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マネジメント

第177回 『引き際を見れば、その人の器量が知れる』

社長の右腕をつくる 人と組織を動かす

功成り名遂げた人に対して与えられる最終評価は、
引き際の様で決まるという。
 
引き際の様には、3つの典型的な型がある。
 
最も望ましいのは、身を引くタイミングを自分で判断して
潔く辞めるというスタイルである。
「まだ辞めないでもよいのに」と、人からは惜しまれる。
 
重要な点として、在任中に後継者を立派に育てている。
《華のある辞め方》といえるだろう。
 
第二は、
自分ではなかなか思い切りをつけられないが、
ルールもあることだし、周囲からも、
「そろそろですよ」と言われて身を引くというものである。
 
圧倒的の多いのはこのタイプである。
 
もうひとつは、何だかんだの理屈をこねて
現在の地位にこだわり続けるという型である。
 
辞めない典型的な理屈としては、
「まだやることが残っている」
「周りの人が辞めないでくれと言っている」
……などが、挙げられる、
 
 
私はどの世界でも、
INDISPENSABLE(絶対に欠くことのできない)な人などは、
この世に存在しないと考えている。
 
相当に影響力の大きな人であっても、
いなくなれば後は案外うまく回っていくものである。
 
「自分の力は絶大」と思い込んだ時に、その人の老化は始まる。
 
 
話を戻そう。
 
 
前述の第一の型をいうと、
故・本田宗一郎氏の《辞め方の美学》は、あまりにも有名である。
 
特徴としては、
 (1)自分で決めた
 (2)人に惜しまれながら辞めた
 (3)辞めた後は後継者に対して余計な介入をしなかった
の、3つが挙げられる。
 
 
第2の型には、宮澤元総理のケースがあてはまる。
 
一度は立候補を明言したが、
73歳定年制(当時)を盾にした総理の説得に対し、
少なくとも表面上は潔く引退を表明した。
 
辞める理由として
「総理のメンツをつぶすわけにはいかない」というのは、
理論派の宮澤氏らしからぬ浪花節的な言ではあるが、
大方の共感を呼んだのではないだろうか。
 
 
一方、中曽根元首相は、第3の型に属する。
 
あくまで結果的にすぎないが
しは、いくつかの判断ミスを犯したのではないか。
 
ミスのひとつは、正しいか正しくないかは別として、
「時代は若手志向に動いている」という潮流を軽く見過ぎた点である。
 
国会の老化現象に対する歯止めが73歳議員定年制であり、
85歳という年齢は大幅に逸脱する。
 
交渉の相手が強情で知られた小泉首相であったことも、
中曽根氏には不利に響いた。
平たくいえば、「相手を見くびった」という失敗である。
 
「礼節をしらない」というが、
一国の総理がわざわざ足を運んで《お願い》するというのは、
たいへんな礼節の尽くしようとも考えられる。
「テロ行為と同じだ」という感情的な表現もいただけない。
 
そして、最大の過ちは、自分を《必要不可欠》と思い込んだことである。
 
 
進む路を決めるのは容易だが、
引き際を決めるのは何とも難しい業である。

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