決算説明における幹部・中堅・一般従業員への伝え方の違い
決算書は会社の経営状態を数字で示した成績表であり、健康診断書です。
中小企業の社長が、社員に対して決算内容を説明することは、単なる数字の報告にとどまらず、会社の現状と方向性を共有する大事な機会です。
しかし、企業活動の成果である決算書を見せただけでは、数字の意味が社員に正しく伝わりません。
幹部社員、中堅社員、一般従業員と、役職ごとに知識や関心の対象が異なるからです。
それぞれの立場に応じて、伝える内容や使う言葉、示すべき会計数値には違いがあるため、説明の内容や言葉遣いを適切に調整することが求められます。
そこで今回は、階層別の決算内容の伝え方について、説明します。
社員に対して決算報告をしていますか?
幹部社員と経営視点を共有し、次の一手を議論する
幹部社員には、損益計算書(P/L)の収益項目である売上高、売上総利益、営業利益、経常利益にフォーカスして、業績推移と目標達成度を中心に伝えます。
経営者としての視点で、各数値が示す意味合いや背景にある要因を説明します。
具体的な事業戦略と結びつけて説明することで、幹部社員の理解を深めることができます。
赤字の場合には、幹部社員に現状を詳細に伝え、その原因を共に分析し、具体的な改善策と再建方針を話し合いましょう。
数字が示す経営の現実を幹部社員と共有し、今後の経営戦略や打ち手に結びつけることが重要です。
幹部社員に対しては、貸借対照表(B/S)で会社の財務状態についても説明します。
預金や売掛金、在庫の増減による流動比率(流動資産の流動負債に対する割合:企業の短期的な債務の支払能力を表す指標)の変化も伝え、問題があれば一緒に改善を検討します。
銀行からの借入金の状況に加えて、自己資本比率(総資本に占める純資産の割合:財務体質の健全さを示す指標)で財務状態の安全性の評価も知らせます。
さらに幹部社員には、会社のキャッシュフローの状況も理解しておいてもらうのが理想です。
キャッシュフロー計算書を示しながら、営業活動、投資活動、財務活動のキャッシュフローについて、毎月の資金繰り状況と合わせて説明しておくといいでしょう。
幹部社員には経営の意思決定に関わってもらうため、決算書の数字を通してリスクや課題も正直に伝え、財務改善の協力を要請しましょう。
幹部社員は、会計数値の意味を理解していますか?