最新のEV動向
2023年第4四半期(10~12月)の米テスラの販売台数は第3・四半期から11%増の48万4,507台と過去最高を更新したが、EV販売台数では中国の比亜迪(BYD)に抜かれ2位となった。
2023年の米EV販売台数は通年で過去最高を記録、第4四半期も31万7,168台と過去最高を記録したものの前期比1.3%増にとどまり、EV販売が減速している。
2023年の輸出自動車の台数は、中国が491万台と日本を抜いて世界1位となる見通しだが、これには中国のEV輸出が1.7倍以上に増えたことなどが要因。
米レンタカー大手ハーツは、需要が低調なため国内で保有する全車両の11%を占めていたEVの3分の1を売却し、ガソリン車に再投資する計画。
中国の6都市には、不要になった初期EV車のまるで墓場のような大量廃棄集積地があるが、これらは車両を所有していた配車サービス会社が経営破綻したり、より優れた機能と長い走行距離を備えた新しいEVが各社から発売されたために時代遅れになった車が増えたことが原因。
トヨタ自動車は「2026年にEV販売150万台の目標」の達成に向け準備をしているが、豊田章男会長は「エンジンにはまだまだ役割がある」と述べ、社内で新たにエンジン開発を進めるプロジェクトが動き出していることを明らかにした。
これらからは、これまで順調に進んできたEVの普及が踊り場に差し掛かったことが伺える。
■EV普及
2012年にテスラ「Model S」セダンの発売をきっかけに普及の加速が始まったEVは、2022年には世界販売台数が前年比55%増となり、初めて年間1,000万台を超えたが、このうち590万台が中国で、中国の新車販売数に対するEV車比率は29%となった。
テスラModel S発売直後からシリコンバレーのテスラ工場の視察などをしてきたが、イーロン・マスクCEOはEVをスマホと同様のものと考えているようで、販売はネットのみ、システムはリモートでどんどんアップデートされている。
スマートフォンは2007年のアップル「iPhone」の登場に始まり、中国製の安い機種が多数出たことでこの10年に世界で爆発的に普及、2022年には世界で55億人が利用し普及率は70%となった。
EVの普及をスマホの普及と重ね合わせてみると、iPhoneがトレンドをリードしつつ中国製が普及を後押ししたのと同様に、テスラが話題を提供しつつBYDなどの中国EV車が販売を伸ばしてゆくと考えられる。
また、EV販売は脱炭素社会を目指した欧米や中国が補助金を出しているという要素がある。
今後はドイツ、イギリス、フランスなどで2035年までに新車販売をすべて環境対策車とするなどの規制案なども出ており、2030年以降はこれらの規制がEVシフトを加速させる可能性もある。
今年は「EV普及第一期」が終了し、次の段階に向けた「EV普及第二期」に向かった新たな動きが出る年と思われる。
スマホと違い各国の規制や補助金に販売が左右されるEVだが、携帯電話がスマホにシフトしたように、「EVシフト」は間違いなく、今年は次の販売加速時期を占う年になりそうだ。
======== DATA =========
●比亜迪(BYD)
https://byd.co.jp