年度決算が近づいてきている会社に考えてほしいのが、“特別損失にできる費用はないか”です。金利が上昇傾向の今後、銀行格付け(スコアリング)を少しでも上げて、有利な条件を獲得してほしいのです。そのためには、銀行が最重視する「営業利益」を最大化しておきたいのです。
1)原材料費の値上げ分を特別損失に計上する
前年度よりも原材料費が高騰しています、という会社は多いと思います。であれば、これまで標準としていた仕入れ価格よりも値上がりした分を、特別損失として計上すればよいのです。具体的な勘定科目でいえば、『その他の特別損失』とか、『価格高騰対応費』などで構いません。要は、仕入れ価格が高騰した分を、特別損失に計上してほしいのです。
仕入価格が上がったからといって、簡単に値上げをできる中小企業は少ないです。仕入の値上げをそのまま原価に入れれば、売上総利益はその分、少なくなります。となると当然、営業利益も少なくなります。価格高騰分の原価を特別損失に計上して、営業利益が大きく下がらないようにしたいのです。
外 食店舗を運営する社長が、お米の値上げ分を特別損失に計上しました。「お米の分だけでも年間1000万円近く特別損失に計上できて、売上総利益と営業利益の見栄えを落とさずにすみました!」と喜んでおられました。
2)災害の被害を特別損失に計上する
毎年、全国どこかで何らかの災害が発生します。災害時の決算で経営者が考えてほしいのは、特別損失に計上できるものは何があるか、ということです。
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- 被害を受けた建物などの修繕費
- 使えなくなった商品の除却費用や廃棄費用
- 営業を休止した店舗の日割り家賃
- 製造を停止した設備のリース料
- 営業を停止して復旧にあたった従業員の人件費
- 運送費や消耗品費など、復旧・復興のために発生した費用
などなど、多岐にわたります。要は、通常の営業時にはかからない、あらゆる費用です。それらの費用を経理担当に指示をだし、洗い出しておくのです。その中から、これは確かにそうだな、と思えるものはすべて特別損失に振り替えるのです。おそらく一旦は、通常の原価や販売管理費に計上されているはずです。それを放置すればその分、営業利益は下がるだけなのです。
しかし、決算対策において、災害時の費用を特別損失に振り替えれば、それだけで、営業利益は増えるのです。銀行借入がある会社ならなおのこと、絶対にしてほしい決算対策なのです。
3)クレーム対応に要した費用
商品・サービスを提供していると、クレームが発生し、その対応に人手や時間を要する、ということがあります。嬉しい事ではありませんが、クレーム発生時に要した費用は、特別損失に計上してよいのです。納品した製品へのクレームの場合、同じ納品日やロットの製品を全品検査することになります。そのような場合、労務コストだけでなく、旅費も発生します。それら発生したコストをすべて洗い出し、特別損失に計上するのです。当然、クレームによって使えなくなった製品原価も併せてです。
運営上も、クレームによって発生したコストを明確にし、社内で共有したほうが、反省材料となります。クレームが発生してさまざまな対応をしても、通常のコスト計上と同様に処理しては、ムダになったコストの大きさが、わからなくなってしまうのです。
「かなりのコストがかかっている!」というだけになってしまうのです。
クレームによって発生するコストは、大きな損失です。その金額こそ明確にし、特別損失に計上して残してほしいのです。
4)特別損失を計上して営業利益を最大化しなさい
他にも、裁判などで弁護士に支払った費用、役員や正社員が退職して発生した退職金、人材獲得で支払った手数料、原状復帰のために要した修繕費、等々。例年は発生しない費用があれば、それはすべて特別損失に計上すればよいのです。特別損失に振り替えれば、その分、営業利益は大きくなります。銀行が重要視する利益は営業利益なのです。営業利益を少しでも大きくして、今後の金利上昇への対策としたいのです。
「特別損失に計上しても、担当者に説明するから同じじゃないですか?」
とおっしゃる方がいます。銀行格付け(スコアリング)のためのデータ入力をするのは、営業担当者ではありません。銀行の審査部の人たちです。審査部の人は、損益計算書の営業利益の数字を見て入力します。特別損失など、いちいち見ていないのです。データ入力後、自動的に銀行格付け(スコアリング)が出ます。そのランクをもとに、融資の金利が決まってゆくのです。
それに、どの会社でもよくよく探せば、特別損失に計上できる費用はあるのです。それも、決算の数か月前から、考えておいてほしいのです。費用計上を特別損失に振り替えるだけなので、税務署は何も気にしません。銀行交渉対策として、銀行格付け(スコアリング)を高くして金利を抑えたいなら、特別損失を探して営業利益を最大化しておきたいのです。




















