ホームページは“武器”か? それとも“ムダ”か?
ホームページを作るべきか?
こんにちは、1位づくり戦略コンサルタント佐藤元相です。
先日、ホームページのリニューアルをご検討されている製造業の社長から、「その必要性を幹部社員に伝えてほしい」とご依頼をいただき、幹部会議に参加しました。
テーマは、「ホームページを作るべきかどうか」でした。
社長は、営業力を強化するための一手として、これまで作って放置していたホームページを、戦略に合わせて再構築したいと考えておられました。しかし、幹部社員の皆さんからは反対の声が上がっているとのことでした。
議論を重ねるうちに、次第に本質的な問いが浮かび上がってきました。
「わが社は、なぜ選ばれているのか?」
この問いに正面から向き合ったとき、ホームページの是非という議論は、まったく違う意味を持ち始めます。
私自身の原点
私は、学生の頃、町工場でバイトをしていました。鉄工所の現場で、ボール盤、NC旋盤、仕上げ加工まで行っていました。技術力はありました。しかし、親会社からは他社はもっと安くやると値下げを求められ続けました。
このままでは、仕事がなくなってしまうと思った私は、社長に営業に行こうと言いましたが、「営業って、頭を下げに行くことやろ!なんで頭下げなあかんねん」という言葉が返ってきました。
不況になると仕事は減る。単価は下がる。待っているだけでは何も変わらない。そのとき出会ったのが、ランチェスター戦略でした。戦略なくして、弱者は勝てない。この考え方が、私の原点です。
“検索”された時に、出てこない会社
会議で私は、参加者の皆さんにお願いしました。
「スマホを出して、シークレットモードで検索してください」
そして入力してもらったのは、「地域名 + 製品名 + 依頼」などです。結果、自社は、検索結果に現れませんでした。
今、多くのお客様は初めに検索します。ホームページは、その出会いの1つです。SNSや展示会もお客様との“出会いの入口”です。見つからなければ、存在しないのと同じです。これは、現実です。
幹部の皆さんからの率直な意見
会議では次のような意見が出ました。
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- 「上位表示すれば受注に繋がるとは限らない」
- 「無駄な問い合わせが増えるだけでは?」
- 「検索で上位に表示しない会社でも、業績の良い会社はある」
その通りだと思います。私はこう答えました。
「そんなゴミになるようなホームページなら、作らない方がいい。」
ホームページは魔法の道具ではありません。つくることが目的ではなく、戦略に組み込まれるべきツールです。
決定的な質問
私は参加者の皆さんに尋ねました。
「他社と明確に違う“独自の強み”を3つ書いてください」
出てきたのは、
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- 品質がいい
- 納期が早い
- 小ロット対応
どれも“一般論”です。どこでも言える強みでは、選ばれる理由にはなりません。価格競争に巻き込まれてしまいます。
数字は、言い訳を許さない
私は一つのデータを示しました。
それは、従業員数平均17名の黒字企業における1人あたり年間粗利益の平均値です。
様々な業種の中から同じ業界のデータを抜き出して示しました。「業界が厳しい」とか「景気が悪い」という言い訳はできません。同じ業界・同規模・同じ環境で黒字を出している会社は存在します。
つまり、成果が出るかどうかは、環境ではなく“自社の戦略と構造”にある、ということです。
さらに、その平均値を分解すると、
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- 1時間あたり約5000円(粗利)
- 営業や経営者なら1時間3万~4万円以上です。
無駄な問い合わせ対応、1時間で5000円が消える。1時間先への移動を往復したら1万円が消える。数字は逃げ場を作りません。
本当の論点 ― 戦略とは何か
幹部の方は次のように言いました。
「まず現場の改善が先ではないか」
「自社のキャパやレベルに合わせない依頼がきてもクレームに繋がる」
これもその通りです。品質や体制の改善なしに大型受注に対応するのは危険です。だから私は言いました。
「今すぐホームページを作る必要はありません。」
本当に最初にやるべきは、なぜお客様は御社を選んできたのか?これを言語化することです。
困って来たお客様。紹介で来たお客様。懐かしく戻ってきたお客様。これらすべてには、“選ばれる理由”があります。その理由を掘り下げ、言葉にすること。それが戦略です。
“営業”は技術である
営業はやみくもに行うものではありません。
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- 見込み客を見つけることも技術
- 問題を見抜くことも技術
- 提案も技術
- フォローも技術
設計図が必要です。月50件アプローチして、やっと芽が出る世界です。待っているだけでは、未来は来ません。
■ 私の結論
私はこう提案しました。
「半年間、本気で新規開拓をやってみましょう。その中で“選ばれる理由”を探しましょう。」
ホームページは、その後でいい。自社の価値を言語化できないまま、作っても意味がありません。
未来のある会社へ
社長は言いました。
「未来のある会社にしたい」
その思いは確かです。希望のない会社に、人は力を注げません。技術はあります。しかし、足りないのは「言葉」と「戦略」。そして戦略に基づいた実行量です。そこに未来が待っている。



















