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- 第6回 3Dプリント量産車、3Dプリント住宅
■3Dプリント量産車
イタリアのEV(電気自動車)メーカー「X Electrical Vehicle(XEV)」と、3Dプリント用素材を手がける中国の「Polymaker」は、3Dプリンティングによる世界初の量産型電気自動車「LSEV」の開発に成功、2019年第2四半期から量産を開始する予定だと発表した。
この車「LSEV」は2人乗りの小型EVで、通常1〜1.2tの車両重量を450kgに軽量化、パーツの数を従来の2,000点から57点まで大幅に削減し、試作や生産のプロセスにも3Dプリンティング技術を採用、研究開発期間を従来の5年から12ヶ月まで短縮、投資コストを70%以上軽減している。
また、「Polymaker」は、市販可能な量産車を実現するため、数十種類のエンジニアリングプラスチック素材を開発し、表面加工などの技術も考案したとしている。
既にイタリアの郵便事業会社「Poste Italiane」から5,000台、フランスに拠点を置く金融グループBNPパリバ傘下の自動車リース会社「ARVAL」から2,000台、合計7,000台の注文が入っている。
電気自動車の販売台数は、2015年は46万2,000台だが、2040年には4,100万台まで拡大し、新車販売の35%を占めるという見通し(ブルームバーグ)もあり、3Dプリンティング技術を利用した量産車は、軽量、低価格電気自動車の普及を加速する可能性がある。
■3Dプリント住宅
米テキサス州オースティンの建設企業「ICON」と、貧困者層への住宅供給に取り組む米非営利団体「New Story」は、3Dプリンティング技術を活用して低コスト、短期間で建設できる発展途上国向け住宅を開発した。
この住宅は「ICON」が開発した専用3Dプリンター「Vulcan」によって出力され、600f2(55.8m2)〜800f2(74.4m2)であれば、玄関、居間、寝室、風呂トイレ、キッチンを備えた快適な住空間を24時間以内で建設でき、コストは4,000ドル(約42万円)という驚くべき早さと安さで、2019年末までに中米エルサルバドルで住宅100戸を完成させる計画となっている。
現在、世界で12億人が安全な住まいを確保できておらず、今後2025年までに16億人に達すると見られている(世界資源研究所=WRI)。
「New Story」は2014年の創設以来、メキシコ、ハイチ、エルサルバドルなどの10地域コミュニティに1,300戸以上の住宅を供給しており、今後は3Dプリント住宅の活用などで、安価で安全で快適な暮らしの基盤となる住宅を短期間で世界各地に届けていきたいとしている。
数年前に「革命的技術革新」として注目を集めたものの、その後はフィギュアの作成など、ホビー用以外はあまり話題にならなかった3Dプリント技術だが、ここに来て産業用として注目され始めており、大きな変革の原動力の一つとなりそうだ。
======== DATA =========
●Polymakerによる動画
●New Story