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社長業

第12回 自分の子とどう向き合うか

繁栄への着眼点 牟田太陽

 「社長の子育てはどうすればいいのでしょう」というご質問を受けた。 これに対する答えは明確だ。「知識」と「創造力」と「道徳」だ。さらに言うと、このバランスが重要である。
まず、「道徳」無くしては全てが無となる。
 私の出身である玉川大学には、創立者である小原国芳氏の言葉が石に刻まれ、学園のあちこちに設置をされていた。「神なき知育は知恵ある悪魔をつくることなり」とは、その一つで、いまでも私の心に残っている言葉である。 信仰しろというわけではないが、宗教から学ぶことは大きい。玉川では大学生であっても、労作であったり、礼拝であったり、義務であり私も多くのことを学んだ。そういった「道徳教育」こそが全ての基礎であり、それなくしては、「知恵のある悪魔をつくることと同じだ」と説いている。その基礎の上に「知識」と「創造力」が乗ってくるのである。 前述で「バランスが重要」と言った。
 知識だけでは大成しないし、創造力だけでも大成しない。 なぜなら、知識教育ばかりを教えたとする。頭は良くなった。しかしながら、人より漢字や英単語を多く知っているからといって、人が涙を流すような文章が書けるわけではないし、人前で話してお腹を抱えて笑うような面白い話が出来るわけではない。それは全く違う能力なのだ。同じように、創造力があっても、それを実現させるためには知識が必要であることが多い。
 このようにどちらが欠けてもダメだ。「両方バランス良く」とは言ったものの、それは理想であって、そんな聖人君子などそうはいない。大半はどちらかに偏っている。それを個性という。出来ないものに目を向けるより、個性と捉えて出来る部分を誉めて伸ばせばいい。社員の教育と同じではないか。
 最近では、巷に「●●教育法」などと、色々な教育法が出ている。本も出ているし、駅前には教室もある。記憶力を伸ばすとか、子供の時から英語を習うとか、身体を動かすことによって集中力を上げるとか様々だ。「そういったものはどうですか」と訊かれれば、その子の将来に必要ならばやればいいと思う。
 あるとき、女性社長が息子を連れて相談に来られた。
 会長(父親)が、社長の大学一年生の息子にむかって、「大学を受けなおしたらどうだ」などと言ったという。せっかく苦労して受かった大学だ。しかも、六大学でこそないが、大変有名な大学だ。「何故そんなことを言われたのか。自分の通っている大学はダメなのか」息子は大層ショックを受けた。
 その息子に向かって私は、「君は将来何になりたいのか。その仕事をするにあたって、『この大学でなければなれない』というのであれば受けなおせばいい。そうでなければ、全く関係ない」とだけ言った。その一言で十分であろう。来たときと違って、帰るときの息子の顔を晴々としていた。
 その子にとって何が必要なのか。子供も一人ひとり個性が違うし、頭の考え方も違う。ただ、前述に加えてこれだけは教育していただきたいのが、「お金の稼ぎ方ではなく、使い方を教える」ことだ。これは日本の学校では絶対に教えてくれない。家庭でも教えてくれるところは少ないだろう。大概、痛い目にあって自分でなんとなく覚えていくものだ。私もそうだ。
 「男の器は、動かせる金額で決まる」とは、私の勝手な持論だが、結構、的を射ていると思う。活きたお金を使える人になりたい。
※本コラムは2020年2月の繁栄への着眼点を掲載したものです。

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