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- 第28回 2019年はユニコーンバブル崩壊の年
まだ新元号・令和が始まる前だが、今年2019年(令和元年)の年末に「今年はユニコーンバブル崩壊の年」だったと振り返ることになると思っている。
昨年後半から、「ユニコーン」と呼ばれる企業価値10億ドル以上とされるベンチャー企業が上場して大型調達を果たすものの、公開初日は高いがその後株価が下落する事例が続いている。
米「ウーバー(Uber)」、「リフト(Lyft)」、中国「滴滴出行(Didi)」、シンガポール「グラブ(Grab)」と、ユニコーン企業が多いライドシェア企業の先陣を切って3月29日に米ナスダックに上場した「リフト(Lyft)」は、公募価格の72ドルを21%上回る87.24ドルで初値がつき、時価総額は2.6兆円となったが、次の週の月曜日(4/1)の終値は9.28ドル(11.85%安)暴落して70ドルを割り、4月12日の終値は59.90ドルと60ドルも割っている。
中国で、共同クーポン購入サービスとクチコミサイト、食品デリバリー、宿泊予約などを行い急成長した「美団点評(Meituan-Dianping)」も、昨年9月20日に香港市場に上場し42億米ドル(47,00億円)を調達、時価総額は5兆7,000億円となったが、その後株価は下落し、公募価格の69香港ドルを下回り、今年1月はじめには44ドルまで下落、決算も2兆円の巨額赤字(4期連続の最終赤字)となった。
5月にNYに上場予定のライドシェア最大手の「ウーバー(Uber)」は、評価額が1,000億ドル(1.1兆円)とも言われているが、株価は同様の動きをするのではないかと思われ、この辺から「ユニコーン」企業の企業価値に対する市場の疑問が大きくなり、バブルが崩壊してゆくような気がしている。
■ユニコーン
「ユニコーン」というのは、2013年にベンチャー・キャピタリストのアイリーン・リー(Ailean Lee:カウボーイ・ ベンチャーズ)氏が作り出した言葉で、創業10年以内で企業価値が10億ドル以上の未公開(非上場)スタートアップ(ベンチャー)企業のことを指す。
リー氏が言葉を作った時点でのユニコーン企業は39社だったが、2019年1月時点では全世界に305社あるといわれ、アメリカのユニコーン145社の平均企業価値は5,559億ドルと巨大化、設立からユニコーンになるまでの期間も、3年前の平均7.5年から、昨年は平均6年と短期間になっている。
■巨大ベンチャーファンド
2018年のベンチャーキャピタルの動きを見ると、投資件数が対前年32%増に対して投資額は55%増と大きく、1億ドル(100億円)以上の案件に向かっている。
総投資額に占める1億ドル(100億円)以上の割合は、件数で56%、金額で61%と半分を越えており、これは異常な状態となっている。
経験的に異常な状態は長続きしないため、今年「ユニコーンバブルが崩壊する」と考えている。
昨年秋までは、「ベンチャーキャピタルなどから豊富な資金の提供を受けられるため、急いで上場する必要がない」と言っていたユニコーン各社だが、昨年末の株価の暴落を受けて、今年に入って次々に上場申請が出され、株価暴落の前に高値で上場したいと焦っているようにも見られる。
この状況は2000年の「ITバブル(ドットコムバブル)崩壊」の時と似ており、今年を「ユニコーンバブル崩壊」の年としたが、これが世界経済に大きな影響を与えないことを願っている。
======== DATA =========
●リフト(Lyft)
●美団点評(Meituan-Dianping)
●ウーバー(Uber)
●滴滴出行(Didi)
●グラブ(Grab)