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製造業

第189号 柿内式5段階カイゼン実践法

柿内幸夫─社長のための現場改善

残暑お見舞い申し上げます。8月も下旬になりました。学校の夏休みもあと一週間ちょっとです。たまった夏休みの宿題を猛スピードで片付けている子供たちもたくさんいることでしょう。

 私たち大人も、改めてネジを巻きなおす季節かもしれません。予報ではまだまだ暑さが続くということですが、頭は冷静に保って頑張りましょう。

 *ずっと前から見たかったのですが、仕事で静岡と神戸に行ったついでにちょっと足を延ばして見に行くことができました。上の写真が「静岡市東静岡のガンダム」、そして下の写真が「神戸市新長田の鉄人28号」です。ちなみに、鉄人28号の足元のタオルを持った正太郎君みたいな人が私です。

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  さて、先日ある読者の方から、私が現場で改善指導をする際の基本的な進め方を、まとめて話して欲しいという依頼がありました。

 これまでも、実際の改善の進め方についてはお話してきたつもりでしたが、振り返ってみると断片的であり、まとめてお話したことはないと気づきました。

 そこで、必ずしもいつも同じではないのですが、基本的にはこのようなやり方で改善を進めていますという、指導のやり方をご紹介したいと思います。

 まず、考え方の大前提を述べておきますが、ここでご紹介する改善の流れを通じて私が実現したいことは、モノづくりの改善を通じて会社全体の経営に貢献することです。

 しかし、モノづくりの現場だけの改善では限界があり、それだけでは今の厳しい時代を乗り切ることはできません。全員の協力が必要なのです。

 たとえば品質向上という改善課題は現場で発見しますが、その改善は設計変更や材料の研究にまで行かないと解決できないことは、しょっちゅうあります。

 あるいは、在庫の削減も現場の5Sや段取り替えの改善だけではすべてを解決しきれず、営業との情報交換や設計における部品の標準化まで視野に入れて、全員で頑張ることが必要になります。

 そのように、最初は生産の現場から始まる改善活動ですが、徐々に上流の工程の方々にも参画していただいて、結果として会社全体の改善活動へと広げていくのです。

 普通、経営改善というとトップダウンで行われることが多いのですが、今回ご紹介するやり方は逆のボトムアップです。

 両者にそれぞれ特長がありますが、私は社長も含めてみんなが現場に入って、そこで見つかる全社的な問題点を共有化して進めるボトムアップのやり方を取っています。

 そういう前提を頭に入れていただいて、以下に述べた基本的な改善の進め方を読んでみてください。

1.まず工場の全体を工程の流れに従って見て、その工場のモノづくりのレベルを把握する。(著書『最強のモノづくり』の6レベルの判断基準を活用)

2.全員でKZ法を実行して全社レベルの問題点を発見し、社長を中心に改善のための方針と方策を確定して共有化する。

3.16のキーワード(5S+7つのムダ+動作経済の4原則)をみんなで勉強して実行する

4.全員参加の改善実行制度(チョコ案)を始めて、全員による改善が経営を変える仕組みを作る。

5.簡単な発表会などを通じて全員で問題点の共有化を行う。

 まとめてしまうとたったこれだけなのですが、これらを基本に現場・現物を前にして、みんなでワイワイガヤガヤと真面目な雑談をしながら進めて行きます。

 ここで大切なことは、それぞれの人が自分の問題だけを解決する部分最適のアプローチではなく、常にそれぞれの人が全体の問題を共有化して助け合って、みんなで一番大切なことを実行する全体最適のやり方をすることです。

 そして大事なことは、その過程で自分たちが実行したことをきちんと評価して、どんどんと自信をつけて改善のレベルが上がっていくことです。

 もしこのような改善の流れが日本中で起きれば、製造業が再び日本を引っ張り、世界中の製造業にとっての目標となるような力を取り戻せると確信しています。

 大げさだと笑われてしまいそうですが、実は本気でそう思っています。ぜひともご協力をお願いします。というわけで、次回以降はそれぞれのやり方の詳細についてご説明いたします。

 もうすぐ九月とはいえ暑さはまだまだ続くようです。どうぞ熱中症にかかることなく、お元気で頑張ってください。

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copyright yukichi

※柿内先生に質問のある方は、なんでも結構ですので下記にお寄せください。etsuko@jmca.net

 

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