今年に入ってからのAIの進化は目を見張るものがあり、AIエージェントで代替できる仕事も増えてきた。
この状況に世界の経営層は「経費を考えずに社内全員がAIを使う環境を整える」と号令をかけ、従業員がAIエージェントを大量に稼働させて、どれだけ多くのトークンを使っているかを生産性や習熟度の証明として競い合わせる「tokenmaxxing(トークン・マキシング)」という言葉も生まれた。
しかし、このようなやり方によって社内のAI利用は増えたが、AI利用料が大きくなり過ぎたため「予算」管理を始める企業が増えている。
だが、AI利用制限を一律に課せば、有効利用している部門の生産性や売上が落ちるため、生産性や顧客満足度といった成果に基づくAI評価指標が必要になる。
AIの利用で成果が出るまでにはある程度時間が必要で、「アメリカ製造業のAIの導入状況調査」では、生産性が向上する前に一時的に低下する「Jカーブ」の存在も確認されている。
また、現状では前回のレポートに書いたように、AIの「ハルシネーション(幻覚)」に対処するために人間が確認する作業も急増しており、その面でもAI活用によるメリットを数値化することは難しくなっている。
■世界のAIエージェント活用事例
パソコンの導入、インターネットの活用と同様に、企業が仕事にAIを活用することは今後当たり前の時代になることは間違いない。
各業界、企業により、どこからAIの活用を始めるのがいいかも違ってくるが、世界の中小企業の成功事例を研究してみることは有効だ。
オランダの「Cabau Lifestyle」という2021年創業の50人に満たないウェルネス(健康関連)ブランドは、2025年夏に創業者Yolanthe CabauのNetflix番組が220か国に配信されたことをきっかけに、ベルギー、イタリア、スペイン、トルコなどからネット注文と問い合わせが急増した。
この問い合わせには、既に購入済みの顧客からの「いつ届くのか」など物流に関するものと、「自分の健康目標に合う商品はどれか」「複数のサプリを併用できるか」「アレルギーがあっても使えるか」など、新規顧客からの問い合わせがあった。
そのため、問い合わせ対応のAIを購入前と購入後の2つに役割を分けたことにより、年末の「ブラックフライデー」時期に滞留した600件の問い合わせを2つのAIエージェントが数分で処理したという。
この会社では「AIエージェントにより人数を増やさずに3倍の問い合わせに対応できた」というが、AIを人間の代替物としてではなく「小さなチームの処理能力と営業時間を拡張する仕組み」として使ったことが成功につながった。
まず自社のネックとなっている業務を見つけ、AIを使って世界中の対応事例を見つけ、研究することから始めることが有効だと考えている。
======== DATA =========
●Cabau Lifestyle
https://cabaulifestyle.com

























