menu

経営者のための最新情報

実務家・専門家
”声””文字”のコラムを毎週更新!

文字の大きさ

税務・会計

第62回 デジタルインボイスで経理を効率化

賢い社長の「経理財務の見どころ・勘どころ・ツッコミどころ」

 消費税のインボイス制度(適格請求書等保存方式)の導入に合わせて、請求書をデジタル化する環境が整備されつつあります

 

 EIPA(デジタルインボイス推進協議会)によって標準規格化されたデジタル(電子)インボイス「Peppol(ペポル)を利用した業務システムやクラウドサービスが、2023年中に提供されるでしょう

 

 請求書がデジタル化されることにより、売り手側及び買い手側双方の事務作業が効率化されることが期待されています。

 

 そこで今回は、デジタルインボイスの利用による経理業務の効率化について、説明します。

 

 御社は請求書を毎月何枚発行し、何枚受け取っていますか?

 

 

⚫️Peppolが業務システムの標準機能になる

 消費税が複数税率になり、インボイス制度が導入されることにより、経理などの会社の事務負担が確実に増えていきます。

 

 そこで、紙の請求書をデジタル化して、会社間でのデータの連動性を高めることにより、企業のバックオフィスの仕事を効率化することが求められていました。

 

 そのような経緯があり、インボイス制度の導入のタイミングで、日本においてもデジタルインボイスを採用することになったわけです。

 

 EIPA(デジタルインボイス推進協議会)には、ほぼすべての会計システムベンダーが加入しており、各社はインボイス制度の導入時期(2023年10月)に合わせてデジタルインボイス対応版をリリースすることを表明しています。

 

 日本中の企業で使用されている会計システムや販売管理システムが、すべてこのPeppol形式に対応していきます。

 

 共通の請求データ形式を採用することにより、各社で異なる会計・販売システムを使用していても、データのやり取りができるようになるのです。

 

 「Peppol(ペポル)」という共通化されたデジタルインボイスの形式を日本中の企業が共有することにより、日本経済全体の生産性向上につながっていきます。

 

 毎月、請求書の経理事務に何時間かけていますか?

 

 

⚫️請求書をデジタル化すると経理作業が自動化できる

 売り手側と買い手側でPeppolを利用することにより、請求データをデジタルで送受信することができるようになります。

 

 これまで紙の請求書に記載した日付、金額、税額、事業者名、取引明細等をデジタルデータとして共通のデータ形式で送受信するようになるのです。

 

 販売システムや請求書発行クラウドサービスなどから紙の請求書を印刷せずに、請求データを得意先と瞬時にデジタルで共有できます。

 

 売り手側は、請求データを送信した後、そのデータを会計システムに取り込んで仕訳データに自動的に変換し計上します。

 

 買い手側では、受信した請求データをそのまま会計システムなどに取り込むことができるため、紙の請求書を見ながらデータをキーボード入力する作業がなくなります。

 

 また、デジタルインボイスの口座番号データを使って、インターネットバンキングの送金データを生成し振り込みもできます。

 

 このように、デジタルインボイスを利用することにより、 売り手側と買い手側の双方の効率改善が実現します。

 

 ただし、そのためには、売り手側と買い手側双方がデジタルインボイスを使える環境を準備する必要があります。

 

 御社の会計システムは、デジタルインボイスに対応していますか?

 

 

⚫️デジタルインボイスはインボイス制度と電帳法の両方に対応

 2023年に、経理が対応しなければならない重要な法制度改正が次の2つです。

・インボイス制度

・電子帳簿保存法(電子取引の原本データ保存の義務化)

 

 デジタルインボイス「Peppol(ペポル)」は、消費税のインボイス制度に準拠していますので、インボイス対応は万全です。

 

 そして、デジタルインボイスは電子帳簿保存法の「電子取引」に該当します。

 

 要するに、デジタルインボイス「Peppol」を利用することにより、両方の法制度の要件をクリアすることができることになります。

 

 現在Eメール添付でPDF形式の請求書を送受信している会社も、インボイス制度導入後は、しだいにデジタルインボイスを利用するようになっていくでしょう。

 

 請求書は、紙にハンコを押して郵送する時代から、PDFをEメールで送受信するようになり、今後はデジタルインボイスで請求データをやり取りするようになっていきます。

 

 得意先に対して自社のインボイス登録番号を通知してインボイス対応が終わったと思っていたら、次はデジタルインボイスの発行を要求されることでしょう。

 

 社長としては、自社のデジタルインボイスの対応状況を経理に確認し、早めに準備しておきたいところです。

 

 得意先からデジタルインボイスの発行を要請されたらどうしますか?

 

 

⚫️得意先や取引先と相談してデジタルインボイスを活用する

 今回は、デジタルインボイスの利用による経理業務の効率化について、説明しました。

 

 ポイントは次の3つです。

・Peppol形式で請求データを会社間で共有する

・売り手側買い手側双方の経理が効率化する

・インボイス制度と電帳法の要件をクリアする

 

 デジタル化はあくまでも手段にすぎません。

 

 請求書をデジタルインボイスにして電子化することが目的ではありません。デジタル化された請求データを業務システム間で連動することにより、経理業務の効率改善につなげていきます。社内だけではなく、得意先や取引先と協力してデジタル化を進め、双方の効率改善につなげていってください。

 

 得意先や取引先とデジタルインボイスについて相談していますか?

 

 

(参考)

デジタルインボイス推進協議会「デジタルインボイスとは」

https://www.eipa.jp/peppol

 

第61回 取引業者のインボイス登録を確認する前のページ

第63回 2024年1月から電子取引データの保存義務化が始まります次のページ

関連セミナー・商品

  1. 経理のレベルアップオンライン講座

    セミナー

    経理のレベルアップオンライン講座

  2. 月次決算は5日間で出せる!スターターキット

    月次決算は5日間で出せる!スターターキット

関連記事

  1. 第38回 システム導入で〈経理がやってはいけない3つのこと〉

  2. 第10回 固定費を見直して損益分岐点を下げておく 

  3. 第12回 年末に会社の財産を棚卸しして整理する

最新の経営コラム

  1. 第223話 ビジネスに情を持ち込むな

  2. 第八十二話 「家具を売らない家具屋」— 西岡家具店の挑戦

  3. 朝礼・会議での「社長の3分間スピーチ」ネタ帳 2025年3月19日号

ランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

新着情報メール

日本経営合理化協会では経営コラムや教材の最新情報をいち早くお届けするメールマガジンを発信しております。ご希望の方は下記よりご登録下さい。

emailメールマガジン登録する

新着情報

  1. 社員教育・営業

    第6話 成長課題 管理職の部下育成術(6)
  2. キーワード

    第131回 24時間書店
  3. 健康

    第10号 「山彦」  
  4. 税務・会計

    第65回 経理社員にもリスキリングが必要
  5. 不動産

    第36回 斜面地は「 開発行為 」等が必要なので地価が安くても仕入れない事
keyboard_arrow_up