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第125回 「ChatGPT」現象

社長のメシの種 4.0

ChatGPT

 OpenAIというベンチャー企業が開発・発表した「ChatGPT」というAIチャット(対話型AI)は、わずか2ヶ月で利用者が1億人に達し、世界中で話題になっている。


 「ChatGPT」は人間が書いたかのような文章を作成してくれるので、学生がレポートや宿題に、ビジネスではEメール、議事録、報告書の作成などに多くの人が利用している。


 これに対してニューヨーク市教育局は、学生や教員に対して利用を制限、日本でも東京大学がAIのみを用いたレポートの禁止、上智大学が教員の許可なく使うことを禁止するなどの制限を課している。


 また、JPモルガンやドイツ銀行などの金融機関でも従業員の利用を制限、イタリアはEUの一般データ保護規則(GDPR)違反の疑いがあるとして一時的に制限している。



単語の計算機

 AIチャットはマイクロソフトが自社の検索サイト「Bing」などに「ChatGPT」を組み込み、Googleが自社開発の「Bard」という対話型AIを発表しているため、「質問に答えてくれる新たな検索エンジン」としても注目されているが、ソフトウェア開発者のシモン・ウィルソン氏は、「ChatGPT」などの対話型AIは検索エンジンではなく、「単語の計算機(calculator for words)」と考えた方がいいと言っている。


 私も「ChatGPT」を「電卓」と重ね合わせて考えており、今の状況は1988年にアメリカの数学教師が計算機の使用に反対するデモを行ったことと類似している。
 「電卓」は暗算ができなくなるなどの弊害もあるが、広く一般に普及する道具となっており、「ChatGPT」などのAIを使った文章記述も、今後は誰もが当たり前に利用する道具になると思われる。


 来日したオープンAIのアルトマンCEOは岸田首相との面談で、「ChatGPTの可能性とマイナス面をいかに軽減するか」を話し合ったとされている。
 「ChatGPT」を組み込んで先行するマイクロソフトに対してGoogle以外でもアマゾンがクラウドサービス利用企業向けに「Bedrock(ベッドロック)」を提供、中国のアリババは自社の企業向けサービス用のAI言語モデル「通義千問(Tongyi Qianwen)」を発表するなど、ハイテク大手からベンチャー企業に至るまでAI開発がブームとなっている。


 2016年にアルトマンCEOとOpenAIを共同創業したイーロン・マスク氏は3月に、「AIの急速な発展は社会と人類への深刻なリスク」があるとして少なくとも6カ月間の開発停止を求める公開書簡を発表したが、4月に入りAIに特化した新企業「X.AI」を設立している。


 「ChatGPT」をきっかけに今は「AIバブル」が発生しているが、その後は電卓やインターネットのように誰もが普通に使うものとなると考えている。

======== DATA =========

●ChatGPT
https://openai.com/blog/chatgpt

●マイクロソフト・Bing
https://www.bing.com/

●アマゾンBuilding 英語
https://aws.amazon.com/jp/blogs/machine-learning/announcing-new-tools-for-building-with-generative-ai-on-aws/

●通義千問(Tongyi Qianwen) 中国語
https://tongyi.aliyun.com/

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