「人が集まらない地方店」と「人が集まる地方店」の決定的な違いとは?採用は「立地」より「知識と行動」だった
人に困るお店の共通点
こんにちは、1位づくり戦略コンサルタントの佐藤元相です。
「うちは人手不足で…」という飲食店は少なくありません。しかし、岸和田で17年続く焼き鳥店「彩鳥屋てっちゃん」では、常に大学生8人と社会人3人が安定して働き、採用経費はゼロです。
店長の早崎哲生さんは、「人手不足で困っているお店には共通点がある」と語ります。
• 無茶なシフト
• 欠勤時に代打を本人が探す
• 面接時の説明と現場のギャップ
• 深夜までの勤務
• 一方的なシフトカット
• 店都合ばかりで融通が利かない
これでは、まるで“辞めさせる仕組み”を自ら作っているようなもの。
だからこそ、「採用の工夫」よりも、まず「辞めたくない環境」づくりが最優先なのです。
学生アルバイトの本音に耳を傾ける
学生は「いい子」です。だからこそ、生活や学業、家族との時間を大切にします。
しかし現場では──
• 「土日両方働いてね」
• 「テスト期間も出てくれるよね」
• 「夜中まで人足りないから残って」
こうした店側の都合を押し付けられると、学生たちは無理を抱え、次第に離れていきます。
実際に、学生たちが辞める理由には、次のような共通点があります。
• テスト前なのに深夜勤務させられ、翌朝の授業に遅れる
• シフト外の日に代打を頼まれる
• 予定より早く帰らされ、収入が減る
• 休みが取りづらい
店長の早崎さんは、この実態を「バケツに穴が空いているのに水を入れ続けるようなもの」と表現します。
だからこそ、てっちゃんでは、まず「辞めたくなる原因」を見極め、しっかりと“穴”をふさぐことを最優先に考えているのです。
理不尽を排除したシフト設計
多くの店で辞める原因は、「無理なシフト」にあります。
• テスト前の深夜勤務
• 希望シフトの無視
• 一方的な早帰り命令
こうした「理不尽」を排除するため、てっちゃんでは徹底したシフト運用を行っています。
• 土日は「どちらか1日だけ」勤務(暗黙の交代制)
• 希望シフトの8割程度で設計し無理をさせない
• 人数には常に1~2人の余裕
• 欠勤時の対応は店側が行う
さらに、やむを得ず早退をお願いする場合には「PayPay1000円送金」など、感謝の気持ちを添えてフォロー。関係性を守る工夫も忘れません。
採用は「いい子の定義」から始まる
私たちが本当に採りたいのは、責任感があり、まじめで信頼できる若者ではないでしょうか。
てっちゃんでは、特に「大学1回生(1年生)」を理想としています。
• 4年間働ける可能性が高い
• 生活リズムが整っている
• 学業・親との信頼関係が保ちやすい
採用条件には「親と仲が良いこと」も明記。
実際に保護者とLINEでやり取りを行い、学業への配慮を徹底しています。
また、テスト期間にはシフトを優先的に外し、学業に集中できる環境を整えています。
「土日はどちらか1日だけでいいよ」の設計思想
「土日は出られる?」という採用時の問いかけ自体が間違い。
学生にとって土日は、唯一の“自由時間”です。
だからこそ、「うちは土日どちらか1日だけでいいよ」と明示することが大切。
これにより学生は安心し、長期的に働く意欲が高まります。
さらに、週末だけ働きたい社会人(副業会社員、主婦・主夫)も重要な戦力となります。
社会人の安定感を活かすことで、学生への負担も分散できるのです。