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戦略・戦術

第85回(後編)『2031年シンギュラリティが起きる?2031年に激変する日本を見据えた経営をする』~ヨーロッパ視察でわかった、日本の置かれた立場、日本はどう変わっていくのか?~

継続経営 百話百行

※前回の続きです。前編はこちら

2.2 日本はどうすると良いのか?

2.2.1 産業のシフト(アメリカ型よりイギリス型?)

イギリスは、元々自動車大国だった。
現在、イギリス独自資本での量産自動車会社は1社もなく、
少数生産のスポーツカーだけになった。

産業革命から始まり
工業で世界を先導していたイギリスだが
現在のGDP構成比では、
製造業が8.4%まで減少する一方、
その他のサービス業が51.0%を占めている。



日本も産業をシフトしていかざるを得ないだろう。

では、何にシフトしていくと良いのか?

工業大国
 ↓
・観光業
・エネルギー
・エンタメ・コンテンツ

日本はここにシフトしていくのが良いのではないかと考える。


2.2.2 生産性の向上(コンセプト先行型)

生産性向上が日本復活のカギだと
よく言われるが
生産性向上の意味を、間違って理解している人が多い。

これからの日本に必要な生産性向上は
効率を上げることではなく、
高い単価を取れるようにすることだと思う。

そのためには



●野球型→サッカー型へ
世界で、日本は「時間を守らない」と言われているのをご存じだろうか?

日本は、何をするにも開始時間はきっちりしているが
終わりの時間がルーズだ。
開始時刻には、5分の遅刻にも厳しいのに
会議でも、仕事でも、終わりはまずきっちり終わらないからだ。

日本は野球文化だからなのか
野球型の仕事の進め方が多い。
決着するまで、延長延長で時間を延ばしていく。

サッカーは、終わりが決まっていて
無理矢理、時間内で終わらせる。
延長戦でも決まらなければ、最後はPK戦で決着する。
そうなると、「90分の試合は何だったのか」と思うほどだ(笑)。

日本の会議も、サッカー型にしていかないとムダな時間が減らない。


●現場の効率ではなく、ホワイトカラーの効率
日本は世界一、現場の効率は良い。
工場やサービス業など、現場の効率はよい。
しかし、ホワイトカラー、つまり事務職の効率が悪い。

効率を考えている会社でも
事務所の効率はあまり考えていない。

事務所の効率は、現場と違い
どちらかというと、集中力だ。

いかに集中できるかが、効率につながる。

しかし、地方に行くと特にそうだが
・電話がガンガン鳴っている
・無音の事務所
・島型の机の配置
などなど集中力とはほど遠いことが多い。

これを改善しなければならない。


●高付加価値・高単価
ここが最も言いたいことだが
生産性とは
1人当たり・単位時間当たりの付加価値額だ。
簡単にいうと
1時間、1人あたりの粗利になる。

効率は
何時間で、何人でできるかという、人時で考える。
中小企業はここをいくらやっても、たかが知れている。
10人の会社で、1人当たり1日5分を削減したとしても、合計50分にすぎない。
50分削減しただけでは、人員を減らすことはできない。

なので、生産性を上げるには
粗利を上げる。
それも、販価を上げるのが一番だ。

中小企業はここに挑戦しないと
生産性は上がらないのだ。

ドイツの空港に行くと、人(空港のスタッフ)がいないのが分かる。
ほとんどが自動チェックインで、
いる人は警備員くらいだ。

(フランクフルト空港 スタッフがいるチェックインカウンターは、少ない 筆者撮影)

(フランクフルト航空 無人チェックイン機に置き換えが進んでいる 筆者撮影)

機械の導入の方が人件費よりも安いということだろう。

ドイツは
駐車場も、鉄道の駅も
とにかくスタッフの数が少ない。

それに比べると、
日本はどこに行ってもスタッフがいる。

日本の空港は
「こちらです」という看板を持つ人までいる。

日本は機械導入よりも人件費が安いからだろう。
しかし、日本でも今後は、人件費はますます高くなる。
そのため、今のうちから、どのように機械化を進めるかを検討しておいた方がよいだろう。

