金融商品の課税にはご注意を!

物価も金利も上昇傾向にある中、佐藤社長は過去に暗号資産を購入したことを思い出し、ふとチャートを見てみると、かなり値が上がっていることに気が付きました。そこで、暗号資産を売却しようと検討を始めたのですが、そもそも税金はどのように納めればよいのか、まったくイメージが沸きません。
佐藤社長:コロナ渦前に、知人から勧められて購入をした暗号資産があるのですが、値上がり益がありそうなので売却をしようと思っています。どのように確定申告をすればよいのですか?
賛多弁護士:ご存じかとは思いますが、所得税の課税方法には「総合課税」と「分離課税」がありまして、後者にはさらに「申告分離課税」と「源泉分離課税」があります。
佐藤社長:総合課税は給与や事業などの収入を集計して税金の計算をするもの、分離課税は不動産などを売却して利益が出たときに、総合課税とは別に税金の計算をするもの、と理解しています。
賛多弁護士:その通りです。なお、保有している銀行の普通預金口座で受け取る利子については、利子が口座に入金される前の段階で、銀行がその利子に係る税金を預金者から預かり、銀行が預金者の代わりに国に納税をする仕組みとなっているため、確定申告をする必要はありません。これを「源泉分離課税」といいます。
佐藤社長:上場株式の売却をして利益が出たときも、分離課税ですよね?
賛多弁護士:その場合には、「申告分離課税」が適用されます。原則として確定申告は必要なのですが、多くの個人投資家は「特定口座」のうち「源泉徴収あり」を選択しており、その仕組みは源泉分離課税と同じであるため、結果として確定申告は不要となります。
佐藤社長:申告分離課税で確定申告が必要なケースとは、どのようなときですか?
賛多弁護士:「特定口座」のうち「源泉徴収なし」を選択している、または「一般口座」を保有している場合において、上場株式の売却に伴う利益が出たときなどです。
佐藤社長:「金の延べ棒」を売却したときにも、分離課税でよいのですか?
賛多弁護士:金を売却して利益が出た場合には、譲渡所得として総合課税が適用されます。また、譲渡所得から50万円を特別控除することができます。さらに、その所有期間が5年を超えるときには、特別控除後の残額の2分の1を課税対象とします。
佐藤社長:世の中には様々な種類の金融商品がありますから、課税方法には注意をしなければなりませんね・・・で、私がご相談をした「暗号資産」はどのように課税されるのですか?
賛多弁護士:暗号資産を売却して利益が出た場合には、原則として「雑所得」に区分され、「総合課税」となります。
佐藤社長:分かりました。それでは、来年の確定申告ではそのように致します!
賛多弁護士:ただし、令和8年以降に売却する場合にはご注意下さいね。
佐藤社長:・・・といいますと?
賛多弁護士:金融商品取引業者登録簿に登録されている暗号資産等、これを「特定暗号資産」といいますが、この「特定暗号資産」を金融庁の登録を受けた暗号資産取引業者に対して売却した場合には、「譲渡所得」として「申告分離課税」によることになりました。
佐藤社長:えぇっ?!まったく異なる課税方法になるのですか?
賛多弁護士:はい、令和8年までは総合課税ですから、適用される税率は5%から45%まで(復興特別所得税及び個人住民税を除く)のいずれかでしたが、令和9年以降は分離課税のため一律15%(同)となります。
佐藤社長:なるほど。資産が増えることはうれしい限りですが、申告と納税は正しい知識と理解のもとに行わないといけませんね。これからもご指導のほど、お願い致します。
令和8年度税制改正により、暗号資産取引業者は、特定暗号資産の取引を行った居住者等の氏名、住所及び個人番号、その取引に係る特定暗号資産の名称その他の事項を記載した報告書を、その取引があった日の翌年1月31日までに税務署長に提出しなければならないこととなった。すなわち、暗号資産について取引を行った場合には、その詳細を国税当局に捕捉されることにはなったが、一方で、総合課税から分離課税に課税方法が変更されたことにより、税制面で有利になる可能性もある。今後、金融商品を購入、売却などする際には、信頼のおける専門家に相談をするなど、より慎重な判断が求められるであろう。
執筆:鳥飼総合法律事務所 税理士 田坂 尚靖
























