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経済・株式・資産

第207話 驚く事実 日本の輸出がアジアNIESより少ない

中国経済の最新動向

今年1~6月、日本の輸出額がドル換算で前年同期比7.6%増の3,845億ドル、同期中国輸出額2兆1,254億ドルの18%に相当する。確かに中国に比べればケタ違うほど少ないが、日本のGDPが中国の4分の1に過ぎない現実を考えれば、納得行かない訳でもない。

 

驚くべきなのは、日本の輸出がアジアNIESと呼ばれる韓国・台湾・香港・シンガポールよりも少ないことだ。日本の経済規模がこの4ヶ国・地域より遥かに大きいにも関わらず、逆に輸出額が少ない。これはどう考えても可笑しいと思う。正にショックだ。さらに驚くのは、この衝撃的な事実を知る日本人はほとんどいないことだ。

 

本稿は統計データを駆使し、日本輸出の構造的な問題点を分析する。

 

 

日本人が知らない事実 輸出がアジアNIESより少ない

 日本の経済規模がアジアNIESに比べれば圧倒的に大きい。表1に示すように、2025年日本の名目GDPはドル換算で4兆4,351億ドル。韓国が1兆8,723億ドル、台湾9,200億ドル、シンガポール6,038憶ドル、香港4,273億ドル、それぞれ日本の42.2%、20.7%、13.6%、9.6%に過ぎない。経済規模で言えば、この4ヶ国・地域は日本の背中が見えないほど小さい。

 

 ところが、輸出額を見ると、アジアNIES4ヶ国・地域のいずれも日本を凌駕する。正に下剋上だ。

 

 表2を見よう。2026年1~6月に日本の輸出額3,845億ドルに対し、韓国4,963億ドル、香港4,380億ドル、台湾4,166億ドル、シンガポール3,912億ドル。いずれも日本より多い。輸出の伸び率を見た場合、日本の7.6%増(ドルベース)に対し、韓国48.3%で6.3倍、台湾47.1%で6.2倍、香港39.1%で5.1倍、シンガポール18.6%で2.4倍となり、その差が歴然となる。

 

日本人が誇るべき2大産業分野はもはや「過去の栄光」

 それではなぜ日本の経済規模がアジアNIESより圧倒的に大きいにもかかわらず、輸出が少ないか?筆者から見れば、主な理由が2つあると思う。

 

 1つ目は、これまで日本の経済と輸出を支えてきた自動車と半導体という2大分野は、今は「過去の栄光」となりつつある。まず自動車分野を見よう。

 

 自動車は日本の最大の基幹産業であり、輸出の「ドル箱」とも言われる。しかし、今は中国勢の攻勢の前に、日本車の輸出に陰りが色濃く出ている。

 

 中国自動車工業会の発表によれば、今年1~6月中国車の累計輸出台数が前年同期比65.3%増の509万6,000台。一方、2022年まで輸出の世界一を維持してきた日本車は23年に中国に逆転され、今年前半の輸出台数が205万2789台、伸び率が僅か0.3%となっている。半年だけで中国より304万台も少ない。

 

 2つ目は昔、日本の半導体産業が世界をリードする産業だったが、今はその地位が韓国、台湾に譲り、昔の栄光が今は不在。今年1~6月期、韓国の半導体輸出が前年同期比2.6倍増、台湾の半導体関連情報通信機器の輸出が83.8%増に対し、日本が41%増(円ベース)にとどまっている。

 

ちなみに、アメリカから厳しい制裁を受けている中国の半導体産業は今年1~6月にその集積回路の輸出だけで前年同期比96.1%増の1,772億ドルにのぼり、日本輸出額全体の5割弱に相当する。

 

今年、世界経済はAIブームを迎え、日本もその恩恵を受けている。しかし、中国や韓国、台湾に比べれば、日本の恩恵が限定的だ。

 

 

世界2大市場への輸出 アジアNIESとの差が歴然

経済規模1位のアメリカと2位の中国は世界2大市場であり、この2大市場への輸出がある程度、ほかの国・地域の経済を左右する。

 

まず日本とアジアNIESの対米輸出の伸び率を比較して見よう。今年1~6月、日本の対アメリカ輸出は円ベースで約4%増にとどまっている。対して、韓国50.4%、台湾69%、シンガポール58.9%、香港2.1倍と、それぞれ大幅増となっている。日本とアジアNIESとの格差が一目瞭然だ。

 

次に対中国の輸出を比較しよう。同期日本の対中輸出が14.3%増に対し、韓国64.5%、台湾25.2%、シンガポール50.9%、香港177%、日本を圧倒している。

 

結論として、日本はバブル崩壊後、「失われた30年」を経過した現在、新たな先端分野をまだ育てていない。しかもアメリカと中国という世界2大市場の恩恵も十分に受けていない。従って、国内に世界をリードできる先端産業の育成、国際に米国との同盟関係を維持しながらも中国との関係を迅速に改善しなければならない。この2つが日本の喫緊の課題ではないかと、筆者が思う。(了)

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