何もしないと
日本も必ず、労働時間短縮+賃金上昇になる。
さらには、労働組合も強くなるだろう。

つまり、生産性を向上させないと、日本は立ち行かなくなる。

ただし、効率を上げるだけの生産性向上ではなく、
販売価格を上げるための生産性向上だ。

販売価格を上げるには、
どうやら、三段階ある。


第1段階、人間が行う単純作業
価格競争になりやすく、単価も低く利益が出にくい。

その次に
単純作業の機械化
これだと人間より利益が出る

さらには
コンセプト型が必要になる。
独自の価値を加え、高い価格でも選ばれる。


日本は時代の流れで単純作業が得意だった。
しかし、これからは、そうした単純作業を機械やAIが担うことを忘れてはいけない。

スペイン各地に点在するガウディ建築には、大勢の人が訪れている。
そのデザインには、一貫したコンセプトがある。

(カンタブリア州コミージャスにあるガウディ初期の傑作別荘「エル・カプリッチョ」 筆者撮影)

ポルトガルのポルトにあるレストラン
「Casa de Chá da Boa Nova」は
おいしいことはもちろん、とにかく楽しませてくれる。
飽きないのだ。
遊び心のあるクイズや謎解きがあり、それほど難しくはない。
そして、全体を通じて一貫しているテーマは「航海」だった。


(食べ物を乗せた器が独特の形 筆者撮影)


(食べた器を乗せると、どこの国の食べ物かが分かる)

スペインで、オープンから最短でミシュランの星を獲得し、
オープンから2年で「World Best Restaurant」の100位以内に選ばれた、
今、スペインで最も注目を集めているシェフ、前田哲郎氏の料理にも、
「スペイン料理に和の技法を取り入れたらどうなるか」
という一貫したコンセプトで料理を提供している。



(前田哲郎氏のお店の前菜)

日本人もスペイン人も両方が楽しめる。

味音痴、センス音痴は
中小企業経営者に向かない?のではないか
大企業向けかもしれない。
一般ウケ、大量消費は、大企業向けだと思う。

中小企業には、
コンセプトを大切にし、販売価格を上げるための生産性向上が必要だ。

2.2.3 キャッシュポイントの充実

今回の視察でキャッシュポイントとして見て取れたのが

1.独自性・イージーオーダー
2.ブランド力
3.人と違う工夫

何度も言うように
経営者の唯一の役目が
キャッシュポイントを作ることだ。
キャッシュポイントとは利益源なので
どこで、どのように利益を生み出すか
これが経営者の役目。

従業員をマネジメントするのは
マネージャーの仕事である。
経営者が兼任することはあっても、本来の経営者の仕事ではない。

そのキャッシュポイントの作り方を見ていこう。

1.独自性・イージーオーダー
イギリス・ロンドンには、世界でも古い百貨店の一つである「リバティ」がある。
現在の建物は、1924年に建てられた。
(百貨店リバティ 筆者撮影)

有名な大柄の花柄生地などで、オーダーができるようになっている。
https://liberty-liberty.com/liberty-large-flower-ranking/

独自性のある図案、そして、イージーオーダーが収益源になる。

北海道発祥の自然派コスメブランドが、ソウルの聖水(ソンス)に出店した店舗では、

店員の指導のもと、人気のフレグランスを自分好みに調合できる。
https://shiro-shiro.jp/ext/shoplist/shop/korea-seongsu/index.html?srsltid=AfmBOoq6TEC5xAHoNnPt0iXA7kOZm9jDuFwaA4tb7KO7l3cbWKAE2GKJ

(ソウルの聖水(ソンス)のSHIRO 筆者撮影)

(用紙に書き込み好みにしていく 筆者撮影)

イージーオーダー形式で、少し割高ではあるが、
自分好みにできるため人気があるようだ。

そして、次は
ロンドンに複数の店舗を展開するハンバーガーショップ「オネスト・バーガーズ」
肉の塊を店内でチョップするのだが、
組み合わせもでき大人気店だ。

(メニューとハンバーガー 筆者撮影)

お肉を、牛、鶏、植物由来の肉から選べる。
経営面で在庫が大きく増えるわけではない。
その一方で、お客様は自分好みにアレンジできる。
イージーオーダーはキャッシュポイントとしても
良い方法だろう。


2.ブランド力
やはりキャッシュポイントとして、ブランド力があると強い。
ブランドの有無によっては、同じものでも、価格を3〜20倍に高めることができると言われている。
ブランドは、時間がかかり、老舗が有利と言われるが
果たして、そうだろうか?

