採用難時代の人材募集のやり方
近年は少子高齢化などの影響によって、採用難時代といわれています。
そのため、「応募者が集まらない」と悩む企業も多いのではないでしょうか?
多くのコストを費やしているにもかかわらず、どこも同じような採用のやり方を選び、残念な結果に終わっている企業が少なくありません。
小さな会社がより有利に採用で欲しい人材を獲得するには、次の3つの要素を探究し、実行に落とし込むことが大事になります。
・お金をかけない
・環境には限界がある
・人を中心に採用戦略をつくる
お金をかけない
ある求人情報誌の掲載料金について調べてみました。
求人広告雑誌は、ライバル企業となる求人広告が集積しているので、小さなスペースの広告よりも大きなスペースを使った広告が目に留まる確率も高く、ライバルより有利な条件となることに間違いありません。広告の掲載料金も高額になります。まさに「強者の戦略」です。
ちなみに一番小さな縦5.8センチ、横4.5センチ枠の広告掲載料金は、大阪では20万4000円でした。一番大きな1ページ枠の広告掲載料金は34万円です。ある町工場が一番小さな枠で広告を掲載しましたが、反響がなかったので1つ枠を大きくして広告を出したところ、増えた問い合わせは「ほかの求人情報雑誌の営業担当からだった」と、社長は「笑ってられない」と話していました。
また、大阪版と地域を限定した求人雑誌の対応エリアを調べてみると、大阪市中心に堺市や八尾市、南部の藤井寺市や羽曳野市、東部の東大阪市や大東市、北部の吹田市や高槻市、西部の西宮市や尼崎市など広範囲でした。
ちなみに、一番南の堺市から大阪の中心部まで、電車での移動は1時間強です。
○交通費が増える
○通動時間が増える
○体力が奪われる
小さな会社が求人の対象エリアを広くすることは、本当に良い方法なのでしょうか?
環境には限界がある
また、最近の求人情報雑誌には、「アメリカの大学にあるカフェテリアのような社員食党があります」とか「スタイリッシュなオフィスです」など、職場の環境づくりを積極的に PRする企業が増えてきました。
しかし、規模の小さな会社はこうした環境づくりにも限界があります。
ここに興味深いデータがあります。
ミシガン大学の研究で、チーム・メンバーの働く意欲に最も大きな影響を及ぼすのは何かということについて調査が行われました。当初、賃金や企業に対する忠誠心、仕事の環境や福利厚生などが、仕事上の意欲と相関関係が強いと考えられていました。
これらの条件が良くなると、生産性や働く意欲がどの程度高くなるか、実態調査を行いました。
その結果、賃金が低いと労働意欲は低下しますが、賃金を高くしてもある一定のところまでいくと、急に相関関係を失うことが発見されました。仕事・職場の環境や福利厚生も同じでした。職場の環境を良くしたいという思いは大切ですが、働く意欲を長期的に維持できるものではなかったのです。
人を中心に採用戦略をつくる
工務店の経営者向けの研修で、「あなたの会社には採用基準がありますか? 基準のある方は手を挙げていただけますか?」と投げかけてみると、手を挙げた方はほとんどありませんでした。この傾向は全国どこでも同じでした。
手が挙がらなかった方に「採用基準がなくて、どのようにして採用するかどうかを判断しているのですか?」と尋ねると、「私は人を見る目がある」と自信を持って答えてくれました。笑い話のようですが、事実なのです。
小さな会社で採用基準を明確に定めている会社はまだまだ少数派です。また、採用基準や採用プロセスが曖昧なことから、現場でトラブルも多く発生しています。
「社長はどうしてこんな人を採用したのか?」と、社員から不満や愚痴が噴出した会社。
「思っていたのと違う」と、入社後数日で辞めた社員。
「こんなはずではなかった」と、頭を抱えた経験はありませんか?
人材採用ミスは、会社に大きなダメージを残すことにもなりかねません。ですから、より良い結果につなげるためには、採用基準をつくることに時間を費やしてほしいのです。
ここで採用基準とは、どういうことかを定義しておきましょう。
「採用基準とは、あなたの会社に来てほしい人物像を明確に言語化し、比較、判断に用いる一定の要件を定めたものである」
他社がつくったものを真似てもうまく機能しません。なぜならそれは、他社の基準だからです。あなたの考えや想いを言葉にして、あなたの会社独自の採用基準をつくることが大切なのです。
そこで採用基準はランチェスター法則の3大戦略を参考に構築すると、差別化したあなたの会社独自の基準ができると確信しています。
1.求める理想の人材像(客層戦略)
2.求める技術・能力・人柄・価值観(商品戦略)
3.求める人材の暮らしている地域(エリア戦略)
あなたの会社は採用基準を明確にしていますか?