◆Kanso◆ 異業種の発想が、新たな業態を生み出す |
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客席は外。川べりで、缶詰とお酒を楽しむ趣向だ。
客が多いときには、ドラム缶が立ち飲みテーブル代わりになる。 |
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異業種からの参入組がつくり出したニュービジネスが、業界に新風を巻き起こす。 そうした例は、枚挙に暇がない。 一昨年7月に開店した大阪・南堀江のカフェバー「kanso」も、その一つ。 同店は、清掃業やギャラリーの運営を手がける (有)クリーンブラザーズが始めた"缶詰バー"だ。 世界中から集めた缶詰の数は、150種類以上。 コンビーフやサバの味噌煮といった定番モノはもちろん、 「ガチョウの肉」「サムゲタン」「熊肉カレー」など、変わり種の缶詰も揃う。 値段は、1つ200円からとお手頃。この缶詰をそのまま客に出すスタイルだ。 缶詰以外のフードメニューはパンぐらいしかないが、 若者から中年サラリーマンまで、幅広い客層を掴んでいる。 「変わった缶詰を試せる」「つまみの種類が多くて好きなものが選べる」…。 また、ドリンクがビール350円からと安いので、 つまみの缶詰と組み合わせても1000から1500円程度で楽しめることも、人気の秘密だそうだ。 そもそも缶詰バーを思いついたのは、「缶詰のデザインは凝ったものが多いので、 アートとして成り立つのでは」と考えたのがきっかけ。 ドラム缶を使って、自分たちで内外装を装飾し、 さまざまな缶詰をディスプレイすれば、ビジネスになると踏んだ。 まさに、ギャラリー業の発想だろう。 また、缶詰を出すだけなら、料理の腕が要らないので、 飲食業の経験がなくても、始めやすかった。 缶詰は日持ちするので、在庫ロスが極端に少ないし、缶詰を渡すだけなので店番が1人で済む。 ランニングコストが低いので、客単価が低くてもやっていけるわけだ。 現在では、隣の敷地を借り、店舗スペースを拡張している。 最近では、駄菓子をそのまま出すバーや、 即席ラーメンが人気メニューになっている居酒屋も登場している。 異業種に参入しなくても、友人や家族に話を聞き、 業界の常識を取り払って考えれば、新しいヒット業態は生み出せるはずだ。 (カデナクリエイト/杉山直隆) ◆社長の繁盛トレンドデータ◆ 『kanso(カンソ)』 住所:大阪府大阪市西区南堀江1-7-2 最寄り駅:大阪市営四つ橋線「なんば」駅より徒歩5分 TEL:06-4390-5286 |