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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