2022年は画像生成AI(第109回 画像生成AI 参照)に代表される「生成AI」ブームだが、「ChatGPT」という人間と見分けがつかないほど自然な文章を書くAIチャット(文章対話システム)のテスト版が2022年12月1日に一般公開された。
このチャットシステムは、「GTP-3」という精度の高い文章を生成できる言語モデルを作った「OpenAI」という非営利の人工知能研究組織によるもので、人間のフィードバックからの強化学習(RLHF)を用いてトレーニングされている。
「ChatGPT」は「スムーズに人間と対話ができる」という部分を重視したモデルなので、内容の正確性は高くないものの、公開から1週間で100万人以上が「ChatGPT」との会話を試しており、話題となっている。
■試してみる
「中国のゼロコロナ政策」と入力すると、
「中国では、新型コロナウイルスの感染拡大を阻止するために、厳しい対策が取られています。例えば、感染が発生した地域では、封鎖や検疫を行い、感染者がいなくなるまで外出を制限するといった措置がとられています。また、感染が拡大する前には、多くの市民がマスクを着用したり、手洗いやアルコール消毒をするよう促しています。こうした取り組みにより、中国では新型コロナウイルスの感染者が減少し、ほぼ収束している状況になっています。」
と返してくるので、このようなニュース記事はよく学習されているようだが、私の名前の「高島健一」を入れてみると、
「高島健一さんは、日本の俳優です。1979年生まれで、京都府出身です。高校時代から俳優活動を始め、映画やテレビドラマ、舞台などで活躍しています。代表作として、映画『俺たちに翼はない』や『君の膵臓をたべたい』、テレビドラマ『医龍2』『僕だけがいない街』などがあります。また、高島さんは、身長が195センチと非常に背が高く、その体格から『巨人俳優』とも呼ばれています。」
となり、私と同姓同名の身長195cmの俳優さんは聞いたことがないので、この内容は間違いだと思われる。
しかし、高校生に大学レベルの教育を提供する目的で作られたアメリカの「AP Computer Science A 2022年版」の中にある「ビデオゲームの得点を集計するプログラム」をテーマとした自由記述問題を受けさせたところ、36点満点中32点を取ったという報告もあり、得意な分野と苦手分野があるようだ。
そのため「ChatGPT」はフォローアップの質問に回答したり、間違いを認めたり、間違った前提に対して異議を唱えたり、不適切な要求を拒否したりすることができるようになっており、私の「高島健一」の返答に対して「そのような俳優は聞いたことがありません」と入力すると、「ごめんなさい、誤っているかもしれません。」とも返してきた。
画像生成AIの「Stable Diffusion」も、この「ChatGPT」もまだまだ発展途上の部分はあるものの、試用してみると驚くほどよくできていると感じられ、今年2022年は「生成AI元年」になるかも知れない。
======== DATA =========
●ChatGPT
https://chat.openai.com/
●OpenAI
https://openai.com