2025年12月11日にウォルト・ディズニー・カンパニーとOpenAIは、200種以上のディズニー保有キャラクターを、OpenAIの動画生成AI「Sora」で利用者が自由に使える3年間のライセンス契約を締結した。
これにより、誰でもSoraのショート動画でディズニーのミッキーマウス、ドナルドダック、シンデレラ、マーベルのスパイダーマン、アイアンマン、ピクサーのトイストーリー・キャラクター、スター・ウォーズのダース・ベイダー、ヨーダなどを2026年初頭から作ることが可能になり、キャラクターを使った合法的なAI動画の作成が加速しそうだ。
しかし、より複雑な権利関係がある実在の俳優・タレントの肖像や声の使用はこの契約には含まれていないし、企業が自社CM用にSoraで作った場合は別の契約が必要になると考えられるため、注意が必要だ。
■認証済みAI
これまで生成AIと著作権者の関係は、勝手にデータを学習されたくないクリエイター側と技術発展のためにデータが必要なAI側という対立構造だったが、今回の提携により新しいフェーズへ移行しようとしている。
世界で最も著作権に厳しいディズニーがOpenAIと手を組むことは「良質な学習データには正当な対価が支払われるべきである」というビジネスモデルが確立されたことを意味している。
また、AI検索のPerplexityは、自社開発のブラウザ「Comet」でCNN、Washington Post、Le Monde などと提携し、AIがニュース記事などを要約・再構成して提示する際に、その利用に対価として有料サブスク収入(月5ドル)の大部分(80%)をコンテンツ提供側にを支払う「Cometプラス」というモデルを採用、将来的なAI時代の著作権課金インフラのプロトタイプとして注目されている。
今後はネットの有象無象のデータを学習した汎用的だが少しリスクのあるAIと、クリーンで高品質なデータを学習した「プロフェッショナル認証済みAI」に別れる可能性があり、ライセンス料が発生する著作権侵害のリスクがないAIを選ぶ動きが加速しそうだ。
■独自データ
ディズニーの戦略は、AIを自社の世界観を表現するための強力なエンジンとして使うもので、今後の著作権者は単にコンテンツを作って売るだけでなく、自社のデータを学習させたAIモデルそのものや、その利用権を貸し出すという新しい収益モデルが出てくる。
これはキャラクタービジネスに限らないもので、「独自データ」を持っている企業は同様のビジネスを展開でき、地方の観光地、老舗企業、メーカー、教育事業者でも、ロゴ、写真、動画、社内に長年蓄積してきた「顧客とのやり取り」「熟練職人の技術日誌」「独自の業界マニュアル」などのノウハウは著作権資産で、使ってよい範囲、改変の可否、NG領域、収益配分などをあらかじめ設計した「貸し方設計」すれば新たな収益装置となる可能性がある。
ディズニーとOpenAIの提携は、AIが「海賊版を作る機械」から「創造性を拡張する正当なパートナー」へと進化する歴史的な転換点となりそうだ。
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●ウォルト・ディズニー・カンパニーと OpenAI、ディズニー各ブランドの人気キャラクターを Sora で利用可能にする画期的な合意を発表
https://openai.com/ja-JP/index/disney-sora-agreement/





















