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仕事術

第161回 発想をカタチに。生成AIで電子工作もより身近に!

デジタルAVを味方に!新・仕事術

専門家以外でも、こんな家電があったらいいな、こんな道具があれば仕事が捗るのに…、と思いつくことがあるでしょう。実際に動く試作品でデモンストレーションできれば、決済を得たり、出資を募ったりと、プロジェクトを進め易いはずです。

こうした”電子工作”の頭脳として人気なのが、Arduino(アルドゥイーノ)というマイコンボード。STEM教育にも活用されていて、興味があれば小学生や中学生でも、プログラムを作成し、好きなモノを作ることができます。例えば、障害物を避けながら走行する車。こうしたセンサーとモーターを組み合わせてさらに制御も必要な、”少し複雑なモノ”の製作にも適します。しかし、プログラムの作成には一定の学習と忍耐が必要で、扱えるか否かは興味度合いが鍵になるでしょう。

ここで朗報。今話題の「ChatGPT」のような「生成AI」を活用すると、文章を書く要領でプログラミングができる時代に。誰もがモノづくりをより身近に感じられる時代になっているのです。
そこで今回は、ArduinoとWindows11で標準的に利用可能な生成AI「MicrosoftCopilot (マイクロソフトコパイロット)」(以降、Copilot)を組み合わせると、何がどのように簡単になるのか、具体例を挙げてご紹介します。「生成AI」活用の一例としてご参考になれば幸いです。

■Arduinoの基本
【写真】「ELEGOO Arduino用UNO R3コントロールボード」。「Arduino」で標準的な「Uno R3」の廉価な互換品。通販サイトで2,500円前後で入手可能。

Arduinoは主に電子工作やロボット制御を勉強したい学生に向けて開発されたマイコンボードです。そのため、必要な機能に絞ったシンプルな構成で、価格も抑えられているのが特徴。互換品や派製品も数多く発売されていて、日本でも簡単に入手できます。また、プログラムの開発環境として、PCで比較的簡単に利用できる「Arduino IDE」も用意されているので、興味を持てば誰もが始めることができます。

工作の全体像としては、Arduinoに接続したセンサーで情報を得て、プログラムで判断し、最終的にモーターを動かしたり、LED点滅やディスプレイに表示したりといったことができます。

■プログラムの基本
「Arduino IDE」は原則、プログラム言語として「C/C++」を使用します。少し難しく感じるかもしれませんが、行いたいことを文法に沿って記述するという点では、「コンピューターの言葉で指示を書きだす」とイメージすれば良いでしょう。実際にプログラムを作成できるようになるには、外国語を習得するのと同じように、文法、単語、書式などを一通り覚え、その上でアルゴリズムを考える必要もあるので相応の訓練と忍耐が必要です。

■生成AIでプログラム作成が身近に!
話題の生成AIは、プログラムの作成も得意です。従来、プログラムの作成に際しては、プログラマーが事前に、文法、単語、書式などを幅広く習得しておく必要がありました。しかし生成AIを利用する場合は、行いたいことを文章で記述すれば、AIがプログラムを作成してくれます。流石にプログラミング関連の知識や感覚がゼロではどうにもなりませんが、要素をいくらかでも理解していればある程度使いこなせるようになるという意味です。

英作文に例えると、自力で思い通りに文章を作成できなくとも、翻訳サービスで生成された英文が理解できれば、短時間で目標を達成できるのに似ています。

■Arduino+生成AIの具体例
具体的に「Copilot」でプログラミングが楽になる様子を具体例でご紹介しましょう。
Arduino関連では、センサー、ボタン、LED、ディスプレイ、モーターがセットになった学習セットが販売されていて、それぞれを動かすサンプルプログラムも付属しているので、簡単に試すことができます。

例えば、温度/湿度センサーと、その測定結果をパソコンの画面上に表示するサンプルプログラムのセットがあるとします。自力でゼロからプログラムを作成できなくても、説明書の指示通りに回路を接続し、サンプルプログラムをArduinoに書き込めば、想定通りの動作をします。

また別に、カラーLEDとそれを点灯させるプログラムがあったとします。こちらもサンプルのプログラムを利用すれば、簡単に色とりどりに光らせることができます。ポイントはここから。これら二つを融合させ、温度に応じてLEDの発光色を変えたいと思いついた場合、どのようなプログラムを作成すれば良いのでしょうか? 従来であれば、プログラミングを基礎から勉強する必要がありました。

しかし、「Copilot」を利用すると、「温度が18℃以下の場合は青、18℃から20℃の場合は緑、20℃以上の場合は赤色に点灯」にのように記述するだけで、相応のプログラムを生成することができます。

【スクリーンショット】
Copilotでプログラムを作成した例。温湿度センサーのサンプルプログラムをコピペ入力し、テキストで「温度が18℃以下の場合は青、18℃から20℃の場合は緑、20℃以上の場合は赤色に点灯」と追加入力すると、即時に修正プログラムが完成しました。プログラムには日本語でコメントが追加されているので理解し易く、温度の幅や色を追加で設定するなど発展させることも可能です。


〈完成例〉

【写真】完成例。奥の白いボードが回路。左側の青色で四角い部品が温湿度センサー、右側で青く点灯しているのがLED。Copilotが生成したプログラムで、想定通りきちんと動作しました。

Copilotを利用するメリットを整理すると:
1) プログラミング言語全体を習得しなくてもスタートできる(作業しながら勉強)
2) アルゴリズムはAIが作成(趣味だと面白い部分ながら、苦手意識を持つ方は多い)
3) プログラムをタイピングする手間も省ける。タイプミスなども無し。

余談ですが、プログラミングではエラー(プログラムの不良)がつきものですが、これもエラーメッセージを「Copilot」にコピペ入力すると、修正プログラムを再度生成したり、解決方法を提示するなど、その柔軟性の高さは驚くばかり。旧来のツールと生成AIの大きな違いです。


■さいごに
Arduinoが登場したのは2005年で新しいモノではありませんが、生成AIと組み合わせることで、劇的により多くの方が利用し易くなったと言えます。Arduino自体が教育を目的としたものであり、生成AIに助けて貰うのはカンニングのようで本末転倒な気もしますが、実際に動作するとモチベーションがあがりますし、AIが生成したプログラムを解読したり、修正を加えたりすれば勉強になります。画期的に新しいモノを生み出すには基礎からプログラミングや論理的思考を鍛える必要がありますが、”組み合わせ”で新しいモノや必要なモノを作るなら、AIは多いに助けになるはずです。

話題の生成AIを身近に活用して効率をアップし、趣味やビジネスの幅を広げてみてはいかがでしょうか。何を作って良いかアイデアが無い方は、生成AIに尋ねてみるのもお勧めです。

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