「仕事のすすめ方」
◆仕事を円滑にすすめる「コミュニケーションのスキル」◆
前回は、「パソコンの注意点」についてお話しました。今回は「言葉遣い」についてお話します。二年ほど前から研修のご依頼内容の一つに言葉遣いが入っていることが多いのですが、言葉遣いは社格の印象を左右するとも言われています。ビジネスパーソンとして正しく丁寧な言葉遣いをすることは、大事なコミュニケーションスキルです。
最近研修の現場で特に気になる言葉は、「~になります」です。人間関係を円滑にしようとする意識が優先するのか、「~です」と断言せずに語尾を頻繁に「~になります」と表現しています。
かつて「よろしかったでしょうか」が日本中に蔓延していると感じましたが(現場で耳にすることが大分少なくなりました)、今は「~になります」がとってかわったという印象です。
例えば研修で「説明の仕方」の例として「アボカドについて説明して下さい」とどなたかを指すと、「まず、アボカドは握りこぶし位の大きさになります。色は~」とワンセンテンス目から「~なります」が登場してしまいます。「~なります」は「成る」・「為る」が語源ですから、【物事が新しい形体をとった状態で現れることや、前の状態から新しい状態にかわることを指す】ので、使い方として正しくありません。また休憩時間にお手洗いの場所を伺うと、「お手洗いは奥の右側になります」と教えてくださいました。「大きさになります」も「右側になります」も【~~~】の説明にはない使い方です。正解はそれぞれ「大きさです」、「右側です」です。
ビジネスシーンで考えると、
➀時候の挨拶のとき
「昨日の寒さに比べ、今日は温かくなりましたね」
②経歴や実績を説明するとき
「私、営業経験は今年で5年になります」、「こちらの資料が、この一年の実績になります」
③数字の変化(普及率や使用率)
「こちらが前年の普及率のグラフになります」、「6ヶ月使用した結果が、こちらの月ごとの数字になります」
など。
例文のように、成長や時間の変化を絡めて使うことで「~になります」の誤用をさけることができます。
次に流行言葉の一つの「本当ですか」があります。使う人は疑う気持ちなど全くなく相槌として気軽に使う「本当ですか」ですが、うっかりビジネスシーンで使ってせっかくの商談が成立目前で流れてしまうこともあり得ます。また、クレーム応対でお客様のお話を真剣にきいているとき、相槌で「本当ですか」を使ってしまったらアウトです。お客様は伝えていることを疑っている!とさらに気分を害してしまいます。言葉遣いは一日でマスターというわけにはいきませんので、日ごろから注意が必要です。使う言葉に、選ぶ言葉に敏感でなくてはなりません。
最後に研修の休憩時間に聞こえてきた「むずい」です。若者言葉の一つでしょうが、私は大変耳障りと感じました。前後関係から「むずかしい」の省略と理解しましたが、言葉は音声とも深く関係しています。打ち合わせのときなどにうっかり「このプランでは・・・採算はむずいですね」と言ってしまうかも知れません。無頓着に使っているとプライべートと仕事の使い分けができなくなってしまいます。自分が発した言葉の響きにも日々気をつけてください。