2015年1月14日(水)~16日(金)の三日間、日本初となるウエアラブル関連の商談展示会「ウエアラブルEXPO」が東京ビッグサイトで開催されました。
最近よく耳にする「ウエアラブル」とは? 展示会を通した最新トレンド情報をお届けします。
写真: 多くの来場者で溢れかえる「ウエアラブルEXPO」会場内。
■「ウエアラブル」とは?
最近よく耳にする「ウエアラブル」とは、衣服やアクセサリーのような感覚で身に付ける、コンピューター、センサー、ディスプレイなどの電子機器全般を指します。
技術の進歩で電子機器が小型化しているのは周知の事実ですが、「ウエアラブル」は、ノートパソコン、タブレット、スマートフォンのような電子端末とは異なり、常時身につける事を前提に、多くの企業や団体から、新しい用途や利便性の提案がなされています。
「ウエアラブル」は従来の電子端末の延長線上にある小型機器というよりも、身体の機能を拡張するようなイメージで捉えると理解し易いでしょう。
■「ウエアラブルEXPO」で見たトレンド
「ウエアラブルEXPO」は、通路に来場者が溢れて通れないくらいに盛況で、改めて「ウエアラブル」への注目度の高さが確認できました。
その中でも来場者の注目を集めていたのが、頭部に装着し、ハンズフリーで映像や文字情報が確認できる「ウエアラブルディスプレイ」関連。完成品を展示している企業のブースでは、映像の映り具合を確かめようと、長蛇の列が絶えませんでした。
その他、関連する表示技術や部品など、技術提案を行う企業も多数出展しており、裾野の広さ、波及効果も大きそうです。
写真: 株式会社美貴本の展示。ゴーグルの中にrecon社のディスプレイ「SNOW2」を設置。
■注目はこの1台! ブラザー工業「AiRScouter WD-200S」
写真: ブラザー工業「AiRScouter WD-200S」。片眼の非シースルータイプで、現場作業を補助する業務用途を狙った仕様。ディスプレイはフルカラーで高解像度は1,280×720ピクセル。
会場で人だかりが絶えなかったのが、ブラザー工業のブース。同社の新ウエアラブルディスプレイ「AiRScouter WD-200S」が初披露される場とあり、装着感や画質を確認しようと、多くの来場者で賑わっていました。筆者も行列に並んで試用。「AiRScouter WD-200S」は画素のツブツブは見えない高精細映像で、画質もテレビや映画などの動画も楽しめる程に良好でした。
写真: 装着したところ。軽量で装着の違和感が少なく、ディスプレイ部の位置も自在に調整できる。
本機の用途提案は、エンターテイメント用ではなく、ズバリ業務用。
例えば、医療現場で各種情報を確認したり、手術を含む遠隔医療で専門医が指示を出したりなど、具体的に導入も検討も進んでいるようです。
他にも、こうしたウエアラブルディスプレイがあれば、工場の組み立てラインで非熟練工も指示書を見ながら作業でき、作業効率や品質アップに繋げられるでしょう。
年々巨大化するネットショップの倉庫では、発送商品がどの棚にあるか、ディスプレイが教えてくれれば、作業者の負担軽減になりそうです。もちろん、効率化による人件費削減、出荷までの時間短縮による顧客へのサービス向上などにも威力を発揮しそうです。
■「ウエアラブル」の今後
「ウエアラブル」は、冒頭で述べたように、コンピューター、センサー、ディスプレイなどの電子機器全般を指しています。活用方法はハードウェア、ソフトウェア、サービスの組み合わせで無限大ですが、その分、現時点では何に使えるのかイメージし難い部分もあります。
今回の「ウエアラブルEXPO」を通して、先ずは、各種現場の作業効率や品質をアップする、業務用ディスプレイから広がりそうな印象を受けました。
将来的にウエアラブルは、日常的な健康指標のモニタリングによる予防医療、活動状況を把握してのトレーニング指導など、ヘルスケアの分野で大きな期待が寄せられています。
また、装着者の趣味や嗜好および位置情報、それらを束ねたビッグデータの解析により、広告や消費行動への誘導も開発が進んでいます。例えば、お昼休みに社外で出たら、好み、健康状態、体調、前日の夕食なども含めて、さらに人気がありつつ空席のあるお店へと誘導するようなサービスの提供も可能でしょう。電子マネーやコンビニの支払い経歴から、懐具合や予算感を加味するのも難しくありません。
今すぐ業務の効率化にも、先々の新しいビジネスの創出にも、「ウエアラブル」に注目してみては如何でしょうか?
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鴻池賢三