4K試験放送も始まり、店頭でもメディアでも何かと話題の「4Kテレビ」ですが、実は、撮影するムービーカメラも4K化が登場しています。
(「4Kテレビとは?」、と仰る方は、第22回「4Kテレビの活用と将来性」で解説していますので、合わせてご参照ください)
テレビの主流はまだまだフルHD。「画素数が4倍の4Kカメラで撮影しても、無駄では?」、とお思いの方も多いでしょう。
確かに、まだまだオーバースペックの感はありますが、メリットもたくさんあります。
今回は、時代を先取りする「4K撮影」のお勧めポイントと、具体的な製品をご紹介します。実際に撮影した動画サンプルも用意しました。
■4Kで撮るメリット その1 「将来のために」
地デジ化以降、現在、テレビは約200万画素の「フルHD」が主流です。しかし、4K化への流れは加速していて、2020年には、新しく発売されるテレビ製品の殆どが約800万画素の「4K」にシフトするでしょう。つまり、次に買い替えるテレビは、「4K」である可能性が高いのです。
撮影したビデオは、社史でも子供の成長記録でも、時間が経てば経つほど価値を増すもの。今はオーバースペックに感じても、4Kで撮っておけば、将来、必要になった時に、より鮮明な映像で見ることができます。
■4Kで撮るメリット その2 「フルHDのテレビで見てもキレイ」
実際にソニーの家庭用4Kムービーカメラ「FDR-AX100」で撮影し、フルHDのテレビで鑑賞しましたが、従来のフルHDムービーカメラよりも鮮明な映像が得られました。
表示する画素は同じフルHDでも、撮影時のデータ量が多いと、細部まで緻密で尖鋭な映像が得られます。
また、「FDR-AX100」は録画映像の再生も可能ですが、再生時に部分拡大できる機能もあります。4Kで撮影しているので、ある部分を4倍に拡大してもフルHD相当の画質が維持できます。
例えば、講演会なら、少し広角で撮影しておき、再生時に登壇者を拡大表示するような使い方ができます。習い事の発表会なら、カメラが舞台全体を撮影できるように固定しておき、再生時に、ご自身やお子さんなどが映っている部分を拡大するような使い方をすると、撮影時にカメラのアングルを心配せず、鑑賞に専念できそうです。
4K撮影は、今、フルHDテレビと組み合わせても、メリットがあるのです。
■4Kで撮って4Kテレビで見ると、それはもう「リアル」な世界
もう4Kテレビを使っている。あるいは、今年は4Kテレビに買い替えようという方もいらっしゃるでしょう。4K放送や4K配信は未だ少し先になりそうなので、自身で4K撮影した映像を楽しむのは一興です。
趣味の撮影も良いでしょうし、商業用ディスプレイとしても目を惹くはずです。
また、テレビに加え、4Kプロジェクターを利用すれば、200インチ級の大画面でもキレイ。4Kなら画素が目立たず、細部まで緻密で美しく見せてくれます。
■4Kムービーカメラ 製品紹介
・ソニー FDR-AX100 (http://www.sony.jp/handycam/products/FDR-AX100/)
一般的なSD(SDXC)カードに記録可能。レンズや撮像センサーなども高品位で、高画質撮影ができます。社史やお子さんの成長記録、風景を美しく残したい方におすすめです。
・パナソニック HX-A500 (http://panasonic.jp/wearable/a500/index.html)
小型で身に付けられるウエアラブルカメラとして、世界で初めて4K/30p(1秒間に30コマ撮影)に対応しています。アウトドアアクティビティーを楽しむ方におすすめです。
■4K撮影映像サンプル紹介
YouTubeは、既に4Kでのアップロードや再生に対応しています。「4K」や「UHD」(海外では、Ultra High Definitionと呼ぶ)といったキーワードで検索すると、4K映像が沢山みつかります。
なお、4K動画のスムーズな再生にはかなり高スペックのパソコンが必要です。そうでないパソコンでも、コマ落ち(カクカク)しながらなら映像は見られますが、カメラや被写体の動きが激しい映像では、モザイク状になってしまいます。丁寧に撮影された、メーカーのデモ映像などがお勧めです。
なお、今回は、皆さんに4K撮影の威力をご体感頂こうと、筆者自身が静止画に近い映像を撮影し、サンプルとしてYouTubeにアップロードしました。
ディスプレイが4KでなくフルHDクラスでも、密度感の違いが感じられるはずですので、是非この機会に4K撮影映像の持つリアルさをご確認ください。
(YouTubeで再生が始まったら、画面下の歯車マークをクリックし、2160p/4Kを選択後、映像の先頭に戻ると、4K解像度の映像データを再生できます。)
・4K動画サンプル1 松江城
「FDR-AX100」で撮影。手前で揺れる木の葉は、写真が動いているかのような鮮明な映像です。
・4K動画サンプル2 大山
「FDR-AX100」で撮影。牧草の1本1本が鮮明に見えます。
■さいごに
4Kで撮影すると、撮影データが膨大になり、編集やコピーも大変です。また、現時点で再生できる機器が少ないのも注意が必要です。
アイデアとしてはYouTubeの利用で、一旦アップロードしておけば、視聴する端末や通信速度に応じて、最適な画質で楽しむことができます。将来、通信速度が向上し、テレビで4K画質のYouTubeが視聴可能になれば、手軽に4Kが楽しめるでしょう。
時代を先取りして、4K撮影を始めてみませんか?
鴻池賢三