
儲かるメーカー指導歴35年。製造業の現場を知り尽くす柿内幸夫氏に、中小企業でもすぐできるAI・デジタルツールの賢い活用方法を事例をまじえてお話しいただきました。
ここ数年でAIや優れたデジタルツールを誰でも使えるようになってきました。製造業では、どのような影響がありましたか?

AIやデジタルツールを活用することで、製造業の現場で、「自分たちでは無理」、「大変だ」、「お金がかかる」と思われていたことが次々カンタンに、無料ないし、低コストで実現できるようになってきました。
最近は多くのメーカーで、技術の伝承がままならない中、ベテラン社員が退職してしまい、技術面や品質面で問題が発生しはじめています。
技術の伝承で一番おススメなのは、動画の活用です。
ひと昔前は、動画の撮影には機材が必要で、撮った動画の編集に加え、それを視聴する環境も用意しなければならないなど、手間もお金もかかるものでした。だから、写真や文章でのマニュアルが中心でした。しかし、それでは、伝えられる内容に限界があり、外国人労働者に対しては言語の壁も立ちはだかります。
いまは、スマートフォンと「ChatGPT」や「Gemini」などのAIツールの台頭で、無料で誰でもカンタンに標準作業ビデオを撮影し、編集することができるようになりました。撮影した動画をオンライン上にアップロードすれば、作業者は動画をスマホなどでどこでも手軽に確認することができます。
指導先の一つに、外国人の社員が非常に多く、「ちゃんと教えられない」と悩んでいる会社がありました。
そこで、その会社ではお手本として、ベテラン社員の作業をスマホで撮影し、「動画の通りにやってね」と指導したり、外国人の社員が作業する様子を撮影し、それをお手本動画と比較することで、「持ち方が違う」といった問題に気づくことができ、技術伝承がスムーズに進みました。
加えて、AIを使えば、日本語を一瞬で別の言語に翻訳することができます。動画では、作業者に日本語で話してもらい、それに視聴者に応じて字幕をつけるといったことが、可能になります。
また、私の指導先では設備のIoT化(既存設備にセンサーをとりつけ、稼働状況をデータ化)を進めることで、今まで職人の長年の経験によって積み上げられてきた暗黙知を「〇度に加熱したら、次の工程に進む」、「△度で曲げる」といったように細かく分解・数値化し、「匠の技術」を誰でもバラツキなく、こなせるようになった会社もあります。





