例えば
シンガポール発の紅茶ブランド「TWG 」は、
2008年創業と比較的新しい。
https://twgtea.com/

(TWGのホームページより)

老舗に見せるように
ロゴには、1837と書いてある。
1837年に創業したのかなと勘違いしてしまう。
「1837」の意味は、シンガポール商工会議所が設立され、紅茶・香辛料の貿易が正式に開始された記念すべき年を表しているそうだ。

老舗に見せるブランド戦略が成功している。

スイスの高級腕時計メーカー、フランク・ミュラーも、
そんなに古くなく、1992年創業だ。



(フランク・ミュラーホームページより)

古くなくともブランドの構築はできる。
それには世界観をつくることが大切になってくる。


3.人と違う工夫

ポルトガルのポルトには、「レロ書店」がある。
「ハリー・ポッター」の著者であるJ.K.ローリング氏が何度も訪れ、
作品の世界観に影響を与えたと言われている書店である。

ここのキャッシュポイントが見事だと思ったのは、
店内には、著作権が切れた作品を、書店独自の装丁で仕立て直した書籍が数多く並んでいる。

つまり、とてつもなく利益率が高いということだ。

工夫することが経営者の仕事であり、その工夫が利益をもたらす。
もちろんそこには、お客様が喜ぶことが大前提だ。


2.2.4 人間の幸福度は老後にあり

生命保険文化センターの調査によると
老後生活に不安を感じる人は、
「非常に不安を感じる」「不安を感じる」「少し不安を感じる」の合計で、
男性 78.5%
女性 85.1%
全体で80.2%と
老後に不安を抱える日本人が多い。

<生命保険文化センター「生活保障に関する調査」/2022(令和4)年度>
https://www.jili.or.jp/research/chousa/8944.html


スペインは、どんな田舎に行っても
バル(英語読みではバー、一杯飲み屋さんの感じか)があり
そこに、ご年配の方も、1杯飲みに来て、雑談をして帰る。

(スペインの地方都市 バルでの雰囲気 筆者撮影)

1杯の金額もさほど高くない。
おつまみ一品、ワイン1杯なら、日本の感覚で500円くらいだろうか
どうも、笑顔で、幸せそうだ。

老後を楽しめる方が、幸福感も強いのではないか。

日本もスペインのバル文化を真似して
地方都市に、大人の飲み会できる場所をつくり、
・しゃべる
・行動する
・食べる、飲む
これができると、人間は幸せなのではないかと感じた。

3.まとめ

今は、激変期だ。
そんな時には、価値観が変わる。

今までの企業価値は
・早く
・正確
・たくさん
だった。
それが時代にマッチし、日本は飛躍した。

それが、今はモノ余りの時代になり
・少ないもの
・他にはないもの
に移りつつある。

だから、「付加価値」がすごく重要になってくる。
特に中小企業にとっては、そうである。

どうすれば付加価値を生み出せるかは、
「体験・経験」しないとわからない。
おいしいという感覚、味覚は
大企業では数値化して均一化し、大量生産するのが良いかもしれないが
中小企業はその同じ土俵では勝てない。

旅も、知っているだけでは不十分で
しっかり見て、経験した時の感覚が大切になる。

この感覚の領域では、まだAIは人間に勝てない。
人間の方が優れている。

大企業を例えるなら、学校の教科すべてが平均点以上というやり方。
中小企業は、感覚に裏付けされた、一点突破、他の教科は振るわないが、
音楽だけは、ずば抜けているというのが良い。

ぜひ、感覚を磨き
そのために、体験や経験を増やしてほしい。

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