スーパーマーケットを経営する伊藤社長が、賛多弁護士のところへ法律相談に訪れました。
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伊藤社長:先日は、2号店の第2駐車場用地の購入にご尽力いただきまして、ありがとうございました。おかげさまで、隣地を購入し、整地したうえで、駐車場として利用することができています。
賛多弁護士:こちらこそ、ご依頼いただきましてありがとうございます。
伊藤社長:今日は、弊社が所有するマンションについて相談させていただきたいです。
賛多弁護士:どのような内容でしょうか。
伊藤社長:弊社では、マンションの3階にある301号室を区分所有しています。当初は社宅として利用していましたが、10年前からは事務所として利用しています。このマンションの規約には「管理組合は区分所有者が所有する住居部分を他の用途に使用した場合、その区分所有者に対し管理費の増額を理事会の決議により請求することができる。」という規定があり、「事業所、事務所等の管理費を通常の2倍とする。」という理事会決議により、弊社は、居住用の区分所有者が支払う管理費の2倍の額を支払っています。事務所用と居住用とで用途が異なるのは分かります。ただ、2倍の額を納めないといけないのでしょうか。
賛多弁護士:区分所有建物の問題ですので、区分所有法について説明します。区分所有法では、「規約は、専有部分若しくは共用部分又は建物の敷地若しくは附属施設(建物の敷地又は附属施設に関する権利を含む。)につき、これらの形状、面積、位置関係、使用目的及び利用状況並びに区分所有者が支払った対価その他の事情を総合的に考慮して、区分所有者間の利害の衡平が図られるように定めなければならない。」と定められています(30条3項)。つまり、規約は、前述の事情を総合的に考慮して、区分所有者間の利害の衡平が図られなければなりません。そして、この要件が充たされていない場合、規約の当該部分は無効になると考えられています。
伊藤社長:管理費が2倍というのは、衡平といえないのではないでしょうか。
賛多弁護士:過去の裁判例では、事業用の管理費を居住用の倍額にする規定(以下「倍額規定」といいます。)について、
①営利目的の事業用物件については当該居室からの収益が想定されるものの,このことから管理費の負担能力の高さまでが当然に基礎付けられるものとは認められないこと
②共用部分の使用頻度の観点から通常の居住用物件と大きく異なるものであるとは考え難いこと
③倍額規定の適用を前提とした管理費を継続的に支払い、特段の異議を述べなかったとしても、単に請求された金額の管理費を支払っていたと考えられる事実関係があり、倍額規定の合理性を基礎付ける事情として評価できないこと
④仮に倍額の支払がなければ赤字となって健全な運営ができないとしても、その解消は支出状況の改善又は居住用物件所有者の負担割合との調整によって実現されるべきで、倍額規定の存在を許容すべき理由とならないこと等を理由に、30条3項に違反し、規約の当該部分は無効であると判断しました(東京地判平成27年12月17日、判時2307号105頁)。
ただ、前述の裁判例は①から④までの観点を踏まえて判断しているので、「管理費が2倍であれば必ず無効」とまでは言えない点に注意が必要です。
伊藤社長:分かりました。教えていただいた裁判例を踏まえて、管理組合と協議してみます。
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区分所有法30条3項が定められる前の裁判例ですが、法人所有の場合と個人所有の場合とで管理費の金額に約1.6倍の差を設けた規約が区分所有法の趣旨及び公序良俗に反して無効とされた事例もあります(東京地判平成2年7月24日、判時1382号83頁)。
執筆:鳥飼総合法律事務所 弁護士 小杉太一



















