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第14回(アイデアを練る前に全否定する)「ランキン・ランキン」
◆ランキンランキン◆
アイデアを練る前に、まず全否定する
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「ランキンランキン」店外風景
東京の渋谷駅構内に出店している |
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「ランキンランキン」店内風景
店内を回るだけで今、売れているモノがわかる |
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「ランキンランキン」入口付近
所狭しと新商品・ヒット商品が並んでいる |
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「店頭キャンペーン」
KDDIの会員促進キャンペーン |
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小林製薬「イージーファイバーウォーター」のサンプリングイベント
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現在のように、次から次へと新製品が出てくる時代には、商品を覚えるだけでも大変だ。
時代に取り残されないよう、ヒット商品や新製品などを知りたいと考える消費者ニーズは高い。
だから、情報系の番組や雑誌などが好調なわけだ。
このような流れを受けて人気を博しているのが、
東急電鉄が運営する情報系ショップ『ランキンランキン』だ。
ハリウッドやラスベガスをイメージさせる派手な電光掲示板がきらめく店内には、
J-POP、お茶、耳掻き、キャンディ、日焼け止め、カリントウ、
書籍をはじめ約200カテゴリーのランキングされた商品 が並んでいる。
ランキングに使われているのは、東急ストア、東急ハンズ、オリコン、
ニューデイズなどのデータだ。
その他、ランキンランキンが独自に調査し たものもある。
ランキングは、カテゴリーによって1位のみの展示から、10位までの展示まである。
また、ヒット商品だけではなく、これから売れそうな新製品も並んでいるし、
店頭が新商品のプロモーション会場として使われることも多い。
この店から、新しい流行を生み出すことも狙っているわけだ。
店内をグルリと回るだけで、世の中の流れがつかめる便利な店なので、
高校生から中高年まで訪れる人が跡を絶たない。
最大の魅力は、なんと言っても、実物の商品を手にとって見られることだ。
この点は、雑誌やネットがいくら頑張ってもかなわない。
2001年7月に渋谷駅構内に1号店がオープンし、現在では、自由が丘駅、新宿駅にも展開している。
海外から取材や視察でやってくる人もいるそうだ。
『ランキンランキン』が誕生したきっかけは、
乗降客に対して、楽しく便利なサービスを提供する施設を作るためのプロジェクトを発足させたことだ。
東急線全 の輸送人員は1日260万人。
これだけ大勢の人が通る『駅』とは、一種のメディアかもしれない。
こう考えたことが、情報系ショップという発想に繋がった。
もっとも駅に滞在する時間は、せいぜい5分か10分。
その間に、「お父さんのワイドショー」のように世の中の動きがぱっと分かる情報は何だろうと
模索するうちに、ヒット商品や新商品を並べるというアイデアにたどりついたという。
ところで、当時、プロジェクトの責任者だった多田和之氏(現・ランキンランキン担当課長)は、
企画を考える上で、学生時代の友達数人に「駅に欲しいものはないか」と尋ねたそうだ。
すると、渋谷駅周辺には飲食店もショッピングセンターもコンビニも何でもあるから、
駅には何も期待していないと連れない答えが 戻ってきた。
実は、それが、『駅』を「モノやサービスを売る場」という発想から、
「乗客というリアルな受け手がいるリアルなメディア」と捉えなおすきっかけになったそうだ。
現在は、交通機関やネットなどが発達したので、どこでも簡単に行かれるし、大抵のものは手に入る。
こうした時代には、アイデアを練る前に、まず、「店」や「モノ」を全否定することが大切なのかもしれない。
店の必要性を一度全否定したこ とから生まれた、世界初の業態『ランキンランキン』を見ると、そう確信できる。
(カデナクリエイト/竹内三保子)
◆社長の繁盛トレンドデータ◆
『ランキンランキン』
TEL 03-3770-5480 最寄駅 渋谷駅
http://www.ranking-ranqueen.net/
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