コロナ禍が一段落したその瞬間こそが真の危機
社会がコロナ禍に見舞われたころから私自身が何度もお伝えしていたことのひとつに、「地域にとって真の危機が襲うのは、コロナ禍が一段落したその瞬間だ」という話があります。
観光のことを例にとりましょう。移動にも消費にも制約がなくなれば、多くの消費者は有名な観光地に目を向けがちです。そうなると、小さな地域は埋もれてしまいかねません。しかもコロナ禍が落ち着けば、政府や自治体による地域支援のための助成金や補助金はもう期待できません。だからといって、地域のそれぞれの事業者が身を削って料金割引できるような体力など、もう残されていないはずです。
だから「コロナ禍が一段落したその瞬間こそが真の危機」であるわけです。
そして今がまさにそうですね。全国各地を訪れると、「こんなはずではなかった」という声を耳にします。人の流れは復活しているはずなのに来客数が伸びないという飲食店主の悩みを聞くと、とても悲しくなり、思わず応援したくなります。
その一方で、「危機を危機と捉えられているか」と心配になる場面にも出合います。いつもの連載原稿とは少し異なり、僭越ながら苦言を呈する内容になることを、どうかお許しください。
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