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新技術・商品

第110話 課題解決を明示する商品は強い!

北村森の「今月のヒット商品」

8月27日〜29日、日本DIY・ホームセンター協会が主催する「第62回 JAPAN DIY HOMECENTER SHOW 2026」が、千葉県の幕張メッセで開催されました。バイヤーが数多く訪れる、この業界において国内最大級の展示会です。

 

私は昨年に続いて、この展示会の会場で行われる「新商品コンテスト」の審査委員を務めました。今回のエントリー商品は108。そのなかから、私が個人的に惹かれた新商品について、3つ、ここでお伝えできればと思います。

 

まず、杉田エースが6月に発売した「具だくさんにゅうめん」です。「ふわふわたまご麺」、「いろいろきのこ麺」、「たっぷりわかめ麺」、「あおさあさり麺」、「しじみしょうが麺」という5種のラインナップで各842円。

 

製造から3年という長期保存が利く商品で、お湯を注いで3分で完成。非常時には水で60分間待てば食べられるというものです。と聞くと、「ああ、いわゆる非常食なのね」と思われるかもしれませんが、中身がなかなかに凝っています。

 

使っているのは播州手延べ面。5種のダシはそれぞれの専用仕様であるそうです。そして、商品名が示す通り、具材がたっぷりと入っています。担当者は「本当にたくさんなんですよ」と力説していました。

 

非常食に関して、私は20年ほど前からもうずっと考えていることがあります。非常食というのは、できれば普段食べているものに近いものが望ましい。大変な状況下で口にするものであるだけに、そのほうがストレスが減りますし、気持ちのうえでもほっとできるからです。

 

同社の担当者はまさにそのような発想で、この商品を開発したのだといいます。「日常のなかでこの『具だくさんにゅうめん』を召し上がっていただいて。いざという非常時にも、この味を」という狙いとのことです。だから、同社ではこの商品を、非常食ではなく長期保存食というふうに位置付けているそうです。

 

次はこちらです。画像のなかのどの商品かというと、調理道具がかかっている白い棒です。つっぱり棒ですね。

 

日本で初めてつっぱり棒を商品化したのは、平安伸銅工業という企業です。今から50年前のことであり、もう半世紀になるのですね。現在ではほぼ誰もが知っている存在でしょう。

 

そんな同社が8月に一般販売を開始したのが「極ピタつっぱり棒」です。長さは4タイプあって、実勢価格は700円前後からです。

 

いまさらつっぱり棒で新機軸など打ち出せるのか、と思われるかもしれませんね。それがですね、打ち出せたんです。

 

担当者によると「バネ式のつっぱり棒の取り付け方を、多くの消費者の皆さんは間違えていらっしゃるんです」といいます。どういうことか。正しくは、取り付ける空間の幅よりも、つっぱり棒を数センチ長めにしてあげて、それをぐっと力を入れて少し縮め、空間にセットする手順だそう。ところが、多くの消費者(私もそうでした…)は、空間よりも短めにセットして、そこからぐるぐるとつっぱり棒を回して左右幅に合わせようとしがちです。

 

この間違ったやり方だと、ものを吊るしているうちに、重さで突然落ちてしまったりしがちですね。つっぱり棒がつっぱりきれていないためです。

 

では今回の新商品で、同社は何を発想し、完成っさせたのか。担当者が言うには「間違った取り付け方を、正解にしてしまえばいい」と判断したそうです。つまり、空間幅より短い状態からつっぱり棒を伸ばしてセットするという手順で、ちゃんと正しく固定できるように、商品仕様をまるっきり変えてしまった。しかも内部構造や左右両端の仕様によって、従来よりも2倍の耐荷重をも確保できているらしい。

 

つっぱり棒の先駆者が、みずからの手によって商品の基本的なところを全面見直ししたという話なわけです。

 

最後はこちらです。会場のブースで使用シーンを映した動画でプレゼンしていたので、それを撮ったのが上の画像です。

 

これ、スクレーパーという掃除道具で、プロのハウスクリーニング事業者や建築関係といったプロの職人さんたちにとっては欠かせない存在と聞きます。平たい刃が本体についていて、それを使ってサッシの溝であるとか、洗面台のタイルであるとか、キッチンの汚れであるとかを、極々簡単にすっと削り落とせるという存在です。

 

創業からまもなく130年で、刃物を長らく取り扱ってきたナルビートという企業は、言ってみればプロ御用達のスクレーバーを開発し続けてきました。で、この8月に発売したのが「スパートブレードホルダー」と名づけたスクレーパーです。実勢価格は600円台です。

 

この新商品の特徴はコンパクトなこと。通常のスクレーパーは刃幅40ミリほどのものが多いのですが、これは半分以下の19.5ミリです。これによって、これまでのスクレーパーなら入り込ませることが難しかった蛇口の裏側などにも簡単に使えるようになった。

 

今回の新商品もやはりプロ向けかというと、担当者は「まずはプロへと考えていますが、一般消費者にも浸透させたい」と意気込んでいます。コンパクトなサイズで価格が手頃なのもいいですし、なにより「こんなものがあると知らない消費者がまだ多いでしょう。これを機に『一家に一個、スクレーパー』とアピールしたい」と語っていました。確かに、自宅で気合の入る掃除をという場面で、この商品は力を発揮してくれそうです。

 

この3つの商品に共通するのは、どれも課題解決の方向を明快に示そうと挑んで完成した商品と捉えられる点にあります。非常食とはどうあればいいのか、つっぱり棒を使う際のストレスをどうにか取り払えないか、掃除の大変さを軽減させるためにどんな道具があるべきか。

 

課題のありかと向き合って、その解決に臨む姿勢は、うやはりヒット商品創出の大きなカギになるという話でした。

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