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- 第23回 TikTok
15秒の短い動画をシェアするスマホアプリ「TikTok(ティックトック)」は、日本では2017年夏からのサービス開始だが、1年で急速に利用者が増え、昨年は流行語大賞にノミネートされるほどの人気となっている。
全世界での月間アクティブユーザーも5億人(日本は900万人)と発表されており、運営している中国のバイトダンス(北京字節跳動科技)は企業価値が750億ドルと、ライドシェアの「ウーバー(Uber)」(720億ドル)を抜いて世界最大のユニコーン(企業価値10億ドル以上の未上場企業)とされている。
動画投稿サイトといえばGoogleが運営する「YouTube」で、YouTube動画で商品などを紹介するYouTuber(ユーチューバー)は小学生の「なりたい職業」の上位になっているが、YouTubeは動画を視聴をする人が圧倒的に多く、投稿している人は一部だ。
それに対してTikTokは投稿する人の方が多いという特徴があり、「動くプリクラ」などとも言われるように、友達と一緒に撮って、加工して、投稿している。
これは若い世代はスマートフォンがエンターテインメントの中心で、自撮り文化がトレンドになっていることが要因とされるが、「お題」となる音楽と振り付けパターンが数多く用意されており、可愛く見せるような特殊効果の加工も簡単に追加できるので、プリクラを撮るように誰でも気楽に動画投稿ができるためだ。
TikTokのユーザー層は10代、20代が圧倒的多数を占めているが、中国版の「抖音(ドウイン=Douyin)」では若い世代からシニアまで幅広い世代が動画を投稿しており、ユーザーの平均利用時間も50分を越え、風景や料理、家族などが中心の動画を30代、40代も投稿している。
日本も既に30%のユーザーが26歳以上で、グルメや観光、ファッションなど、動画の種類にも広がりが出てきているが、10代、20代が画面を見ながら撮影する内側カメラによるセルフィー(自撮り)が中心なのに対して、30代、40代、50代は外側カメラで撮影する傾向が多い。
中国のネットユーザーは2006年の1.3億人から2016年の7.3億人へと10年で爆発的に伸び、ネット利用者の伸び率が経済成長率よりも高くなっていたが、伸び率は2000年代後半の20~50%から2014年には5%に落ち込んで経済成長率以下となり、IT企業は海外展開(主に東南アジア)を考えるようになっている。
そのため、現在中国のIT巨大企業であるネット通販・タオバオ(淘宝)のアリババ(阿里巴巴集団)、メッセージアプリ・WeChat(ウィーチャット、微信)のテンセント、検索の百度(バイドゥ)などが国内で成長したのに対して、TikTokのバイトダンスは最初から世界を目指して成長している。
今後はアメリカのベンチャー企業だけでなく、TikTokのようなアジア企業にも注目してゆく必要がありそうだ。
======== DATA =========
●TikTok
●YouTube
●抖音(ドウイン=Douyin)
●タオバオ
●アリババ
●テンセント
●百度