【写真】ライブ用耳栓「オーディオテクニカ AT-ERP5」(公式オンラインストア価格: 3,960円/税込)
最近、いくつかのメーカーから、「ライブ用耳栓」と呼ぶ製品が発売されて広がりを見せています。
音楽を聴くためのライブなのに、耳栓とはこれ如何に?
今回は、こうした製品が登場した背景に加え、実際にオーディオテクニカ社の製品「AT-ERP5」の使用感をお届けします。
■爆音によるライブ難聴
ロックやポップスなどのコンサート会場では通常、歌声や楽器の音を増幅する、PAと呼ばれる音響システムを利用します。PAはPublic Address(パブリック・アドレス)」の略で、直訳すると「公衆伝達」の意。広い会場で、隅々まで音を届けるために必要不可欠な設備と言えます。しかし、興行としての魅力を高めるためか、「爆音」と呼ばれるように、音量が大き過ぎるケースが多々あり、難聴(音響外傷)のリスクが指摘されています。様々な種類のライブがあるので一概には言えませんが、筆者も音量が大き過ぎて鼓膜が痛く感じた経験があります。
特に会場が広い場合、放出される音量も大きくなる傾向があり、スピーカー近くはより注意が必要です。具体的にロック系ライブでは、音圧が平均して100dBを超え、ピークは120dBに達するケースもあるとのこと。因みに100dBは電車が通るガード下、120dBは飛行機のジェットエンジンの近くという目安が示されていて、15分連続すると耳の有毛細胞が急激に傷つき、急性難聴(音響外傷)のリスクが生じるとされています。
大音量を体で浴びる感覚に非日常的な魅力を感じる方も多いと思いますが、難聴は治療が困難なため、充分に注意したいものです。
■ライブ用耳栓で自衛
ライブ会場では自身が快適な音量に調整することができません。耳栓の利用が現実的な対策と言えます。爆音をアピールするライブでは耳栓を配布するケースもあるようで、難聴リスクに対する意識は高まっているようです。しかしここで問題が。一般的な騒音低減用の耳栓を装着すると、音が小さくなり過ぎて閉塞感を覚えたり、聴きたい音が聴こえ辛くなってしまうことも。
特に音楽コンサートで「声」や「ボーカル」が聴こえ難くなってしまうと、折角のライブ体験を台無しにしてしまいます。
こうした状況を背景に登場したのが「ライブ用耳栓」。音楽ライブを想定し、周波数帯域を考慮しつつ、適度な遮音性能を発揮する特別な耳栓です。音楽を聴きに行って耳栓を装着するのは矛盾を感じるかもしれませんが、自衛のために積極的に検討したいものです。
■実際に試してみました
「ライブ用耳栓」のワードで検索すると、ざっと数十の製品が見つかりますが、音楽を楽しむためにも、より良い製品を選びたいものです。今回、音響機器メーカー「オーディオテクニカ」の「AT-ERP5」(公式オンラインストア価格: 3,960円/税込)を実際に試してみました。
見た目は完全ワイヤレスイヤホンといった雰囲気ですが、ケースも本体も小型軽量。装着すると明らかな遮音効果を感じますが、一般的な耳栓と比べると、高音と低音を遮音し過ぎないので、こもり感のような違和感が少なく、聴きたい音の音色もナチュラル。音響機器メーカーが作った専用品の価値を感じます。
ほか、日常では、全体的に音量が小さくなるように感じるものの、呼びかけのような「声」には気付けるので、オフィスやカフェで雑音を遮断して集中力を増したいというシチュエーションでも重宝しそうです。
■さいごに
海外では数十年前から、大きな音が出るイベントやコンサートでは、耳栓の配布が珍しくありませんでした。健康被害の予防(聴覚保護)に加え、訴訟対策(法的リスクの回避)の意味合いもあります。オーディオ業界でも、イヤホンの長時間大音量利用による難聴が社会問題化し、機器側での音量制限機能搭載や警告文の明示、適切な楽しみ方の啓蒙活動が進んでいます。難聴は治療による回復が困難とされ、日常生活にも支障をきたします。音楽を聴くためのライブで耳栓は矛盾するかもしれませんが、生活の質を維持し、また長く音楽を楽しむためにも是非ご検討を。
























