menu

経営者のための最新情報

実務家・専門家
”声””文字”のコラムを毎週更新!

文字の大きさ

愛読者通信

「同族企業の持続的発展を支援していきたい」
西川盛朗氏(ヨコハマコンサルティング代表取締役会長)

「愛読者通信」著者インタビュー

  日本ファミリービジネスアドバイザー協会理事長、その他数社の社外取締役、顧問を務め、ファミリービジネスコンサルタントとして活躍されておられる西川氏に、日本のファミリービジネスについてお話を伺った。

西川盛朗(にしかわ もりお)氏
同族企業の持続的発展を支援するファミリービジネスコンサルタント。
120年以上成長を続ける同族企業ジョンソン社の日本法人社長、会長、本社役員を長く務めた経験をもとに、同族企業が永続繁栄するための仕組みづくりを指導している。
ヨコハマコンサルティング(株)代表取締役会長、日本ファミリービジネスアドバイザー協会理事長。その他、多くの企業の社外取締役、アドバイザー、顧問も務めている。
1944年愛知県生まれ。ハーバード大学経営大学院(AMP)修了。50カ国1500名以上のファミリービジネスの専門家と専門機関からなる国際組織FFIのファミリービジネス・アドバイザー資格認定証保持者。

 

Q:現在ファミリービジネスコンサルタントとして活躍されておりますが、きっかけは何でしょうか?

 ファミリービジネスコンサルタントという肩書きは、これまであまり聞いたことがないかと思います。
 実際のところ、ファミリービジネス(同族企業)に対するアドバイスといえば、多くが相続税対策などが中心でした。
 しかし本当のことを言えば、ファミリービジネスにとって一番重要なものは、会社を持続的に繁栄させるためのマネジメントなのです。
 私が現在おこなっているコンサルティングは、そこを主眼に置いたもので、ファミリービジネスが永続繁栄するための仕組みづくりを提言しております。
 そもそも私がファミリービジネスコンサルタントになった背景には、アメリカで125年以上続く、ファミリービジネスのジョンソン社で長く働いた実務経験が土台となっています。
 ジョンソン社は世界140か国で展開するグローバル企業で、私はジョンソン社の日本法人の社長、会長、そして本社役員をつとめ、企業における「経営」と「ファミリー(創業家)」そして「株主」という3つの要素をうまく機能させていくマネジメントを学びました。
 そして数年前(インタビューは2013年)、私がジョンソン社を退任した当時の日本の同族企業は、度重なる不祥事件で、マスコミに叩かれ、世間の評判がすこぶる悪かった。
 加えて、バブル崩壊で自信を失った日本企業は、ファンド資本主義に陥り、企業の持続性や永続性よりも短期的な利益を重要視するようになっていました。
 そういう状況を見て、正直、残念な思いがしました。日本は世界に誇る長寿企業大国、その多くが同族企業です。それにもかかわらず、その研究が欧米に比べて遅れているために、そのノウハウが明らかにされていません。
 そこで、私が欧米から学んだファミリービジネスのノウハウと日本独自の智恵とをハイブリットした形で、提言できればと考えたのです。それによって、日本のファミリービジネスを活性化したい。ひいては、日本経済の活性化にもつながるのではないかと思ったのです。

 

Q:2012年10月に「長く繁栄する同族企業の条件」を出版されました。本書で提言されたことは何でしょうか?

 今、日本の大企業はかつての輝きと勢いを失っています。その理由はいろいろありますが、私はとくにサムスンなど海外のオーナー系企業の経営者と比べて、日本の大企業の経営者がサラリーマン化しているように思えます。つまり、経営にあたっての強い信念、覚悟、さらに長期的視野、戦略という点で、日本企業が負けているように思えるのです。そのことが世界で競争力を失っている大きな原因ではないでしょうか。
 そういう意味で、本書を出版した理由の第一は、日本企業とくにファミリービジネス(同族企業)のオーナー社長に自信をもっていただき、これまで以上に強い信念と覚悟をもって経営にあたっていただきたいと思ったのです。そうでなければ、本格的なグローバル競争に勝ち残ってはいけないでしょう。
 しかし現実をみれば、多くのファミリービジネスは同じ失敗で躓いています。そのことを裏返せば、ファミリービジネスが持続的に成長していくには、ある一定のルールが必要であり、そのための仕組みが必要だということです。 本書では、まずファミリービジネスの「脆さ」と「強さ」を、日本と欧米企業の事例をあげて整理し、それらを踏まえた上で、その「脆さ」を克服し、「強さ」を最大化する仕組みづくりを提言させていただきました。

 

Q:2012年11月に日本ファミリービジネスアドバイザー協会を立ち上げられました。その目的と現在の活動についてお聞かせください。

 実際に、この仕事を始めてみると、ファミリービジネスはおのおの事情が異なって、一般論では御しきれず、それぞれにカスタムメイドの助言、提案が必要で、一人の人間がカバーできる企業数は非常に限られていることがわかってきました。それで、ファミリービジネスの専門アドバイザーを養成する非営利団体「日本ファミリービジネスアドバイザー協会」を2012年10月に設立したわけです。今後もいろんな形でファミリービジネスの支援をやっていきたいと思います。

(聞き手/岡田万里)

「愛読者通信」(2013年1月発行)掲載

「付加価値の積み重ねがブランド」酒井光雄氏(ブレインゲイト代表)前のページ

「社員の給料を上げ、同時に増益も達成する」佐藤 肇氏 (スター精密 会長)次のページ

関連記事

  1. 「コロナ禍の大ピンチをチャンスに変えるヒントは『ランチェスター戦略』の中にある」
    福永雅文氏(戦国マーケティング 代表)

  2. 「中小企業がゼロから新規ビジネスの事業プランを生み出すには」
    酒井 英之氏(V字経営研究所 代表)

  3. 「おカネがしっかり貯まる『決算書のつくり方』」
    古山喜章氏(アイ・シー・オーコンサルティング 社長)

最新の経営コラム

  1. 第133回 自社株信託のすすめ

  2. 国のかたち、組織のかたち(13) 官僚機構のほころび

  3. 第124回 湯ノ花温泉(福島県) 巨石に見守られながら浸かる神秘の湯

ランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

新着情報メール

日本経営合理化協会では経営コラムや教材の最新情報をいち早くお届けするメールマガジンを発信しております。ご希望の方は下記よりご登録下さい。

emailメールマガジン登録する

新着情報

  1. キーワード

    第52回 突然のデジタル化
  2. 社員教育・営業

    第110回 コミュニケーション上手になる仕事の進め方31 環境整備 個人としての...
  3. 経済・株式・資産

    第18話 重慶モデル
  4. マネジメント

    人の心を取り込む術(12) 巨大なる人間力(西郷隆盛)
  5. 経済・株式・資産

    第71話 「通商白書」が明かす中国巨大市場の真実
keyboard_arrow_up