◆サロン・ド・サンク◆ 不満の中にビジネス・シーズを見つける |
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できるだけ火を使わない野菜を中心とした料理を提供
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歌舞伎座の前に位置する銀座クイントビル。 瓦をイメージしたユニークな形状のビルの最上階でエレベータが開くと、 いきなり、目の前に野菜の無人販売所が 現れる。 アスパラガス、ラディッシュ、あさつき…。 旬の野菜が、常時20~30種類並ぶ。いずれも価格は一束100円。 客は、欲しい野菜を選び、その束の 数だけの100円玉を料金箱に入れる仕組みだ。 野菜の無人販売所を運営しているのは、 同じフロアで、すでに11年間レストランを経営している『サロン・ド・サンク』。 フレンチの味付けをメインに野菜料理中心のメニューを揃えているレストランだ。 健康を気遣う若い女性や中高年層を中心に、顧客を着実に増やしてきた。 全国から選りすぐった野菜を取り寄せているばかりか、八ヶ岳に直営農場を持っている。 ディレクターの村上由紀氏は、自ら農作業まで手伝うという。 現在で は、量販店や他のレストランの野菜の買い付けを手伝ったり、店を使って中国茶講座や、 食と農業と医療が三位一体になって健康づくりをしていくための研究会などを開催している。 直売所を始めたのは、今から4年前。 きっかけは、村上氏が、阿蘇の近くの小さな村で、形が悪いという理由だけで、 引き取り手がなかった野菜が捨てられるのを見たことだ。 試しに売らせて欲しいと、売り物にならない野菜を週に一箱ずつダンボールで送ってもらった。 売れ行きは好調で、週に二箱になり、三箱になり、ついに村おこしにつながった。 現在では、仕入先は全国に広がっている。 同店の成功を見て、同様の野菜直売所を設けるレストランも増えてきた。 『サロン・ド・サンク』は、今では、レストランというよりも、野菜の情報発信基地として有名になった。 そのきっかけは、実は、店の厨房にガスが通っていなかったことだ。 調理に使えるのは電磁調理器2台とオーブンだけだった。 それなら、できるだけ火を使わない料理、野菜を中心に作ればよいと考えたそうだ。 火を使わなければ、味のごまかしがきかないので、素材の良さが勝負になる。 そこから、良質な野菜探しが始まり、いつのまにか野菜の「権威」と呼べる店になった。 店でも企業でも、経営する中で、様々な不満があるはずだ。 その不満の中にビジネス・シーズを見つけるところと、不満だけで終わるところと大きな差がでる。 ガスがないという致命的な環境から、「野菜」に特化し、 ビジネスの幅を広げていった同店をみると、そう確信できる。 (カデナクリエイト/竹内三保子) ◆社長の繁盛トレンドデータ◆ 『サロン・ド・サンク』 東京都中央区銀座5-14-1 銀座クイントビル9F TEL 03-3544-0922 最寄駅 東銀座駅から徒歩2分 http://www.salon-de-cinq.com/ |