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健康

第31回 筋湯温泉(大分県) 腰痛や肩こりにも効く!? 日本最大級の「打たせ湯」

高橋一喜の『これぞ!"本物の温泉"』

 ■「筋の病に効く」山峡の湯
 単に湯船につかるだけが温泉の楽しみ方ではない。日本の温泉には、寝転がって入浴するスタイルもあれば、温泉のミストをサウナとして利用する文化もある。「飲泉」という温泉を飲む習慣もある。
 
 実にバラエティーに富んでいるが、頭上から湯を落とす「打たせ湯」も、日本の温泉地でときどき見られる入浴スタイルである。
 
 打たせ湯の代表格は、阿蘇くじゅう国立公園内に位置する「筋湯温泉」だ。標高1000メートルに湧く山峡の温泉地で、開湯は958年にまで遡り、1000年以上の長い歴史を誇る。筋肉をほぐし、肩こりなど「筋の病に効く」ということから、「筋湯」と呼ばれるようになったとか。近くには地熱発電所もあり、地域一帯が熱のパワースポットである。
 
 温泉街には二十数軒の宿が点在していて規模も小さくないが、特に平日の昼間などは人の姿もまばらで、ひっそりと静まりかえっている。
 
 しかし、温泉街の中心部まで進むと、その静寂を切り裂くような音が聞こえてくる。ドドドドドッ。滝のような大きな音を発しているのは、「日本一」の規模を誇る打たせ湯が自慢の「筋湯うたせ大浴場」。内湯の共同浴場であるが、外まで湯が落ちる音が響いている。
 
 ■18本の湯が落ちる光景は圧巻
 浴室の扉を開けると、さらに湯音のボリュームが上がる。湯気で視界は悪いが、30人以上が同時に浸かれそうな巨大な湯船の奥に、流れ落ちる打たせ湯がうっすらと見える。湯気が充満した浴室内に窓から光が差し込み、幻想的な雰囲気だ。
 
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 18本の打たせ湯が横にずらっと並ぶ光景は圧巻。2メートル超の落差があるので迫力がある。打たせ湯のある温泉施設はめずらしくないが、これほどの規模と湯量を誇る打たせ湯は、日本には他に知らない。
 
 「おお、すごい!!」と思わず感嘆の声をあげてしまったが、すぐに湯の音でかき消される。あまりのボリュームで、浴室内で会話などできないから、おのずと正面から湯と向き合うことになる。
 
 まずは広々とした湯船で体を温める。無色透明の湯は、これといった特徴はないが、クセがなく、やさしい肌触りにホッとする。もちろん、かけ流しにされている。
 
 ■湯の当て方はお好みのスタイルで
 体を十分に温泉に慣らしてから、打たせ湯の下に腰かける。ちょうど両肩に湯が当たる。適度な量と勢いで湯が落ちてくるので、痛すぎず、弱すぎず、ちょうどよい。
 
 打たせ湯は、「気持ちいい」というよりも、「痛い」というイメージをもっている人もいるかもしれないが、絶妙な力加減でヒットしてくれる。私もかつては打たせ湯を敬遠していたほうだが、筋湯温泉で打たせ湯の気持ちよさを知ってからは大好きになった。苦手意識をもっている人にはおすすめだ。
 
 一般に、打たせ湯はマッサージ効果があり、肩こりや腰痛にも効果があるとされる。だから、肩に湯を当てる人もいれば、腰に湯を当てる人もいる。なかには、足や背中に集中的に当てる人もいる。頭から湯を浴びる人も少なくない。
 
 私が入浴したときには、四つんばいの姿勢で腰に湯を当てている人もいた。打たせ湯の利用方法は人それぞれ。自分なりに気持ちよい湯の当たり方を研究するのも打たせ湯の楽しみ方のひとつだろう。
 
 筋湯温泉のほかには、酸ヶ湯温泉(青森県)、後生掛温泉(秋田県)、鳴子温泉・滝の湯(宮城県)、湯の山温泉(広島県)、別府温泉・ひょうたん温泉(大分県)などでも本格的な打たせ湯を体験できる。また、近年はスーパー銭湯など街中の施設でも打たせ湯を設けているケースが少なくないので、気軽に湯に打たれてみてほしい。
 

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