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第159話 雪の窯珈琲 @江戸川区船堀 ~ピザ窯のある人気カフェ

大久保一彦の“流行る”お店の仕組みづくり

今回は2016年5月の開業のお手伝いしましたのが会員の樋口綾太さんの『雪の窯珈琲』を紹介します。

 

『雪の窯珈琲』は東京都江戸川区の船堀駅から徒歩10分くらいのところの奥まったところのマンションの一階に店はあります。

開業を準備していた当時は飲食店の出店が多くなり始めたころで、なかなか物件が出てこなかったわけで、物件探しにかなり苦労した記憶があります。

 

当物件は、駅から離れていて、奥まっていて心配はしましたが、家賃が安いので損益分岐点も低くなるので、なんとかやっていけるだろうということでこの物件を選びました。

 

設計、内装は私の事務所のブレインの「アキデザイン工房」にお願いしました。

アキデザイン工房は、これまで数年に一度、開業やリニュールをお願いしてきました。

 

巣鴨の『グリルK』や『ステーキせんごく』などが代表的な店舗です。

 

樋口さんは空間にかなりこだわりがあり、重厚で雰囲気ある空間を要望されました。

 

自らも飲食店を経営するアキデザインの小暮社長からは、投資がかかるが大丈夫かと何度も問い合わせがありました。本人が希望して、それだけ空間にお金をかけられるなら、箱自体でお客様を呼べたり、お料理も高く値付けができたりするので良いと、樋口さんが望む路線ですすめることにしました。

 

その甲斐あり、今ではマスコミでも紹介されるようになり、船堀にあまりこういう店がないため、船堀きっての人気店となりました。

 

しっかりした店作りは年年魅力がでてくるもので、コロナ渦でも気に入って来店されるかたがむしろ増えているようです。

 

空間のテイストや仕上げはアキデザインの小暮さんにお任せましたが、レイアウトだけは口出しさせていただきました。

 

カフェの開業で多いのは物件がそんなに広くないのに、ゆったりしたソファー席ばかりになり、お一人でのご来店が多いと10名も入れない店作りをしてしまうことがあります。今回の物件も15坪くらいの物件です。

 

客席をゆったりする席と、混み合ってきたらお客様が回転するように機能を分けてつくりました。具体的に奥側にジャイアント・テーブルを置いて、アイドルタイムはゆったり、混み合うとお客様が詰め込めるようにしました。この甲斐あり、大人数のグループにも対応できたようです。

 

 

業態

樋口さんは、業態的には、カフェの開業を希望しており、ピザをメニューに入れたいというご要望がありました。と言っても、樋口さんは飲食店の経験がないため、知り合いのピザ店で短期間勉強しました。

 

ということで店のコンセプトは「ピザ窯のあるカフェ」にしました。

 

以前、クライアントが経営していたピザ窯のあるBarをやっていて繁盛していたことを思いだしました。

 

本格的なピッツエリアだと、「○○コンテスト優勝」とか、「○○(有名店)出身」のような「タイトル」があるピザ職人と競争しますが、Barでピザ窯があるというのは、逆にカテゴリーが異なるようになり別の立ち位置で商売ができます。そして、尖った特徴として、またおいしさのアイコンになり有利になるのです。

 

実際、ピザを出す喫茶店は多いですが、ピザ窯がある喫茶店は群馬県の郊外の『珈琲哲学』しか見たことがありません。

 

ランチやブランチでピッツァをウリにして、デイタイムのカフェを取り込み、あわよくば、デリバリーやテイクアウトを狙おうと、お店を作りました。

 

実際、開店してみて、ピザ職人でない樋口さんはそんなに枚数を焼くことはできませんでした。したがって、お持ち帰りやデリバリーの箱は用意したものの、開業当初は焼ける枚数に限りがありとてもでないけれどもデリバリーに手が回りませんで、活用するにはしばらく時間がかかりました。

 

現在、雪の窯珈琲のピッツァを求めて地域の方がいらっしゃいます。しかし、最初のころ提供されるピッツァは、思い起こせばふつうにおいしいレベルでした。ただ、カフェのピッツァとしてはおいしかったと思います。

 

5年間、枚数(量)を焼いてきて、ある日、ピッツァがたいへんおいしいなと思うようになりました。

 

私が好きなピッツァは「しらすと桜海老のピッツァ」と「きのこのピッツァ」です。きのこのピッツァはチーズときのこの相性がよくおいしいです。

 

あわてず、じっくり店作りすることが大切だと実感します。

 

コロナになり、デリバリーを始める後押しとなったようです。

 

これによって、当然ですが売上が良くなりました。これまでの積み重ねを元に物販に参入したわけですから、とても良い道筋でデリバリーに入れたのだと思います。

 

上の写真が開店当初の写真ですが、下の写真のように店の入口にも席を設置できるようになりました。順調に繁栄の道を歩いております。

 

 

店を作るときはお金かけ過ぎかなと思わなくもなかったのですが、お金をかけてしっかり作っただけあり、時間が経つごとに雰囲気が良くなっています。面談をしていて樋口さんが「うちは求人の応募は結構あるんです」とおっしゃいました。

 

先月講義しましたこういう居心地の良いカフェ空間を作ったので『雪の窯珈琲』には好きな人が参加したいというひとつの世界があるのだと感じました。

 

雪の窯珈琲

〒134-0091 東京都江戸川区船堀4丁目12−8 電話 03-6808-5055

HP:​https://www.yukinokamacoffee.com/

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