「ナス」といっても、野菜の茄子ではありません。最近、パソコン仕事やデジタルAVで引っ張りだこなのが、LANネットワークに直接接続できるHDDなどの記憶媒体「NAS」(Network Attached Storage)です。
今回は、NASの基礎知識と、便利な用途例をご紹介します。NASを仕事や趣味のAVに活用して、パワーアップしましょう!
写真:NAS製品の一例。写真はアイ・オー・データ機器のオーディオ用NAS「ロックディスクネクスト」
■USB-HDDとNASの違いは?
USB-HDDは、USB接続でパソコンに追加できるHDDで、簡単に記憶容量を増やす方法として重宝されています。既にご利用の方も多いでしょう。
しかし、パソコンと1対1の関係なので、他のパソコンに接続されたUSB-HDD内のファイルにアクセスするには、先ず接続先のパソコンが起動しているのが条件で、さらにセキュリティーを含むネットワーク設定も必要です。
その点NASは、パソコン不要でLANに直接ぶら下がることができるので、同じネットワーク上にある複数のパソコンから、いつでもアクセスが可能です。グループで同じファイルを共有するには、NASが便利と言う訳です。
■オフィスで活躍するNAS
オフィスでは、ファイルの共有で威力を発揮します。例えば、売上げデータ、作業マニュアル、配布資料など、共有すべき情報をNASで一元管理すると、効率もアップします。
一例として、月次の売上げデータで考えてみましょう。毎月、全員にメールで送ることもできますが、受け取った各人がそれぞれ管理しなければ、データは毎月各人のPCに蓄積して行き、いつかはHDDが満杯になってしまいます。
一方でNASがあれば、担当者が最新のファイル「1つ」をNASに置いておき、メンバーが閲覧できるようにしておけば、オフィス全体で管理に掛かる手間やデータ量が削減でき、合理的と言えます。
最近では、ファイルサイズの大きな写真や動画を扱うケースも増えています。NASによる一元管理を検討しない手はありません。
また、最新のNAS製品の多くは、外出先からインターネット経由でアクセスできる機能を持っています。外回りの営業担当者が出先から社内データを閲覧したり、ファイルのやり取りなどに利用するのも一案です。
■家庭で活躍するNAS
デジタルAV機器とNASは、非常に相性の良いものです。最近流行の「
ハイレゾ」や「ネットワークオーディオ」は、PCが必要と思われがちですが、再生に際しては、NASとネットワークオーディオプレーヤーがあればOK。ネットワークオーディオプレーヤーが、NAS内の音楽データを直接再生できるので、パソコンを起動する必要は無いのです。こうしたデジタルAV機器の進化から、近年は、パソコン嫌いな方も「ハイレゾ」や「ネットワークオーディオ」を楽しんでいます。
ほか、テレビやレコーダーの外部記憶媒体として、NASを利用することもできます。
但し、テレビやレコーダーがそのような使い方に対応しているのが条件で、NASを購入する際には、DLNAガイドラインおよびDTCP-IP規格に準拠した製品を選ぶ必要があるのでご注意を。
写真:最近はミニコンポも多くの製品が「ネットワークオーディオ」に対応。NASに蓄積した音楽ファイルを再生することができます。もうCDの入替は不要!NASに蓄積された大量の音楽ファイルを、スマホやタブレットで選曲できる機能も一般的です。写真は、パナソニックの人気ハイレゾ&ネットワークオーディオ対応ハイコンポ「SC-PMX9」とアイ・オー・データ機器のオーディオ用NAS「ロックディスクネクスト」を組み合わせたイメージ。(NASは同一LAN接続されていれば良く、遠く離れた場所に設置してもOK!)
■さいごに
オフィスでも写真や動画を扱う場面が増えました。家庭でも高音質化や高画質化に伴って、AVデータは大きくなる傾向にあります。こうした状況下で、オフィスでも家庭でも、大容量のファイルを一元収容できるNASは、費用や時間の合理化に欠かせない存在となりつつあります。
なお、一元化を行うと、便利な反面、HDD故障時に大量のデータを一瞬で全て喪失するリスクが高まります。貴重なデータは、常にデータを2台のHDDに重複して記録する「RAID1」という機能を持ったNASを利用したり、定期的にバックアップを作成するなど、対策もお忘れなく。
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