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第151回 屈斜路湖畔温泉(北海道) 白鳥と混浴!湖畔の絶景温泉

高橋一喜の『これぞ!"本物の温泉"』

■湖畔の砂浜から温泉が湧き出す

 湖には、海とは違う魅力がある。いちばんの違いは、その静寂さだろう。とくに山の中にある湖は、波もおだやかで、神秘的な雰囲気が漂っている。そんな湖を眺めながらの入浴も趣きがある。

 北海道東部に位置する弟子屈町にある屈斜路湖は、北の大地の大自然に囲まれた神秘的な湖である。日本最大のカルデラ湖で、全面結氷する淡水湖としても日本最大の面積だ(近年は温暖化などの影響で全面結氷しない年もある)。屈斜路はアイヌ語で「沼の水が流れ出る口」を意味するという。

 カルデラ湖である屈斜路湖周辺は火山地帯であるため、湖畔のあちらこちらから温泉が湧き出している。その代表的なスポットが「砂湯」だ。

 一見なんの変哲もない湖畔の砂浜だが、砂浜を手で数十センチ掘り返すだけで、温泉がジワーッとしみだしてくる。「自分の手で温泉を掘る」という体験はめったにできないので、感動的ですらある。

 砂湯は人気の観光スポットで、土産物店なども集まるため、さすがに湯船を掘って入浴というわけにはいかないが、足湯くらいなら気軽に楽しめる。

 そのほかにも屈斜路湖畔には、池のように広々とした湯船が特徴の「池の湯」、和琴半島の付け根にある三日月型の露天風呂「和琴温泉」など、開放的な野天風呂が点在し、地元の人や観光客の憩いの場となっている。

■まるで湖に浸かっているかのよう

 湖畔の野天風呂群の中でも、絶景温泉として知られるのが「コタンの湯」である。無料で入浴できる露天風呂である。

 湖のほとりに簡素な湯船がひとつ。岩づくりの湯船の真ん中に巨大な岩が配置されており、いちおう男湯と女湯に分けられている。5~6人ずつ入浴できるサイズだ。とはいえ、ほぼ混浴状態なので、水着やタオル巻きでの入浴もOKである。なお、脱衣所は男女別に設置されている。

 湯船に浸かれば、目線は湖面とほぼ同じ。屈斜路湖畔の他の野天風呂よりも、湖を間近に感じられる。湯船から手を伸ばせば湖面に触れられるほど湖に近接しており、まるで湖に浸かっているような錯覚に陥る。流行りの言葉でいえば、インフィニティ温泉の一種といえよう。

 湖畔に押し寄せる湖のさざ波も心地よい。視線の向こうには、屈斜路湖を取り囲むように連なる緑の山々を望む。

 源泉は無色透明のナトリウム‐炭酸水素塩泉。シンプルで、すべすべとした肌触りが特徴の美肌の湯だ。もちろん、源泉かけ流しである。

■静寂に包まれる早朝の野天風呂

 コタンの湯は、人気の観光スポットで入浴客や見学者も多いが、早朝6時に訪ねると、幸運なことに先客は誰もおらず、1人で入浴することができた。周囲は静まり返り、聞こえるのはさざ波の音と、野鳥のさえずりのみ。湯船の中で手足を思い切り伸ばすと、心も解放されるようだ。

 朝霧に包まれた幻想的な湖面を眺めながら温かな湯に浸かっていると、北海道の大自然を独り占めしているような感覚になる。湖が茜色に染まる夕暮れ時の入浴も、きっと特別な時間になるだろう。

 冬場はさらに印象的な光景に出会える。屈斜路湖に飛来してきた白鳥が湯船の目の前まで寄ってくるからだ。というのも、野天風呂のまわりからは温泉が湖に漏れ出ていて冬でも結氷しないからだ。白鳥が温泉で羽を休めているように見えなくもない。

 白鳥に囲まれながら入浴していると、まるで白鳥と混浴している気分になる。このような体験ができる温泉は、コタンの湯くらいだろう。
 
 なお、コタンの湯は地元の有志のみなさんが管理してくれているため、無料の野天風呂としては清掃が行き届き、清潔感がある。ありがたいことである。入浴マナーを守るのはもちろんのこと、感謝の心をもって利用したい。

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