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製造業

第235号 人を育てる7つの勉強法

柿内幸夫─社長のための現場改善

 「ナゼ改善が必要か?」というテーマでお話を続けておりますが、今回は3番目の「人を育てるから」についてお話しします。

 1. 世の中の変化は止まらないから。
 2. 工場の中に変えられないものはないから。
 3. 人を育てるから。
 4. 経営を支えるから。

 会社経営において人が大切なことはいうまでもありません。もし全く同じモノを同じ量、同じ設備と同じ材料そして同じ方法で作っている2つの会社があったとして、「どちらの会社がより良い成果を生み出せるか」ということになれば、それは優秀な人がいる方の会社ということになるでしょう。

 なぜなら、設備や材料、あるいは情報を使って付加価値を付けるのは「人」だからです。

 当たり前なのですが、優れた人がいる会社は優れた成果を生み出します。ではどうすれば優れた人が会社にいるようになるのかを考えましょう。

 まず思い浮かぶのは、優秀な人をスカウトすることをイメージする方が多いのではないかと思います。ただ「優れた人」とサッと言ってしまいましたが、有名な大学を出ているとか博士号を持っていれば優れているということではありません。

 そういうことではなくて、それぞれの仕事に熟達していて、いろいろな改善に対してリーダーシップが取れるなど、具体的な評価基準での優れた人ですから、そう簡単に見つかるものではありません。むしろ、ほぼ無理なのではないかと思います。

 ではどうするか? もうお分かりですね、今いる人を、より優れた人にレベルアップするのです。そのためには何をどうすればいいのでしょうか? 

 学校に行きますか?もちろんそれもいいことです。私が字を書けたり計算ができたりするのは小学校でそれらを教わったからです。

 しかし、読み書きのような既に体系化されていることは学校に行けば教科書もできているし先生もいらっしゃいますから教わることは可能ですが、今まさに起きている新しいことには教科書がありません。しかも、先生もいません。

 それぞれの会社で今困っていることについて、何をどうするかをしっかりと、教科書を使って具体的に教えてくれる学校はないと思います。もちろん学校も必要ですが、それ以外の方法を探してみましょう。

 次の絵を見て下さい。これはラーニングピラミッドと呼ばれているもので、「人は何によって育つか」を示したものです。

kaki235-1.jpg

 一番上は講義とありますが、これは学校で授業を受けることや、講演会に参加することです。そしてその成果は5%とあります。意外と低いですね。確かに難しいと眠くなるし、逆にすでに知っていることだと聞かないし、といったことを想像するとそうかもしれません。

 次に読書ですが、自分で選んだ本だし、線を引きながら読むのだから、ただ講義を聞くよりは高いのですが、それでもあまり高くなく10%です。確かに呼んだ当時は感激したものでも、少し時間が経つとその内容を完全に忘れていたりしますね。

 3番目はオーディオビジュアルとありますが、テレビやビデオの教材を使って勉強することです。視覚と聴覚に訴えてきますし、画像がカラーで動いたりしますから印象に残ります。その結果でしょうか、数字も20%と高くなっています。

 次は、テレビの画面を通じてではなくて、目の前でやってもらうデモンストレーションです。こうなると、デモする人も観客の反応を見ながら話をしてくれますから、より身近な教わり方になり、学びも増えるようです。30%にまで上がりました。

 しかし、見て感動して終わるのではなくて、その後でみんなでグループディスカッションをすると何と数字が50%にまでグンと上がります。

 「あれは良かったね」から始まって、「どこが良かったのか」の話になり、「ナゼいいのかな」につながり、「どうすればいいかな」にまでたどり着けば、皆さんの理解レベルはかなり上がります。

 さて、人を育てる効果的な勉強法をいくつか挙げてみましたが、じつはより効果的なのは、改善を実行することなのです。というのも、改善を実行することは、人を育てることにつながるからです。

 詳細は次回にお話ししますね。 

kaki235-2.jpg

copyright yukichi

※柿内先生に質問のある方は、なんでも結構ですので下記にお寄せください。etsuko@jmca.net

 

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